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第4章
思ったよりも酷い状況
しおりを挟む再び馬車を動かしてヒュー様の元へ向かう間、数はあまりないけれど度々魔獣が行く手を阻んだ。
監視用に使われている魔獣は数体居ると見ていいだろう。
札が張られた魔獣を見つけ次第始末して捉えるようにも言っていて、既に5体は捉えている。
ここまでの仕掛けの規模から単独犯の可能性は低いと言える。
そういして護衛達が戦い、捉えを繰り返してやっと僕達はヒュー様の部隊と合流することができた。
「ルナイス!」
僕達の馬車にすぐに近寄ってきたヒュー様はノヴァにエスコートされて馬車から降りた僕をぎゅっと抱きしめてきた。
ヒュー様にしては珍しく、心配していたことが全面に出ている。
いつも隠して茶化すことが多い人なので驚いた。
「怪我はないか?」
「はい。優秀な護衛達が付いてますので。」
「はぁ…そうだな。ノヴァも居るしルナイスも強いからな。」
僕の言葉と笑みに安心した様子で息を吐き出したヒュー様の言葉にドキドキの心臓が脈打つ。
トキメキとかではなく、何かこう…普段あまりそう言うの言わない人から褒められたことが嬉しくて。
口喧嘩をよくする僕達だけど、小さい頃からよく一緒に居て、僕にとってはにぃ様のような存在であるヒュー様に認めてもらえているということが思ったよりも嬉しかった。
「ん?照れてるのか?」
「っ…五月蠅いです。ヨハネス!この意地悪な人間に説明してあげて!」
何時もの調子を取り戻したらしいヒュー様が揶揄いの顔で僕の顔を覗き込んでくるのを避けて、ヨハネスに説明を任せる。
ずいっと僕の前に出て説明をしてくれたヨハネスに意地悪なヒュー様は任せて、僕は心を落ち着かせるためにノヴァにくっついて離れた所からヒュー様を観察する。
ヒュー様は所々軽い擦り傷があるものの、大きな怪我はないようで、他の騎士達も同様。
しかし辺りには沢山の魔獣の死骸が散乱しており場の様子はあまり好ましくない。
ノヴァがさっそく浄化をしているが、不浄が過ぎるのか重苦しい空気はすぐに軽くはならなかった。
「ノヴァ礼を言う。ノヴァの力をもってもこの有様だ。分かってはいたが向かってくる魔獣の数が多すぎて他にやりようがなくてな…。」
珍しく元気のない感じで言うヒュー様の目は鋭く表情は今までに見たことがないほど険しい。
「この数ではそうでしょうね。剣や拳だけでは疲労が酷いはず。寧ろこの数を全員がその程度の怪我で済んでいることに敬意を表します。」
ノヴァがそう言うとヒュー様はふっと笑って「当たり前だ。」と胸を張った。
その姿は自分と自分の仲間に自信をもっていて、凄く素敵に輝いて見えたがそれをヒュー様に素直に言えば付け上がって五月蠅くなるので言わないでおく。
「まぁ、幸いにも民家を襲う前に冒険者が見つけて報告してくれたおかげで被害は出ずに済んだ…がこれが人為的なものだっていうなら油断はできねーな。しかもヒル領だけじゃなくノルデン領の方でも被害があるっつーのが問題だ。他の領地でも被害が出る可能性もあるし、最悪もう被害が出ている可能性もある。」
「とーさまには既に報告をしているから国も直ぐに動くと思います。」
ヒュー様の元に辿り着いてすぐにコルダと同じように姿を現さずに護衛をしてくれる人にとーさまに報告をするよう指示を出したので転移陣を使わせたし、もう伝わっていると思う。
この場の惨状を見て迷惑かけたくないなー、何て気楽なことを言っている状況じゃないって判断したので。
ヒュー様達だからこのくらいの被害で収まった。
そう言えるくらい本当に地面に伏してる魔獣の亡骸の量が尋常ではない。
「…ヒュー様がご無事でよかったです。」
「当たり前だ。」
つい零れた言葉にヒュー様は少し照れたように顔を背けた。
本当に彼が、彼等が強い人達でよかった。
________
こんにちは!
お気に入り数がもう少しで3000人に到達しそうです^^
この物語を綴り始めた頃はこんなにお気に入り登録をしてもらえるとは思っておらず
本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
ここまで長編になる予定ではなかったのですがお気に入りにして下さる方、いいねをして下さる方、感想を下さる方、誤字等の報告をくださる方、エールを贈って下さる方、多くの方のお陰で物語の続きを描けています。
まだまだ言葉を紡ぐ人として未熟者ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
また3000人突破した時には何かしらイベントを起こしたいと思っていますが、今は思っているだけの段階です(笑)
何かご意見があればお待ちしております!
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