395 / 398
第5章
義理の父登場
しおりを挟むやっぱり相手は只者じゃなかった。
狐族が居た男爵家では騎士が到着する前に撤退した僕よりも早く狐族は姿を消していた。
そして次に潜入した伯爵家で証拠となる灰を瓶に移しているところで再会してしまい、僕の存在がバレて捕らえられそうになってしまった。
咄嗟に残り火があった暖炉に爆薬を投げ入れ大爆発を起こし、視界等を遮り影の中に入り込み難を逃れたが…思った以上に爆薬の威力が強く多くの負傷者を出してしまったことが悔やまれる。
しかし、あれだけの爆発の中死者が出なかったのは運が良かった。
残念ながらあれだけ近距離で爆発に巻き込まれたはずの狐族は捕獲されておらず、今も行方が分かっていない状況にある。
相手方に僕という潜入者がいたことがバレてしまった為に僕は迂闊に動けない状況となってしまい影に潜みながら山々を転々と移動しつつ捜査を続けている。
まさかこんなサバイバルな経験をすることになるとは思っていなかった為に、僕は自給自足の野営生活の方法を良く知らず常にお腹はすいている状態で姿もボロボロだ。
こんな姿をノヴァやにぃ様に見られたらショックを受けられそうだ。
暖炉に投げ込んだ爆薬は実は現地で調達したものだった。
恐らく国を混乱に陥れる際にあちこちで爆発を起こすつもりで用意をしていたのであろう爆薬を伯爵家で発見し、その中からいくつか証拠の為に記録と現物を確保していたのだ。
思わず使ってしまったが…あんな威力の物をあちこちでばらまかれたら溜まったもんじゃない。
事前に幻覚魔法を施し、実物は僕の影の中で全て保管していたから今回の爆発があれくらいで済んだ。
もし回収していなかったら連鎖爆発してもっと甚大な被害となっていただろう…
ひっそりと行動しながらも何とかアーバスノイヤー家へ証拠となるであろう灰を入れたガラス瓶を送ることができた僕は影に潜みながら敵の動向を覗っていたのだが…
「何をしているんだい?」
「…マモン…さん」
「マモンで良い。それで?」
不意に真横に気配を感じた瞬間かけられた声に慌てて影の中に沈んだが、声に聞き覚えがあったためひょこっと顔を出すと、そこにはマモンが面白いものを見つけたと言わんばかりの笑顔で頬杖をついてこちらを見ていた。
まさかの悪魔の登場に動揺してしまった為、魔力が乱れ敵が警戒心を強めてしまったので慌ててマモンを連れてその場を離れた。
「もしやあの野蛮共を尾行していたのか?」
「マモン、今はちょっと相手できないです。見ての通り僕は今すっごく忙しい」
「そのようだな。身なりも以前とは全く変わっているし…それ以上痩せては不味そうだ」
悪魔独特の表現にぐっと心にダメージを受ける。
マモンがそう思うってことは、ノヴァもそう思うかもしれないと思って心が痛い。
だけど今帰るわけにはいかないし…身なりを気にしている余裕もない。
「そう言えば…バグが何やらこちらの子達を保護していたな。何やらまたもや面倒事が起こっているのだとか」
「…全て知っていますね?」
「ふふ…息子が伴侶を心配しながらも伴侶の元へ行けない様子なので私がでしゃばってみることにしたのだが…何か私に頼むことがあるのではないか?」
ニヒルに笑うマモンにぐっと唇を噛む。
正直上位悪魔のマモンに手助けしてもらえるのならこれ以上に心強いことはない状況だが…払う代償が大きすぎる可能性が高い。
「もちろんタダではない。この件が終わったら魔界にノヴァと共に来ることが条件だ」
「??それが手助けしてもらうことの対価ですか?」
マモンから告げられた内容があまりにも予想外すぎて、首を傾げて確認する僕にマモンは頷く。
「息子と息子の伴侶を紹介したい者がいる」
「…それ以上の対価は望まないと誓いますか?」
「あぁ、もちろん」
念の為に確認を重ねて、魔法誓約書にサインもしてくれたのでそこで僕はマモンに手助けしてもらうことをお願いした。
狐族が居た男爵家では騎士が到着する前に撤退した僕よりも早く狐族は姿を消していた。
そして次に潜入した伯爵家で証拠となる灰を瓶に移しているところで再会してしまい、僕の存在がバレて捕らえられそうになってしまった。
咄嗟に残り火があった暖炉に爆薬を投げ入れ大爆発を起こし、視界等を遮り影の中に入り込み難を逃れたが…思った以上に爆薬の威力が強く多くの負傷者を出してしまったことが悔やまれる。
しかし、あれだけの爆発の中死者が出なかったのは運が良かった。
残念ながらあれだけ近距離で爆発に巻き込まれたはずの狐族は捕獲されておらず、今も行方が分かっていない状況にある。
相手方に僕という潜入者がいたことがバレてしまった為に僕は迂闊に動けない状況となってしまい影に潜みながら山々を転々と移動しつつ捜査を続けている。
まさかこんなサバイバルな経験をすることになるとは思っていなかった為に、僕は自給自足の野営生活の方法を良く知らず常にお腹はすいている状態で姿もボロボロだ。
こんな姿をノヴァやにぃ様に見られたらショックを受けられそうだ。
暖炉に投げ込んだ爆薬は実は現地で調達したものだった。
恐らく国を混乱に陥れる際にあちこちで爆発を起こすつもりで用意をしていたのであろう爆薬を伯爵家で発見し、その中からいくつか証拠の為に記録と現物を確保していたのだ。
思わず使ってしまったが…あんな威力の物をあちこちでばらまかれたら溜まったもんじゃない。
事前に幻覚魔法を施し、実物は僕の影の中で全て保管していたから今回の爆発があれくらいで済んだ。
もし回収していなかったら連鎖爆発してもっと甚大な被害となっていただろう…
ひっそりと行動しながらも何とかアーバスノイヤー家へ証拠となるであろう灰を入れたガラス瓶を送ることができた僕は影に潜みながら敵の動向を覗っていたのだが…
「何をしているんだい?」
「…マモン…さん」
「マモンで良い。それで?」
不意に真横に気配を感じた瞬間かけられた声に慌てて影の中に沈んだが、声に聞き覚えがあったためひょこっと顔を出すと、そこにはマモンが面白いものを見つけたと言わんばかりの笑顔で頬杖をついてこちらを見ていた。
まさかの悪魔の登場に動揺してしまった為、魔力が乱れ敵が警戒心を強めてしまったので慌ててマモンを連れてその場を離れた。
「もしやあの野蛮共を尾行していたのか?」
「マモン、今はちょっと相手できないです。見ての通り僕は今すっごく忙しい」
「そのようだな。身なりも以前とは全く変わっているし…それ以上痩せては不味そうだ」
悪魔独特の表現にぐっと心にダメージを受ける。
マモンがそう思うってことは、ノヴァもそう思うかもしれないと思って心が痛い。
だけど今帰るわけにはいかないし…身なりを気にしている余裕もない。
「そう言えば…バグが何やらこちらの子達を保護していたな。何やらまたもや面倒事が起こっているのだとか」
「…全て知っていますね?」
「ふふ…息子が伴侶を心配しながらも伴侶の元へ行けない様子なので私がでしゃばってみることにしたのだが…何か私に頼むことがあるのではないか?」
ニヒルに笑うマモンにぐっと唇を噛む。
正直上位悪魔のマモンに手助けしてもらえるのならこれ以上に心強いことはない状況だが…払う代償が大きすぎる可能性が高い。
「もちろんタダではない。この件が終わったら魔界にノヴァと共に来ることが条件だ」
「??それが手助けしてもらうことの対価ですか?」
マモンから告げられた内容があまりにも予想外すぎて、首を傾げて確認する僕にマモンは頷く。
「息子と息子の伴侶を紹介したい者がいる」
「…それ以上の対価は望まないと誓いますか?」
「あぁ、もちろん」
念の為に確認を重ねて、魔法誓約書にサインもしてくれたのでそこで僕はマモンに手助けしてもらうことをお願いした。
240
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
お気に入りに追加
3,259
あなたにおすすめの小説


思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません
りまり
BL
公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。
自由とは名ばかりの放置子だ。
兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。
色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。
それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。
隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です


金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】

婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる