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第4章
新たな皇帝誕生
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言わなくても分かっているはずだけど、何だか心配になった僕は念の為この誓約を破ったらそれなりの罰が下ることを説明しておいた。
第六皇子は理解しているっと言ったが…何だか不安だ。
「貴方の信頼できる従者や部下はいる?」
「…カリオン。」
僕の質問に皇子が一人の護衛騎士を呼んだ。
皇子の背後に控え、ただ静かに事の成り行きを見守っていた人物が一歩前に出てきた。
カリオンと呼ばれた屈強な男はただ静かに僕達を見据えている。
「君にも念の為言っておくね。今回の契約を破った場合すぐに僕達はそれが分かるし、破った瞬間に契約者に死には至らないもののそれなりの罰が課されます。そうならないよう、第六皇子が信頼する貴方も十分に注意してください。」
「御意。心遣い感謝いたします。」
僕の言葉にカリオンは驚くほど従順だ。
「…君にもう一点聞きたいことができたんだけど、いいかな?」
「なんなりと。」
「…君は今回の僕が提案したことに対してどう思ってる?」
ラオイン帝国を襲撃し、無理矢理彼の主を王座に座らせる僕達にあまりにも低姿勢な彼の様子が気になって尋ねた。
「…私には闇属性適合者である弟がおりました。しかし代々王家に仕える家としてそれは決して許されるものではなく、弟は適合属性が判明したその瞬間に首を刎ねられ殺されました。…その死に目に私はおらず、弟はそのまま燃やされ灰となったと聞いています。私は長年弟のことが忘れられず…ずっと何故弟が無残に殺されなければならなかったのか…何故弟が殺されて両親は笑っているのか…理解ができずにおりました。疑問や怒りを感じながらも私は今まで何もしてこなかった。…ですので、正直申し上げますと貴方達の革命に私は泣き出したいような、嬉しいような、恥ずかしいような…そんな気持ちなのです。」
カリオンはそう言ってふっと無表情の顔に笑みを見せた。
そんなカリオンの様子に皇子は心底驚いたようで…そして初めて聞いた信頼する従者の本音に何か言おうとして…けれども、紡ぐ言葉が思い浮かばないのか口を何度も開閉し、そして唇をぐっと噛み締めた。
「理解しました。ありがとうございます。」
「とんでもない…ラギ皇子、先程の言葉は紛れもない私の本音であります。王政に背く意思を持ちながら貴方様に仕えていた私をどうぞ罰してくださいませ。」
正直に話してくれたカリオンに礼を述べるとカリオンは儚く微笑み、そして第六皇子の前に跪いた。
「…お前に闇属性適合者の弟が居たことを私は知らなかった。いつも傍に仕えていてくれたお前の気持ちを考えることをしなかった。…それに私も父上…皇帝の政策には嫌悪する気持ちを抱えていた。しかし反旗を翻す意気地もなく小さな反抗しかできなかった。これからの政治にはこれまでの政治を変えたいという強い思いが必要になる。これからもよろしく頼むぞ。」
目の前に跪くカリオンに第六皇子は同じように膝を折り、そしてカリオンの手を取った。
カリオンも第六皇子も互いに強い眼差しで見つめ合い、そして強く頷き合い抱擁を交わした。
何か歴史的瞬間に立ち会った気持ちである。
「水を差すようで悪いが、あまり時間がない。我等シュバルツへの降伏を宣言し新たな法案の発表をしてもらいたいのだが。」
「え!今すぐにですか!?」
「えぇ。無駄に長引かせては無用な犠牲者が増えるだけなので。」
何だか生温い空気の中、ノヴァが冷静に言い放った言葉に第六皇子が目をまんまるにして声を上げる。
そんな第六皇子の言葉にノヴァは極めて冷静にそして淡々と返事をして、更にはさっさと立ってくださいとまで言った。
そうして大まかな話が纏まったラオイン帝国では第六皇子が新たに王座に着き(文句を言って邪魔する奴等は強制的に政権から除名した)、第六皇子ラギ・ラオインから連合国と国民達に新たな法案の発表がなされた。
___________
前ページに修正しています。
少しストーリーに関わってくる内容を修正しましたので、気になる方は一度ご覧いただけたらと思います。
第六皇子は理解しているっと言ったが…何だか不安だ。
「貴方の信頼できる従者や部下はいる?」
「…カリオン。」
僕の質問に皇子が一人の護衛騎士を呼んだ。
皇子の背後に控え、ただ静かに事の成り行きを見守っていた人物が一歩前に出てきた。
カリオンと呼ばれた屈強な男はただ静かに僕達を見据えている。
「君にも念の為言っておくね。今回の契約を破った場合すぐに僕達はそれが分かるし、破った瞬間に契約者に死には至らないもののそれなりの罰が課されます。そうならないよう、第六皇子が信頼する貴方も十分に注意してください。」
「御意。心遣い感謝いたします。」
僕の言葉にカリオンは驚くほど従順だ。
「…君にもう一点聞きたいことができたんだけど、いいかな?」
「なんなりと。」
「…君は今回の僕が提案したことに対してどう思ってる?」
ラオイン帝国を襲撃し、無理矢理彼の主を王座に座らせる僕達にあまりにも低姿勢な彼の様子が気になって尋ねた。
「…私には闇属性適合者である弟がおりました。しかし代々王家に仕える家としてそれは決して許されるものではなく、弟は適合属性が判明したその瞬間に首を刎ねられ殺されました。…その死に目に私はおらず、弟はそのまま燃やされ灰となったと聞いています。私は長年弟のことが忘れられず…ずっと何故弟が無残に殺されなければならなかったのか…何故弟が殺されて両親は笑っているのか…理解ができずにおりました。疑問や怒りを感じながらも私は今まで何もしてこなかった。…ですので、正直申し上げますと貴方達の革命に私は泣き出したいような、嬉しいような、恥ずかしいような…そんな気持ちなのです。」
カリオンはそう言ってふっと無表情の顔に笑みを見せた。
そんなカリオンの様子に皇子は心底驚いたようで…そして初めて聞いた信頼する従者の本音に何か言おうとして…けれども、紡ぐ言葉が思い浮かばないのか口を何度も開閉し、そして唇をぐっと噛み締めた。
「理解しました。ありがとうございます。」
「とんでもない…ラギ皇子、先程の言葉は紛れもない私の本音であります。王政に背く意思を持ちながら貴方様に仕えていた私をどうぞ罰してくださいませ。」
正直に話してくれたカリオンに礼を述べるとカリオンは儚く微笑み、そして第六皇子の前に跪いた。
「…お前に闇属性適合者の弟が居たことを私は知らなかった。いつも傍に仕えていてくれたお前の気持ちを考えることをしなかった。…それに私も父上…皇帝の政策には嫌悪する気持ちを抱えていた。しかし反旗を翻す意気地もなく小さな反抗しかできなかった。これからの政治にはこれまでの政治を変えたいという強い思いが必要になる。これからもよろしく頼むぞ。」
目の前に跪くカリオンに第六皇子は同じように膝を折り、そしてカリオンの手を取った。
カリオンも第六皇子も互いに強い眼差しで見つめ合い、そして強く頷き合い抱擁を交わした。
何か歴史的瞬間に立ち会った気持ちである。
「水を差すようで悪いが、あまり時間がない。我等シュバルツへの降伏を宣言し新たな法案の発表をしてもらいたいのだが。」
「え!今すぐにですか!?」
「えぇ。無駄に長引かせては無用な犠牲者が増えるだけなので。」
何だか生温い空気の中、ノヴァが冷静に言い放った言葉に第六皇子が目をまんまるにして声を上げる。
そんな第六皇子の言葉にノヴァは極めて冷静にそして淡々と返事をして、更にはさっさと立ってくださいとまで言った。
そうして大まかな話が纏まったラオイン帝国では第六皇子が新たに王座に着き(文句を言って邪魔する奴等は強制的に政権から除名した)、第六皇子ラギ・ラオインから連合国と国民達に新たな法案の発表がなされた。
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前ページに修正しています。
少しストーリーに関わってくる内容を修正しましたので、気になる方は一度ご覧いただけたらと思います。
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【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
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