王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰

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第4章

鱗は意外と弾力があって暖かい

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ハビット辺境伯からのうるうる視線からさっと目を逸らし、もう一つ見せたいものがあると告げハビット辺境伯とその護衛達を伴って妖精達が緑を生やしているだろう元枯れた地へ向かった。



そしてその場で驚いたのはハビット辺境伯だけではなかった。



「…ここまで求めてない。」


「どのようになどと詳しく言ってなかったからなぁ。」



元枯れた地は緑が生い茂りまくってた。

狭い範囲ではあるけど、一部だけ凄く緑なの違和感すごい。




隣のホルス様もうむってちょっと苦笑い。









「此処は…」


「ハビット辺境伯様の領地に居た妖精達に一時的にこちらへ移動してもらい、枯れた地を豊かにしてもらいました。ご覧の通り妖精族ができるのは豊かにすることで人が住めるように整備する必要が妖精達にはないのでこの地で人が生きれるようにするには人族の力が必要です。また妖精達には豊かな地を求め攻め入ってくる者達を追い払う力はあまりありません。」




すごいことになってるなーって緑生い茂る地を眺めている間にノヴァがハビット辺境伯にきちんと説明してくれていた。

僕も気を取り直してノヴァの言葉にうんうん頷いてみせる。






「…よく分かった。…よく分かったが今すぐに全てを受け入れるというのは無理だ。私だけでなく領民達もずっと妖精族の存在を知らずにきた。完全に受け入れるまでに時間が欲しい。」


「…いいよぉって言ってるよぉ。」


「まぁ、すぐのすぐには無理でしょうね。」




ハビット辺境伯の言葉にルゲイエさんが妖精達の言葉を聞き、両腕で大きな丸を作り、オーレさんは納得の頷き。






「まずは妖精族が今すぐにやって欲しいことだけ聞いてみてはいかがですか?」


僕だったら受け入れていくにしても妖精達は見えないし話せないわけだから今のうちに重要な要求を聞いておきたいと思うのでそう言ってみたらまたうるうるした目で見られたのでさっと視線を逸らしホルス様の背後に隠れる。




「そうですね。それがいいと思います。陛下には妖精と意思疎通が出来る者を派遣するよう伝えておきますがすぐには来られないと思いますので。」


すかさずノヴァがハビット辺境伯の前に体をさりげなく動かし話を次に進めてくれる。







ハビット辺境伯の屋敷に戻ってノヴァとオーレさんとルゲイエさんにハビット辺境伯へのお話はお任せした。

僕はノヴァのものなので。



彼女からの視線を避けるため僕とヨハネス達はノヴァ作のお家へ一足先に帰ってきた。





何だか身体的疲労よりも精神的疲労が強い気がして、家に戻って速攻お風呂に入ってホルス様の肉体美を眺めさせてもらっている。

むっちりした筋肉をつんつんと触らせてもらった後、部屋の中に納まるサイズのドラゴンの姿になってもらい包まれながら眠りについた。












トントンと優しく叩かれたことで意識が浮上し、重たい瞼を少し持ち上げる。


「ルナイス。夕飯だ。」


「…んぅ…ノヴァ?」


「あぁ。起きれるか?」




ぼーっと目の前のノヴァの顔を眺めて、そして僕の体を包む硬くて暖かい鱗に頬擦りする。

鱗は堅いのだけどほどよい弾力と温もりがあって安心する。




「…後にするか。」


んーんー唸る僕を見てこれは駄目だと判断したのだろうノヴァの声が聞こえてきて少し焦る。

起きたくないわけじゃないのだけど、体を持ち上げるのが億劫なんだ。


意識は徐々に覚醒してきてるから…もう少し待って欲しい。






「ノヴァ…ん。」


でも待ってくれそうにないので、ノヴァに両腕を伸ばして起こしてーとおねだり。




「ふっ…おいで。」


そんな僕にノヴァは怒ることなく、優しく抱き起してくれる。

うん。


僕は本当に素敵な夫を手に入れた。







そのまま甘えてノヴァに食堂まで運んでもらって椅子に下してもらう頃には僕も完全に目が覚めていた。


ホルス様も人型になって、席についていて、僕達が食べ始めるのを律儀に待ってくれているので、僕とノヴァで挨拶をしてご飯を食べ始めた。






食べ終えて片付けは使用人達がしてくれるので、僕は明日からの観光場所でも考えようかなっと思っているとぐいっと体が突然宙に浮いた。



「ルナイス話がある。」


「…ぅぃ。」




僕の体を持ち上げたのはノヴァで、僕は僕とノヴァの部屋へ連行された。

ノヴァの雰囲気からして、これから話すのは甘いお話ではなく真面目なお話であることが分かるから憂鬱。







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