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第二話
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(ふーん昔のヨーロッパのイメージ。 でも......)
町にはいると洋風の建物が立ち並ぶ。 衣服から見て中世あたりかそのぐらいの文化レベルだ。 しかしガラスなどはあり、いまいち図りかねる。
「ここだ」
兵士の一人、ラバルさんはある家の前で止まった。
「ここは?」
「この町唯一の治癒魔法が使える魔法使いの家なんだ」
「魔法!?」
(魔法なんて完全にファンタジーだ。 まるでゲームの世界みたい...... ということはこの世界の人間だった私の力も魔法なのかも)
「すまんペイス、急患なんだ。 見てやってくれないか」
「はい! いま開けます! 待っててください!」
声が聞こえ、ドアがあくと、そこには私と同じぐらいの女の子がいた。
「どうしました! 急患ってこの方ですか!? 特になにも変なところはありませんが......」
「ああこの娘どうも記憶喪失らしい、頼めるか」
「それは大変ですね。 では入ってください」
「あ、はい」
「じゃあペイス、あとは頼むよ」
「あっ、ありがとうございました」
私はがそういうと、ラバルさんは手を振って帰っていった。
「じゃあこちらに、えっと、お名前は......」
「私はヒカリでーす。 よろしくー」
「私はペイスです。 ではヒカリさんここに座ってください」
(ペイスさんか、めちゃくちゃかわいいな)
そう赤い長い髪の可憐な少女は私を部屋のイスに座るよううながす。
「でも......あのお金ないんで、治癒は結構です」
断ろうとすると、ペイスさんは首をふる。
「お金はとりません。 あくまで治療は慈善なので」
そう笑顔で答えた。
(ば、ばかな!! お金をとらないだとぉ! 慈善か、怪しい...... とはいえこの世界の話を聞きたいからな)
「じゃあお言葉に甘えて......」
私がイスに座ると後ろに回り頭の上で手をかざしているようだ。
(怪しげな宗教とかじゃないよね...... でもこの子どうみても悪い人には見えないし......)
「ヒール」
そうペイスさんがいうと、体が暖かくなり、そして体が光っている。
「わぁ! 体が光ってる」
「ええ、回復の魔法ヒールですから? それもお忘れですか?」
「う、うん、そうみたい......」
(ま、マジで魔法あったー! 指の痛みと赤み消えてるー!! 驚いちゃいけない! 怪しまれるから平常心で)
「あの何か思い出しましたか?」
「んー、ぜんぜん」
(そういうしかないよね)
「ヒールは効いてるのに記憶が戻らない...... 外傷ではなく、心の方かしら」
不思議そうにペイスさんは首をかしげている。
「あ、ああ、そうかも! きっとモンスターに襲われてその時のショックだよ。 でもモンスターを殴ったときの指の痛みはおさまったからもう大丈夫です! ありがとう!」
「モンスターを! 素手で!」
ペイスさんは絶句している。
「いや、急に襲われて...... あっ、そんなことより、ペイスさん何か仕事ないかな。 私お金全くないんだ」
「え、ええと仕事ですか、一応あるにはあるんですが、とても危険ですよ」
「まあ、えっちくないのなら、何でもいいけど」
「えっちく? いえモンスターの討伐なんです、 モンスターの素材は高く売れるんです。 でも当然危険がついて回って」
(やはり、モンスターか...... リスクがあるけど、私の力もあるし、やるしかないよね。 少しお金を借りて、武器を手に入れるか...... ペイスさんに借りられるかな。 やはりここは泣き落としで......)
私がどうやってお金を借りようか思案していたら、ペイスさんはおずおずと話しかけてきた。
「あ、あの、ヒカリさん。 お金が必要なら、私とモンスター討伐に行きませんか。 もちろんよかったらですけれど」
思ってもない提案だった。
(これはラッキー! いや少し渋ってよい条件を...... って体を治してもらって、そんなこといえないよね)
「うん、わたしとしても願ったりだけど、どうして私に?」
「私の本業はモンスターを狩るハンターなんです」
(かわいい顔でなんちゅう仕事をしとるんだ!)
「でも魔法を使うとすぐ疲れるし、その間無防備になるので、あまり量もとれなくて...... でも二人なら魔力の温存ができますし」
そう申し訳ないような顔をしている。
「わかった! 二人でもうけ...... がんばろう!」
「はい!!」
さっそくいろんな話を聞きながら二人で町を出ると、草原へと向かう。
「どうですかヒカリさん? その剣と、盾」
「かなり軽いね。 銀色だけど金属じゃないの?」
どうみても私のような可憐でかよわい女の子が、片手で扱えるわけのない長い両刃の剣をふり、大きめの盾を上下に動かしてみる。
「鉄ですよ。 ハンターだった父の残した剣です。 魔法がかかっていて軽くなっているんです。 軽くても私はどんくさくて振り回されるので使えませんでしたが......」
そういってペイスさんは肩をおとす。
「なるほど、でもモンスターって生物でしょ、勝手に狩ってもかまわないの?」
「ええ、生物といっても、物質や生物の魔力を取り込み凶暴化したものです。 より魔力をえるために人や動物を襲いますし、倒さないとどんどん増えてきます。 それで仕事を失う人も多いんです」
(確かに、正直、この町の人たちも豊かそうではなかったな)
「あと、その魔力って、世界に満ちてるんだよね」
「ええ、生物も自然にも含まれている力...... ですが悪意などが生んだ魔力が集まるとモンスターを産み出すと言われています。 戦争なんか起こるとモンスターが多く発生しますから」
「なら倒しちゃっても平気か!」
「ええ、ですが慎重にいきましょう」
二人で草原を探索する。
「あっ、あそこです! ラージマウス!」
「あいつだ! わたしをおっかけてきたの!」
遠くから地響きを起こしながら、大きなネズミがこちらに突っ込んできた。
「お腹が弱点ですが動きが速いんです! あれは強すぎます! ここは逃げましょう!」
「いや!! つき指の借りを返す!」
「あっ! まって!」
私はペイスさんが止めるのも聞かず前に走った。
ラージマウスは土ぼこりを巻き上げて突進してくる。 そしてその剣のような巨大な二本の前歯を突き立てようとしてくる。
(やっぱ冷静に見たらぜんっぜんかわいくない! お腹が弱点だったよね! 力を使う!!)
私はかみつこうとしてくる歯をすんででかわし、剣で下からその胴をないだ。 するとラージマウスはその巨体を横に倒すと地面を揺らした。
「大丈夫ですかー! ヒカリさん!」
もったりもったりペイスさんが走ってくる。
「うん! 指の借りを返してやったわ!」
「......すごいですね。 私もラージマウスは倒したことがないのに.....」
「でも、これ重すぎて運べないんだけど」
「大丈夫です。 町の問屋さんに言えば取りに来てくれますから、今から私がいってきますね」
そういってもったりもったり、ペイスさんは走っていった。
(あれじゃ私が歩いた方が速いな...... 確かに剣を扱えそうにないか)
そう思いながらしばらく待っていると、荷車を運ぶ数人の男の人と荷車に乗り、ペイスさんがやって来た。
「たまげたな。 ラージマウスなんて大物久しぶりだ!」
「ああ、それもこんな女の子が倒すなんてな。 大したもんだ」
そう男の人たちが褒めた。
「いやー、それほどでもー あるかなー」
誉められるとスポンジのように吸収するタイプの私はそう答える。
「それで、ペイスさんは」
「す、すみません...... 走って帰ると、体力がなくなってしまい......」
「ああ、それで乗ってきたのね」
「じゃあ二人ともこれは俺たちが運ぶから、ただペイスはどうしたものかな」
おじさんが困っている。
「大丈夫です。 私がおぶってかえりますから」
私がそういうとペイスさんはおどろいている。
「おぶるって......」
呆然とするペイスさんをおぶるとそのまま歩き出した。
「えっ!? 待ってくださいヒカリさん! は、恥ずかしいです......」
「でも、もう暗くなるから、ここにおいとくわけにも行かないでしょ、おじさんたちの迷惑にもなるし」
「そ、それはそうですが...... すみません」
そういうと、最初は暴れていたペイスさんはおとなしくなった。
私たちは家に帰り、夕食を取りながら色々話した。
「それにしてもヒカリさん、あんなスピードで突進してくるラージマウスをよくかわせますね。 ても予測しているような動きでしたが、武芸に精通してるのですか?」
「ああ、あれ、私の妙な力なの」
「妙な力? 魔法ですか?」
「わかんない。 私は昔から一時的に思考を加速させられたの、【知覚加速】って名前をつけたけどね」
「思考を加速? 知覚加速ですか......」
ペイスさんは首をかしげている。
「うん、何て言えばいいかな。 短い時間、私だけ周囲より速く考えられるの。 それこそ時がゆっくり進むようにね」
「それでどうやって攻撃をかわしたんでしょうか?」
「生き物が行動するには予備動作が必要でしょ。 それを見て次にどうするかを考えながら動けるの」
「なるほど、相手の動きから予測して攻撃をかわしたんですか! すごいですね! 考えながら行動できるんですね」」
「いやー、そうなんだけど、弱点もあるの。 自分の体もゆっくりだから、絶対避けられるかはわからないし、変な力なのよね」
「なるほど、多分それはスキルですね」
「スキル?」
「えっ? 違うんですか?」
不思議そうにペイスさんは聞いてきた。 取り合えずとりつくろう。
「いやー記憶喪失のせいかなーなんて、でスキルってどういうもの?」
「えーと、魔法とは違い、その人固有の特異な能力です。 私にはないのでわかりませんが、持っている人は限られているとききますね」
(そうかこれスキルなのか...... やっぱり私はこの世界の人間だったんだね)
そう夜ペイスさんの家に泊まり、ベッドでそうなことを考えながら眠った。
次の日、問屋に向かう。 町の外れに大きな建物があり、中は雑多なモンスターの部位が棚や机に並べられていた。
「ああ、ペイス、昨日の代金だよ!」
恰幅のいいおばさんが大きな声でそういい、机にじゃらじゃらとなる袋をおいた。
「ありがとうございます。 パーバラさん」
「そっちが、新しいハンターかい! 私はバーバラ、ずいぶんやるようじゃないかい」
「ええ、ずいぶんやる女、ヒカリです!」
そういうと、バーバラさんは豪快に笑い。
「はっはっはっ。 面白い子ね! モンスターを狩ったら持ってきな。 高値で買ってあげるよ!」
「お願いしまーす!」
私たちはそのまま買い物へと繰り出した。
「バーバラさんが1000ゴールドで買い取ってくれました。 これなら装備も道具も充実させられます」
「へー、お買い物だねぇ」
毒消し、麻痺消しなど薬を手に入れ、鞄も新調した。
「これかわいいよ!!」
私がかわいい鞄を見つける。
「ええ、かわいいですが、あまり中には入りませんけど......」
「いいのよ。実用性だけじゃつまらないもん。 あとは鎧ね。 剣、盾はあるけどペイスさんのお父さんの鎧はブカブカで着れないしね」
「そうですね。 私もさすがにこの薄い服では心もとないですしね」
胸当てをみつけそれを手に取ると、横にナイフの束が置いてある。
「これ......」
「安いですね。 もし剣が使えなくなったときの予備で買いますか」
「そうだね」
私たちは買い物をして、そのまま草原へとおもむいた。
「さあ、今日も元気に狩りますか!」
「ええ、でもあの森の方に入ってみていいですか?」
「あそこの」
私は見えている大きな森を指差す。
「はい、ヒカリさんはお強いですし、森の方がいい素材になるモンスターがいるんです。 ちょっと危険ですが......」
「わかった! じゃあいってみよー」
私たちは森の方ににいってみることにした。
町にはいると洋風の建物が立ち並ぶ。 衣服から見て中世あたりかそのぐらいの文化レベルだ。 しかしガラスなどはあり、いまいち図りかねる。
「ここだ」
兵士の一人、ラバルさんはある家の前で止まった。
「ここは?」
「この町唯一の治癒魔法が使える魔法使いの家なんだ」
「魔法!?」
(魔法なんて完全にファンタジーだ。 まるでゲームの世界みたい...... ということはこの世界の人間だった私の力も魔法なのかも)
「すまんペイス、急患なんだ。 見てやってくれないか」
「はい! いま開けます! 待っててください!」
声が聞こえ、ドアがあくと、そこには私と同じぐらいの女の子がいた。
「どうしました! 急患ってこの方ですか!? 特になにも変なところはありませんが......」
「ああこの娘どうも記憶喪失らしい、頼めるか」
「それは大変ですね。 では入ってください」
「あ、はい」
「じゃあペイス、あとは頼むよ」
「あっ、ありがとうございました」
私はがそういうと、ラバルさんは手を振って帰っていった。
「じゃあこちらに、えっと、お名前は......」
「私はヒカリでーす。 よろしくー」
「私はペイスです。 ではヒカリさんここに座ってください」
(ペイスさんか、めちゃくちゃかわいいな)
そう赤い長い髪の可憐な少女は私を部屋のイスに座るよううながす。
「でも......あのお金ないんで、治癒は結構です」
断ろうとすると、ペイスさんは首をふる。
「お金はとりません。 あくまで治療は慈善なので」
そう笑顔で答えた。
(ば、ばかな!! お金をとらないだとぉ! 慈善か、怪しい...... とはいえこの世界の話を聞きたいからな)
「じゃあお言葉に甘えて......」
私がイスに座ると後ろに回り頭の上で手をかざしているようだ。
(怪しげな宗教とかじゃないよね...... でもこの子どうみても悪い人には見えないし......)
「ヒール」
そうペイスさんがいうと、体が暖かくなり、そして体が光っている。
「わぁ! 体が光ってる」
「ええ、回復の魔法ヒールですから? それもお忘れですか?」
「う、うん、そうみたい......」
(ま、マジで魔法あったー! 指の痛みと赤み消えてるー!! 驚いちゃいけない! 怪しまれるから平常心で)
「あの何か思い出しましたか?」
「んー、ぜんぜん」
(そういうしかないよね)
「ヒールは効いてるのに記憶が戻らない...... 外傷ではなく、心の方かしら」
不思議そうにペイスさんは首をかしげている。
「あ、ああ、そうかも! きっとモンスターに襲われてその時のショックだよ。 でもモンスターを殴ったときの指の痛みはおさまったからもう大丈夫です! ありがとう!」
「モンスターを! 素手で!」
ペイスさんは絶句している。
「いや、急に襲われて...... あっ、そんなことより、ペイスさん何か仕事ないかな。 私お金全くないんだ」
「え、ええと仕事ですか、一応あるにはあるんですが、とても危険ですよ」
「まあ、えっちくないのなら、何でもいいけど」
「えっちく? いえモンスターの討伐なんです、 モンスターの素材は高く売れるんです。 でも当然危険がついて回って」
(やはり、モンスターか...... リスクがあるけど、私の力もあるし、やるしかないよね。 少しお金を借りて、武器を手に入れるか...... ペイスさんに借りられるかな。 やはりここは泣き落としで......)
私がどうやってお金を借りようか思案していたら、ペイスさんはおずおずと話しかけてきた。
「あ、あの、ヒカリさん。 お金が必要なら、私とモンスター討伐に行きませんか。 もちろんよかったらですけれど」
思ってもない提案だった。
(これはラッキー! いや少し渋ってよい条件を...... って体を治してもらって、そんなこといえないよね)
「うん、わたしとしても願ったりだけど、どうして私に?」
「私の本業はモンスターを狩るハンターなんです」
(かわいい顔でなんちゅう仕事をしとるんだ!)
「でも魔法を使うとすぐ疲れるし、その間無防備になるので、あまり量もとれなくて...... でも二人なら魔力の温存ができますし」
そう申し訳ないような顔をしている。
「わかった! 二人でもうけ...... がんばろう!」
「はい!!」
さっそくいろんな話を聞きながら二人で町を出ると、草原へと向かう。
「どうですかヒカリさん? その剣と、盾」
「かなり軽いね。 銀色だけど金属じゃないの?」
どうみても私のような可憐でかよわい女の子が、片手で扱えるわけのない長い両刃の剣をふり、大きめの盾を上下に動かしてみる。
「鉄ですよ。 ハンターだった父の残した剣です。 魔法がかかっていて軽くなっているんです。 軽くても私はどんくさくて振り回されるので使えませんでしたが......」
そういってペイスさんは肩をおとす。
「なるほど、でもモンスターって生物でしょ、勝手に狩ってもかまわないの?」
「ええ、生物といっても、物質や生物の魔力を取り込み凶暴化したものです。 より魔力をえるために人や動物を襲いますし、倒さないとどんどん増えてきます。 それで仕事を失う人も多いんです」
(確かに、正直、この町の人たちも豊かそうではなかったな)
「あと、その魔力って、世界に満ちてるんだよね」
「ええ、生物も自然にも含まれている力...... ですが悪意などが生んだ魔力が集まるとモンスターを産み出すと言われています。 戦争なんか起こるとモンスターが多く発生しますから」
「なら倒しちゃっても平気か!」
「ええ、ですが慎重にいきましょう」
二人で草原を探索する。
「あっ、あそこです! ラージマウス!」
「あいつだ! わたしをおっかけてきたの!」
遠くから地響きを起こしながら、大きなネズミがこちらに突っ込んできた。
「お腹が弱点ですが動きが速いんです! あれは強すぎます! ここは逃げましょう!」
「いや!! つき指の借りを返す!」
「あっ! まって!」
私はペイスさんが止めるのも聞かず前に走った。
ラージマウスは土ぼこりを巻き上げて突進してくる。 そしてその剣のような巨大な二本の前歯を突き立てようとしてくる。
(やっぱ冷静に見たらぜんっぜんかわいくない! お腹が弱点だったよね! 力を使う!!)
私はかみつこうとしてくる歯をすんででかわし、剣で下からその胴をないだ。 するとラージマウスはその巨体を横に倒すと地面を揺らした。
「大丈夫ですかー! ヒカリさん!」
もったりもったりペイスさんが走ってくる。
「うん! 指の借りを返してやったわ!」
「......すごいですね。 私もラージマウスは倒したことがないのに.....」
「でも、これ重すぎて運べないんだけど」
「大丈夫です。 町の問屋さんに言えば取りに来てくれますから、今から私がいってきますね」
そういってもったりもったり、ペイスさんは走っていった。
(あれじゃ私が歩いた方が速いな...... 確かに剣を扱えそうにないか)
そう思いながらしばらく待っていると、荷車を運ぶ数人の男の人と荷車に乗り、ペイスさんがやって来た。
「たまげたな。 ラージマウスなんて大物久しぶりだ!」
「ああ、それもこんな女の子が倒すなんてな。 大したもんだ」
そう男の人たちが褒めた。
「いやー、それほどでもー あるかなー」
誉められるとスポンジのように吸収するタイプの私はそう答える。
「それで、ペイスさんは」
「す、すみません...... 走って帰ると、体力がなくなってしまい......」
「ああ、それで乗ってきたのね」
「じゃあ二人ともこれは俺たちが運ぶから、ただペイスはどうしたものかな」
おじさんが困っている。
「大丈夫です。 私がおぶってかえりますから」
私がそういうとペイスさんはおどろいている。
「おぶるって......」
呆然とするペイスさんをおぶるとそのまま歩き出した。
「えっ!? 待ってくださいヒカリさん! は、恥ずかしいです......」
「でも、もう暗くなるから、ここにおいとくわけにも行かないでしょ、おじさんたちの迷惑にもなるし」
「そ、それはそうですが...... すみません」
そういうと、最初は暴れていたペイスさんはおとなしくなった。
私たちは家に帰り、夕食を取りながら色々話した。
「それにしてもヒカリさん、あんなスピードで突進してくるラージマウスをよくかわせますね。 ても予測しているような動きでしたが、武芸に精通してるのですか?」
「ああ、あれ、私の妙な力なの」
「妙な力? 魔法ですか?」
「わかんない。 私は昔から一時的に思考を加速させられたの、【知覚加速】って名前をつけたけどね」
「思考を加速? 知覚加速ですか......」
ペイスさんは首をかしげている。
「うん、何て言えばいいかな。 短い時間、私だけ周囲より速く考えられるの。 それこそ時がゆっくり進むようにね」
「それでどうやって攻撃をかわしたんでしょうか?」
「生き物が行動するには予備動作が必要でしょ。 それを見て次にどうするかを考えながら動けるの」
「なるほど、相手の動きから予測して攻撃をかわしたんですか! すごいですね! 考えながら行動できるんですね」」
「いやー、そうなんだけど、弱点もあるの。 自分の体もゆっくりだから、絶対避けられるかはわからないし、変な力なのよね」
「なるほど、多分それはスキルですね」
「スキル?」
「えっ? 違うんですか?」
不思議そうにペイスさんは聞いてきた。 取り合えずとりつくろう。
「いやー記憶喪失のせいかなーなんて、でスキルってどういうもの?」
「えーと、魔法とは違い、その人固有の特異な能力です。 私にはないのでわかりませんが、持っている人は限られているとききますね」
(そうかこれスキルなのか...... やっぱり私はこの世界の人間だったんだね)
そう夜ペイスさんの家に泊まり、ベッドでそうなことを考えながら眠った。
次の日、問屋に向かう。 町の外れに大きな建物があり、中は雑多なモンスターの部位が棚や机に並べられていた。
「ああ、ペイス、昨日の代金だよ!」
恰幅のいいおばさんが大きな声でそういい、机にじゃらじゃらとなる袋をおいた。
「ありがとうございます。 パーバラさん」
「そっちが、新しいハンターかい! 私はバーバラ、ずいぶんやるようじゃないかい」
「ええ、ずいぶんやる女、ヒカリです!」
そういうと、バーバラさんは豪快に笑い。
「はっはっはっ。 面白い子ね! モンスターを狩ったら持ってきな。 高値で買ってあげるよ!」
「お願いしまーす!」
私たちはそのまま買い物へと繰り出した。
「バーバラさんが1000ゴールドで買い取ってくれました。 これなら装備も道具も充実させられます」
「へー、お買い物だねぇ」
毒消し、麻痺消しなど薬を手に入れ、鞄も新調した。
「これかわいいよ!!」
私がかわいい鞄を見つける。
「ええ、かわいいですが、あまり中には入りませんけど......」
「いいのよ。実用性だけじゃつまらないもん。 あとは鎧ね。 剣、盾はあるけどペイスさんのお父さんの鎧はブカブカで着れないしね」
「そうですね。 私もさすがにこの薄い服では心もとないですしね」
胸当てをみつけそれを手に取ると、横にナイフの束が置いてある。
「これ......」
「安いですね。 もし剣が使えなくなったときの予備で買いますか」
「そうだね」
私たちは買い物をして、そのまま草原へとおもむいた。
「さあ、今日も元気に狩りますか!」
「ええ、でもあの森の方に入ってみていいですか?」
「あそこの」
私は見えている大きな森を指差す。
「はい、ヒカリさんはお強いですし、森の方がいい素材になるモンスターがいるんです。 ちょっと危険ですが......」
「わかった! じゃあいってみよー」
私たちは森の方ににいってみることにした。
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小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
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作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
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