王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰

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第4章

煽るホルス様と仄暗い笑みを浮かべるノヴァ

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完全に煙がなくなった頃、やっと卵に頬擦りするレッドドラゴンの姿とそんなレッドドラゴンの尻尾を踏んずけているホルス様の姿が見えた。


結構な力でホルス様に尻尾を踏まれているはずなのだけど、我が子が見つかった喜びからなのかレッドドラゴンが尻尾を気にする様子はない。





『おいガーネット。正気に戻ったならさっさと熱を下げろ。』


『はい!』



上下関係が完全に出来上がったようで、ホルス様が卵に頬擦りするレッドドラゴン、ガーネットにひっくい声で体から放つ熱を下げるよう命令するとガーネットは素直に返事をした。

距離があるし氷壁で守られているのでガーネットが無事熱波を抑えたのかは分からないけれど、ガーネットを踏んずけているホルス様は大丈夫なのだろうか?



僕よりも全然熱に耐性があるようだけど、火傷したりしてないかな?





ホルス様が心配になってそわそわしだす僕に気が付いたパンがピュンっとホルス様の方へ飛んでいき


『ノワール様!怪我ない?ルナイスが心配してる!』


とわざわざ伝えに行ってくれた。





『僕が見張ってるよ!』

と頼もしいことを言い胸を張るパンにホルス様も思わずといった感じで笑い、人型を取ると僕の方へと来てくれた。










「ホルス様!」


「ルナイス案ずるな。我は無傷であるし、あいつ如きの熱波では火傷も負わん。」



氷壁のぎりぎりで待ってた僕は目の前に来たホルス様にがばっと抱き着く。

そんな僕を受け止め、更に抱き上げて氷壁の方へと歩きながらホルス様は自分が無傷であると示すように僕を持ち上げたり左右の腕に乗せたりと逞しい筋力を披露してくれた。



麗しいご尊顔が間近にあり、しかも逞しい筋力まで魅せつけられ僕は照れ照れとホルス様の腕の中で悶えていたのだが…不意に凄く不穏な気配を感じてぱっと視線を向けた先には暗い目をしたノヴァが…


慌ててホルス様に降ろしてもらいノヴァに抱き着くが、ノヴァはそんな僕をじっと見つめるばかりで一向に抱きしめ返してはくれない。





やばい


これは完全に機嫌を損ねた。






「なんだノヴァ。番が我に見惚れて悔しいのは分かるが、だからと甘える番を抱きしめないのは立派な雄とは言えんぞ。」

どうしようっと焦る僕の背後からホルス様がノヴァを揶揄うような声が聞こえてきてピシっと僕の背筋が伸びる。


今…今ノヴァを揶揄っちゃだめだ!




更に慌てる僕だったけど、上から重たいため息が吐き出されて顔を上げれば光の戻った目があった。





「ルナイスが恋とは別の感情でホルス様を特別好いていることは分かっているが、他の男に抱き着いて見惚れる姿は正直面白くない。」


「うん。僕も逆の立場だったら面白くない。ごめんねノヴァ。」


本当に反省しているし、気を付ける気はあるのだけど、毎回無意識というか…反射的に抱き着いてしまっているからとーさまとにぃ様とホルス様に関しては抱き着かないって断言できない。


それが分かっているのか、ノヴァも苦笑いで…




「分かってる。でも他の者に抱き着いたらその時は…お仕置きするから。」


「はい!」




最後に仄暗い笑みを浮かべたノヴァに勢いよくきっちりと返事を返す。

そこでようやくノヴァが僕の背に腕を回し抱きしめ返してくれて僕の口からほっと息が漏れ出た。



自分が思っている以上にノヴァに執着していることを再確認して何とも言えない気持ちになったけれど、最近ノヴァも独占欲が強くなっているように感じるからお互い様って感じなのかなっと思うとふふっと笑いが込み上げてきた。

ノヴァが不思議そうに僕の顔を覗き込んできたけれど、何でもないと笑いぎゅっと更に強く抱き着いて誤魔化した。






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【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
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