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第4章
教訓にしてほしい
しおりを挟む僕の言葉に顔を真っ青にしたハビット辺境伯はまたもやうるうるした目で「でもどうしたらいいのか全く分からない。」と言う。
そんなハビット辺境伯を僕は死んだ目をして見ている。
だってさっきから僕達は妥協することを覚えろって言ってる。
なのにどうしたらいいか分からない、だなんて甘え以外の何物でもないと思わない?
「はぁ…自分で考えられないというなら僕が決めてあげます。ですが、これから僕が言う事に反論したり従わないというのは許しません。それでもハビット辺境伯様は考えられないとおっしゃいますか。」
僕の問いかけにハビット辺境伯は数秒考えて、そして頷いた。
隣から深いため息が聞こえてきたので、ノヴァは内心あーあと思っているのだろう。
僕もあーあって思うもの。
「分かりました。では…今後ハビット辺境伯領の者は自分達が育てた植物や果実以外を採取することを禁じます。狩りで狩っていいのは一ヶ月5体まで。また妖精族の許可なく木の伐採など自然を壊す行為を禁止。輸入などで仕入れるのは構いません。以上です。」
「なっ!そんなこと!!」
「反論は許さないと言ったはずです。」
予想通り声を荒げたハビット辺境伯の言葉を遮って口を閉ざさせる。
今の彼らの生活から考えると今僕が挙げた制限で生活をするのはかなり苦しいと思う。
だけど生きていけないほどではない。
今までどれだけ妖精族の力に救われていたのかを知り、自分達のことを他人任せにすることの愚かさを知ってもらういい案だと思うのだけど…まぁ当事者は納得しないよね。
「っアーバスノイヤーの子息は私達を飢え殺すおつもりか。」
怒りを必死に抑えながらハビット辺境伯が僕を睨みつけ言うが、本当に勘弁してもらいたい。
「工夫をすれば飢え死ぬことはありません。僕は別に構わないのですよ?貴女達や貴女達の子孫が妖精族達から見放されて枯れた地で飢え死んでも興味の欠片もないので。その場合は、こんな生ぬるい制限にしたりしませんけど。あぁ…あと僕、ウォードなので。結婚してるので。」
アーバスノイヤーの子息なんて名前でもないので。
結局ハビット辺境伯は最後までごねたけれど、実はきっちりと僕に決めさせるのかと聞いた時に魔法契約を発動していたから逆らったらそれなりのペナルティが課されるよっと伝えて黙ってもらった。
相談があったら僕達じゃなくて国に手紙を書いてくださいっと伝えて僕達はやっとハビット辺境伯領を出た。
そして今回とてもお世話になったオーレさんとルゲイエさんは疲れたので一旦戻り、元気になった頃に僕達を精霊界に招きに来てくれることになった。
それまでは西の地の辺境伯領以外の場所を見て回ることにした。
といっても、領地の外はあまり緑のない地が続いていて、ぽつりぽつりと民家や小屋が建っているくらい。
領地外で暮らす人のことが気になって話を聞いてみれば、領地内は血の気の多い者が多くゆっくり穏やかに暮らしたい者や他の土地と商売をしている商売人が領地の外に居を構えているようだった。
領地を出ても綺麗な水は手に入るし、生活に特別困ることはないそう。
妖精族の存在について話をすれば知らなかったようで驚いた様子だったけど、なるほどっと辺境伯よりも柔軟に妖精族の存在を受け入れた。
どうやら自然な現象でないことが多々あったようで不思議に思っていたそう。
西の北の方はほぼ森。
此処は妖精族が守って来た森らしく、何度かハビット辺境伯が開拓をしようとやってきたのをどうにか退けてきたのだとか。
オーレさんとルゲイエさんが帰る前に教えてくれた情報だ。
お邪魔しますと声をかけて森に入ったところで複数の視線を感じたけれど、それらが僕達へ向かってくることはなくこちらの様子を覗っているように思えた。
なるべく刺激しないようにして森の中を散策し、比較的に安全そうな所でテントを張らせてもらった。
森で一休みした翌日
昨日は何だかんだ大移動をして大変だったからゆっくりと森を抜けて今度はテトラくんの実家、ハデス辺境伯の領地がある北の地に足を踏み入れた。
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