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第4章
対価には…なりません!
しおりを挟む魔法陣の中央には色んな生き物の死骸が重ね上げられている。
眼球が黄色っぽくにごり、絶命してから既にしばらくの時が経っていることが伺える。
腐敗臭と濃厚な鉄の臭いが嗅覚を刺激する。
その死骸の周りに拘束しておかれているのは僕を含めた6人の者。
恐らく魔力の多い者が選ばれているのだろう。
そこにノヴァが居ないのは、たぶんノヴァが純粋な闇属性適合者ではないから。
魔法陣の外ではノヴァが怒り狂っているが、コルダ達の全力の制止で何とか止まっている。
魔法陣の周りにはノヴァ達以外にも多くの者が居て、その中には1~4番も居る。
3番は俯いていて強く掌を握りしめている。
4番も視線を外していて、2番はこちらをしっかりと見ているがその手はぐっと握られている。
1番はこちらを見ているが、どこか疲れているような表情をしている。
彼等は自分達が安心して暮らせる所を造るために今回のことを起こしていると言っているが、根っこの部分ではきっと自分達の人生に疲れきっていて、そして諦めている。
今回のことも成功させたいっとは思いながらも、別に成功せず捕縛され処刑されてもそれでもいいと思っているのだろう。
グゥロロロロロロロロ!!!
いよいよ5番が魔法陣に魔力を流そうって時
突然の咆哮に全員が空を見上げた。
『ルナイス来たぞ。』
『流石ホルス様!完璧なタイミングです!』
その咆哮は僕が待ち望んでいた声で、そして僕が対価にされても落ち着いていた理由である。
真っ黒なドラゴンであるホルス様を見て僕達以外は皆目と口を開いて唖然としている。
5番のフードも取れて顎をガクガク震えさせている。
5番の肌は緑色で、しかし姿は人であることから推測するに…たぶんゴブリンと人の混血種。
ゴブリンに襲われた人族から生まれたのだろう。
それで闇属性適合者ならば納得だが悲惨だ。
ドスンっと砂埃を立てて地に足を着いたホルス様によって魔法陣は破壊される。
ホルス様は僕の頬にすりっと軽く頭をすりつけてホルス様が僕に懐いている様子を周りへと見せつける。
実はどこかでホルス様には登場してもらおうと思っていたのだけど、対価に選ばれたと聞いてここだ!とホルス様とは事前に念話でやり取りしていたのだ。
だからホルス様も今のこの状況をきちんと理解している。
「お、お前…それ…」
「黒龍…もしかして!お前はルナイス・アーバスノイヤー!?」
1番がホルス様を指さし何かを言おうとしたが、4番の声に遮られ、そして4番の言葉に周りの者達が何!?っと声を上げ動揺し始める。
まさか4番がホルス様と僕の関係を知っているとは予想外。
しかし今更僕がルナイスであるとバレたところで僕の計画に支障はない。
「最初から罠だったのか…」
ぽつりと3番の声が聞こえてきて、僕は僕を睨みながら瞳を潤ませる3番の前に立つ。
「僕は僕の目的の為に君についてここに来た。だけどそれはこの集団を壊滅させるためじゃない。むしろ壊滅させないために僕は此処に居る。」
僕がそう言っても3番の鋭い視線は変わらない。
「ドラゴンまで呼び寄せて、魔法陣を壊しておいて壊滅させないために此処に居る!?信用できると思うか?するわけないだろう!!」
3番の言葉にうん、だよねっと頷く。
でも信用してもらわないといけない。
「僕はアーナンダ国だけじゃなく全国の闇属性適合者への迫害を失くしたい。僕だって何度も何度も闇属性適合者ってだけで殺されそうになってきたんだ。いい加減うんざり。だから君達を利用して君達とは違うやり方で革命を起こす!」
僕はあんまり出さない大きな声でそう宣言をする。
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