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第4章
やったことはやり返されても仕方ないでしょ
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ホルス様に乗せてもらってやってきたのは白の裏手の森の方。
そこではノヴァの言っていたとおり第六皇子と思われる人物を羽交い絞めにして止める従者達の姿があった。
「ほらな!どうせ私が出向かずとも逃げ切れんのだ!離せ馬鹿共!!」
「っまて!何であいつらがあんたを指名したのかも分かんねーのに行かせるわけにはいかねーだろ!!」
ドラゴンに乗って出向いた僕達を見て更に口論が白熱する彼等は危機感っていうものがあるのかないのか…
「あのぅ…貴方が第六皇子で間違いないです?」
「そうだ!」
「違う!」
話かけにくいなぁっと思いながら勇気を出して声を掛ければ、一方は肯定し一方は否定するという…
まぁ違うわけないことは僕も分かっていたから一応問いかけてみただけなんだけど、ざっと皇子を隠すように僕達の間に立つ従者達からは絶対に皇子を守る!って気概が伺える。
それはとってもいいことだと思うのだけど、今の僕にはちょっと邪魔。
「拘束魔法」
僕の扱う魔法だと力が強すぎて必要以上に傷つけてしまうから従者達の排除はノヴァにお任せ。
とーさま直伝の拘束魔法で全部まとめて縛り上げてくれた。
「君に危害を加える気はないよ。只話し合いをしたいの。」
「あぁ。私も貴殿と話したいと思っていた。貴殿等のおかげで崩壊してしまっているが…こちらへ。あぁ、その者達には怪我を負わせてほしくないのだが。」
「もちろん。すごく反抗してこなければ僕達から危害を加えることはしない。」
第六皇子は落ち着いた様子で、僕達を使えそうな部屋に通してくれた。
ホルス様も人の姿になって僕の背後に控えてくれているのだけど、人の姿になったホルス様に第六皇子は驚いて後程ホルス様についても聞かせて欲しいっとキラキラした目でお願いされた。
危機感のない皇子だ…
「さて、伝令係から大方の話は聞いている。私を王座に置きたい…間違いないか。」
「えぇ。僕は別にラオイン帝国の破滅は望んでいません。どうでもいいです。ただラオイン帝国率いる連合国の闇属性適合者への迫害は我がアーナンダ国にも伝わってくるほどに最悪な状況です。僕はその状況が許せない。」
椅子に腰を掛けて話し始めた第六皇子は先程迄の雰囲気とはガラリと変わって冷静でそして威厳に満ちて見える。
あのラオイン帝国皇帝にはなかったものだ。
「私も闇属性適合者への異常なまでの嫌悪については改善しなければならない問題と考えていた。迫害何てものじゃない…無差別で知性の欠片もない虐殺だ。ただ…貴方の望むような結果をすぐに出すことはできない。」
「それは何故です?」
「分かるだろう?法を変えることはすぐにでも可能だが、人の中に沁みついた憎悪や嫌悪、思想はすぐに変えることはできない。」
「それは貴方が生温いやり方しか考えていないからでしょ?僕はそんなに優しい人間じゃないんだ。人の思想はすぐ変えられずとも人の思想を奪い強制的に抑制することはできる。」
僕の言葉に第六皇子は眉間に皺を寄せ僕を睨みつける。
「力で捻じ伏せるつもりか。」
「君達が僕達にやってきたことでしょ?自分達がやられる側に立ったら許せないって言うの?」
「っ」
僕はまだ守ってくれる人達が居た。
だけど守ってくれる人がいなかった1~5番達は理不尽な暴力に屈するしかなかった。
殺される恐怖、悪戯に弄ばれる恐怖、自分達を同じ生命として扱わない者達への恐怖
そんな沢山の恐怖に怯えて毎日を生きて、そして無残に踏みつけられてきた。
「僕は怒ってるんだ。ずっとずーっと…僕達を正当な理由なく弄んできた奴等を何の痛みもなく終わらせるわけないじゃん。因果応報。僕達にやってきたことなんだ…やり返されても仕方ないでしょ?」
そう
僕は平和的解決なんて望んでいない。
誰も傷つけずに革命を?
そんなことできたら凄いと思うけど、誰も傷つけることなく大きな変化を起こすことはできない。
何の代償も払わずに人は考えを変えることはできない。
それは前世の世界でもそうだったと記憶している。
僕達は物言わない道具じゃないんだ。
人並みの怒りを持っていて、僕達を傷つけた者達に同じだけの…それ以上の苦しみを味合わせてやりたいって歪んだ強い思いがある。
「…どうするつもりだ。」
「安心してよ。肉体的に傷つけることはしないし、まだ幼い子には手を出さない。それに理解を示さず反乱を起こす者のみに、ただ悪夢を見せてやるだけだよ。とびっきりの悪夢をね。」
まだ意思を持たない幼い子や新たな法案に賛成の意を示す者も多くいるだろうが、納得いかないと反乱を起こす者も多くいるだろう。
本当なら世界中に魔法を巡らせて強制的に全員に悪夢を見せるやり方の方が楽なのだけど、消費する魔力が尋常じゃない点と、反対の意思のない者まで巻き込んでやることじゃないという判断で抵抗する者だけに悪夢を見せることになったのだ。
大多数は直ぐに事を起こすだろうけど、その後にぽろぽろ差別主義者が出てくるだろうから時間はかかってしまうけれど…
「その前に…今ここで誓約書に署名して。前皇帝なき今、王座に第六皇子を置き、第六皇子は適正属性による不当な迫害を硬く禁じることを立法し、これを犯した者には既定の罰を受けた後、終身刑を言い渡す。そして迫害をしている現場を見て、聞いていたのに見て見ぬ振りをした者も同罪とする。騎士団は定期的な巡回をし、法を犯す者がいないか厳重に取り締まる。」
ほいっと魔法誓約書を出して第六皇子に突き出す。
「法を変えることはすぐにでも可能…なんだよね?」
「っ!」
なかなか署名をしようとしない第六皇子に先程皇子自身が言った言葉を使って促せば顔を顰めながらも渋々署名をした。
僕としては何をそんなに難しく考えているのか不思議でならない。
今まで迫害してきた者全員に死刑を言い渡すでもあるまいし、アーナンダ国や僕達シュバルツの従国になれと言っているわけでもない。
大方、このまま僕達の要件を全て飲み込めば、この先もいいように扱おうとするだろうとか、国民や連合に示しがつかないだとか考えているのだろうけど…
________
令和6年10月15日
公開後、少し横暴すぎる策をルナイスが取ろうとしているなっと思い内容を少し変更しました。
今後のストーリーに関わってくる部分だった為、ここで報告させていただきます。
そこではノヴァの言っていたとおり第六皇子と思われる人物を羽交い絞めにして止める従者達の姿があった。
「ほらな!どうせ私が出向かずとも逃げ切れんのだ!離せ馬鹿共!!」
「っまて!何であいつらがあんたを指名したのかも分かんねーのに行かせるわけにはいかねーだろ!!」
ドラゴンに乗って出向いた僕達を見て更に口論が白熱する彼等は危機感っていうものがあるのかないのか…
「あのぅ…貴方が第六皇子で間違いないです?」
「そうだ!」
「違う!」
話かけにくいなぁっと思いながら勇気を出して声を掛ければ、一方は肯定し一方は否定するという…
まぁ違うわけないことは僕も分かっていたから一応問いかけてみただけなんだけど、ざっと皇子を隠すように僕達の間に立つ従者達からは絶対に皇子を守る!って気概が伺える。
それはとってもいいことだと思うのだけど、今の僕にはちょっと邪魔。
「拘束魔法」
僕の扱う魔法だと力が強すぎて必要以上に傷つけてしまうから従者達の排除はノヴァにお任せ。
とーさま直伝の拘束魔法で全部まとめて縛り上げてくれた。
「君に危害を加える気はないよ。只話し合いをしたいの。」
「あぁ。私も貴殿と話したいと思っていた。貴殿等のおかげで崩壊してしまっているが…こちらへ。あぁ、その者達には怪我を負わせてほしくないのだが。」
「もちろん。すごく反抗してこなければ僕達から危害を加えることはしない。」
第六皇子は落ち着いた様子で、僕達を使えそうな部屋に通してくれた。
ホルス様も人の姿になって僕の背後に控えてくれているのだけど、人の姿になったホルス様に第六皇子は驚いて後程ホルス様についても聞かせて欲しいっとキラキラした目でお願いされた。
危機感のない皇子だ…
「さて、伝令係から大方の話は聞いている。私を王座に置きたい…間違いないか。」
「えぇ。僕は別にラオイン帝国の破滅は望んでいません。どうでもいいです。ただラオイン帝国率いる連合国の闇属性適合者への迫害は我がアーナンダ国にも伝わってくるほどに最悪な状況です。僕はその状況が許せない。」
椅子に腰を掛けて話し始めた第六皇子は先程迄の雰囲気とはガラリと変わって冷静でそして威厳に満ちて見える。
あのラオイン帝国皇帝にはなかったものだ。
「私も闇属性適合者への異常なまでの嫌悪については改善しなければならない問題と考えていた。迫害何てものじゃない…無差別で知性の欠片もない虐殺だ。ただ…貴方の望むような結果をすぐに出すことはできない。」
「それは何故です?」
「分かるだろう?法を変えることはすぐにでも可能だが、人の中に沁みついた憎悪や嫌悪、思想はすぐに変えることはできない。」
「それは貴方が生温いやり方しか考えていないからでしょ?僕はそんなに優しい人間じゃないんだ。人の思想はすぐ変えられずとも人の思想を奪い強制的に抑制することはできる。」
僕の言葉に第六皇子は眉間に皺を寄せ僕を睨みつける。
「力で捻じ伏せるつもりか。」
「君達が僕達にやってきたことでしょ?自分達がやられる側に立ったら許せないって言うの?」
「っ」
僕はまだ守ってくれる人達が居た。
だけど守ってくれる人がいなかった1~5番達は理不尽な暴力に屈するしかなかった。
殺される恐怖、悪戯に弄ばれる恐怖、自分達を同じ生命として扱わない者達への恐怖
そんな沢山の恐怖に怯えて毎日を生きて、そして無残に踏みつけられてきた。
「僕は怒ってるんだ。ずっとずーっと…僕達を正当な理由なく弄んできた奴等を何の痛みもなく終わらせるわけないじゃん。因果応報。僕達にやってきたことなんだ…やり返されても仕方ないでしょ?」
そう
僕は平和的解決なんて望んでいない。
誰も傷つけずに革命を?
そんなことできたら凄いと思うけど、誰も傷つけることなく大きな変化を起こすことはできない。
何の代償も払わずに人は考えを変えることはできない。
それは前世の世界でもそうだったと記憶している。
僕達は物言わない道具じゃないんだ。
人並みの怒りを持っていて、僕達を傷つけた者達に同じだけの…それ以上の苦しみを味合わせてやりたいって歪んだ強い思いがある。
「…どうするつもりだ。」
「安心してよ。肉体的に傷つけることはしないし、まだ幼い子には手を出さない。それに理解を示さず反乱を起こす者のみに、ただ悪夢を見せてやるだけだよ。とびっきりの悪夢をね。」
まだ意思を持たない幼い子や新たな法案に賛成の意を示す者も多くいるだろうが、納得いかないと反乱を起こす者も多くいるだろう。
本当なら世界中に魔法を巡らせて強制的に全員に悪夢を見せるやり方の方が楽なのだけど、消費する魔力が尋常じゃない点と、反対の意思のない者まで巻き込んでやることじゃないという判断で抵抗する者だけに悪夢を見せることになったのだ。
大多数は直ぐに事を起こすだろうけど、その後にぽろぽろ差別主義者が出てくるだろうから時間はかかってしまうけれど…
「その前に…今ここで誓約書に署名して。前皇帝なき今、王座に第六皇子を置き、第六皇子は適正属性による不当な迫害を硬く禁じることを立法し、これを犯した者には既定の罰を受けた後、終身刑を言い渡す。そして迫害をしている現場を見て、聞いていたのに見て見ぬ振りをした者も同罪とする。騎士団は定期的な巡回をし、法を犯す者がいないか厳重に取り締まる。」
ほいっと魔法誓約書を出して第六皇子に突き出す。
「法を変えることはすぐにでも可能…なんだよね?」
「っ!」
なかなか署名をしようとしない第六皇子に先程皇子自身が言った言葉を使って促せば顔を顰めながらも渋々署名をした。
僕としては何をそんなに難しく考えているのか不思議でならない。
今まで迫害してきた者全員に死刑を言い渡すでもあるまいし、アーナンダ国や僕達シュバルツの従国になれと言っているわけでもない。
大方、このまま僕達の要件を全て飲み込めば、この先もいいように扱おうとするだろうとか、国民や連合に示しがつかないだとか考えているのだろうけど…
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令和6年10月15日
公開後、少し横暴すぎる策をルナイスが取ろうとしているなっと思い内容を少し変更しました。
今後のストーリーに関わってくる部分だった為、ここで報告させていただきます。
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