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第5章
王族お抱え医師はまさかの人物
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パシ
「ルナイス!」
地面に倒れるっと覚悟を決めたけれど、地面と衝突する前に転移で現れたノヴァによって受け止められた。
咄嗟に受け止めたのだろうノヴァは腕の中の僕を見て顔色を悪くし、あんまり聞いたことがないくらいの声量で僕の名前を呼ぶから、こんな時なんだけど笑っちゃう。
「刺客…を」
「あぁ…っ!逃がすか!」
「ぐっ!」
ノヴァの姿を捉え、安心したからか完全に視界が見えなくなった。
意識はあるのに目の前が真っ暗だけど、しょっちゅう闇の中に引き籠る僕はこの状況に慣れている。
少し僕の魔法が弱まった隙に逃げようと企んだらしい刺客にすぐ気が付いたノヴァが拘束魔法で相手を捕らえる。
僕が掛けていた拘束魔法は解いていいとのことなので、魔法を解くと体がぐっと重たくなった。
近くで坊が心配そうに鳴いているから大丈夫だと頭を撫でてやりたいが、腕が動かせないのでそれができない。
「ルナイス、移動する」
ノヴァの言葉に頷くと一瞬の浮遊感の後、周りがざわざわとしたことで何処か人の多い所に移動したことが分かる。
「ルナイス、こいつのことを説明できるか?」
「ん…気配消す…弓…毒…風属性…魔力、量…おおい…思う」
「かしこまりました。拘束魔法!あとはこちらで引き受けますので」
「頼んだ」
ノヴァに促されて頷いたはいいけれど、段々口も動かしにくくなっていて上手く伝えられなかったけれど、優秀な恐らく拷問担当部署の人は理解してくれて、拘束魔法をノヴァから引き継ぐと早く行けと言ってくれた。
失礼だが、彼等が刺客を長時間拘束しておけるほどの魔力と技術があるとは思えない。
大丈夫だろうか…と心配になるが、心配したところで今の僕には代わりに刺客を拘束しておけるような余力がない。
また一瞬の浮遊感があった後、消毒液のニオイがツンっと鼻を刺激した。
「場所を借りる!毒に詳しい者はいるか!」
「はい!」
たぶん何処かの病院に転移したのだろうノヴァは僕をベットの上に寝かせると、冷静に素早く周りに指示を出しながら僕の腕に治癒魔法を掛けながら矢をゆっくりと抜いていく。
事前に毒が回るのを防ぐ為、肩は縛られている。
先に痛みを感じないようにしてくれているようで、矢を動かされても痛みはまったく感じない。
「目が見えていませんね」
瞼をくいっと上げられる感触がするとすぐ近くから柔らかい声が聞こえてきた。
気配が薄かったので先程のこともあり反射的に体が動こうとするのを額に指を置かれただけで防がれる。
「私は王家お抱えの医師、リェチーチ・デュボワと申します。アーバスノイヤー公爵家には父がお世話になっております。クレモン・デュボワの息子です」
安心させるように僕の額を撫でながら挨拶をした彼、医師のリェチーチ・デュボワはまさかのクレモンの息子だった。
見えないけど、喋り方から絶対クレモンには似てない。
すごく見たい。
どうにか目を開こうとするのだけれど、ピクピクと痙攣するだけで瞼は持ち上がらない。
「あぁ…無理に開こうとしてはいけない。今は体の力を抜いておいてください。アーバストイヤー家の者は常に毒に体を慣らされていると聞いてます。あの毒を使われてまだ意識があるのだから素晴らしい。」
「リェチーチ様どけてください!ウォード様今から解毒剤を投与しますね。チクッとしますよぉ」
状況は見えないけれど、たぶんリェチーチさんが来る前に採血して使われた毒を調べてくれたのであろう人物が近くにいただろうリェチーチさんを雑に避けて、僕には優しい感じで声をかけてくれた。
チクっとしたのは一瞬で処置をしてくれた人は次の仕事があるからと僕の経過観察をリェチーチさんに引きついて次の現場へと駆けて行ってしまった。
僕の口からお礼を言いたかったのだけどできず、代わりにノヴァがお礼を言ってくれていたけれど後程改めて僕から感謝の手紙を送ろう。
「ルナイス!」
地面に倒れるっと覚悟を決めたけれど、地面と衝突する前に転移で現れたノヴァによって受け止められた。
咄嗟に受け止めたのだろうノヴァは腕の中の僕を見て顔色を悪くし、あんまり聞いたことがないくらいの声量で僕の名前を呼ぶから、こんな時なんだけど笑っちゃう。
「刺客…を」
「あぁ…っ!逃がすか!」
「ぐっ!」
ノヴァの姿を捉え、安心したからか完全に視界が見えなくなった。
意識はあるのに目の前が真っ暗だけど、しょっちゅう闇の中に引き籠る僕はこの状況に慣れている。
少し僕の魔法が弱まった隙に逃げようと企んだらしい刺客にすぐ気が付いたノヴァが拘束魔法で相手を捕らえる。
僕が掛けていた拘束魔法は解いていいとのことなので、魔法を解くと体がぐっと重たくなった。
近くで坊が心配そうに鳴いているから大丈夫だと頭を撫でてやりたいが、腕が動かせないのでそれができない。
「ルナイス、移動する」
ノヴァの言葉に頷くと一瞬の浮遊感の後、周りがざわざわとしたことで何処か人の多い所に移動したことが分かる。
「ルナイス、こいつのことを説明できるか?」
「ん…気配消す…弓…毒…風属性…魔力、量…おおい…思う」
「かしこまりました。拘束魔法!あとはこちらで引き受けますので」
「頼んだ」
ノヴァに促されて頷いたはいいけれど、段々口も動かしにくくなっていて上手く伝えられなかったけれど、優秀な恐らく拷問担当部署の人は理解してくれて、拘束魔法をノヴァから引き継ぐと早く行けと言ってくれた。
失礼だが、彼等が刺客を長時間拘束しておけるほどの魔力と技術があるとは思えない。
大丈夫だろうか…と心配になるが、心配したところで今の僕には代わりに刺客を拘束しておけるような余力がない。
また一瞬の浮遊感があった後、消毒液のニオイがツンっと鼻を刺激した。
「場所を借りる!毒に詳しい者はいるか!」
「はい!」
たぶん何処かの病院に転移したのだろうノヴァは僕をベットの上に寝かせると、冷静に素早く周りに指示を出しながら僕の腕に治癒魔法を掛けながら矢をゆっくりと抜いていく。
事前に毒が回るのを防ぐ為、肩は縛られている。
先に痛みを感じないようにしてくれているようで、矢を動かされても痛みはまったく感じない。
「目が見えていませんね」
瞼をくいっと上げられる感触がするとすぐ近くから柔らかい声が聞こえてきた。
気配が薄かったので先程のこともあり反射的に体が動こうとするのを額に指を置かれただけで防がれる。
「私は王家お抱えの医師、リェチーチ・デュボワと申します。アーバスノイヤー公爵家には父がお世話になっております。クレモン・デュボワの息子です」
安心させるように僕の額を撫でながら挨拶をした彼、医師のリェチーチ・デュボワはまさかのクレモンの息子だった。
見えないけど、喋り方から絶対クレモンには似てない。
すごく見たい。
どうにか目を開こうとするのだけれど、ピクピクと痙攣するだけで瞼は持ち上がらない。
「あぁ…無理に開こうとしてはいけない。今は体の力を抜いておいてください。アーバストイヤー家の者は常に毒に体を慣らされていると聞いてます。あの毒を使われてまだ意識があるのだから素晴らしい。」
「リェチーチ様どけてください!ウォード様今から解毒剤を投与しますね。チクッとしますよぉ」
状況は見えないけれど、たぶんリェチーチさんが来る前に採血して使われた毒を調べてくれたのであろう人物が近くにいただろうリェチーチさんを雑に避けて、僕には優しい感じで声をかけてくれた。
チクっとしたのは一瞬で処置をしてくれた人は次の仕事があるからと僕の経過観察をリェチーチさんに引きついて次の現場へと駆けて行ってしまった。
僕の口からお礼を言いたかったのだけどできず、代わりにノヴァがお礼を言ってくれていたけれど後程改めて僕から感謝の手紙を送ろう。
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