ある少年少女の御噺

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ある少年が語る御伽噺

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随分と昔の御話です。
私達の國では知らない者はいない
一つの御伽噺...。

昔々ある小さな村に,
それはそれは可愛らしい
双子の兄弟が居ました。
名は紫苑(しえん)と紫雲(しうん)
と云いました。
この2人は不思議な力を持っていました。
その不思議な色合いの瞳で
見つめるだけで幻を見せるのです。
だからでしょうか?
2人は村人達に
とても大切に育てられました。
ある日のことです。
2人が山に行っている間に
村が襲われてしまいました。
2人が山から帰ってくる頃には
村の中心地に艶のある黒い長い髪を
持った女が一人だけ座っており、
その周りには村長を始めとした村人達が腹部から赤黒い液体を流して
倒れていました。
二人は大層驚き、
そして女に恐怖を抱きました。
紫雲か,紫苑か...
どちらかは分かりませんが
物音を少し,ほんの少しだけ
立ててしまいました。
女はその僅かな音を聞き逃さず、
2人の方へとゆっくりゆっくりと
顔を向けました。
女と双子の目が合った瞬間です。  

             ニ    タ    リ

女が口元に笑みを作り

「  み―ツケた  」

一言、呟きました。
二人は逃げ出しました。
深く  深く  森の奥深くへと
全力で、全速力で、
何も考えずに走りました。
ですが女はそんな2人を嘲笑うかの様にゆっくりゆっくりと2人に近づいてきます。
とうとう2人は女に捕まりそうになったその時です。
女目掛けてとても強い強風が
吹き荒れました。
女は抗う間もなく強風に吹き飛ばされ
崖目掛けて落ちていきました。
2人は大層安心しました。
恐怖が去ったのです。
ですが...
その油断が行けなかったのでしょうか?
女は最後の力を振り絞って
2人に呪いを掛けました。
『不老不死』の呪いです。
それからというもの、
2人は死ぬ事も老いる事も無い体を
恨み
妬み
悩んだそうです。
そして村があった森の奥深くで
ひっそり
こっそり
2人で暮らすようになったそうです。
これでこの御伽噺は終わりです。
2人のこのあとは誰も知りません。
2人がどうなったかは
御想像にお任せ致します。
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