196 / 398
第3章
相手が元気すぎると戸惑う
しおりを挟む
マルコシアスさんの訓練から3日。
ノヴァが空間魔法を習得した。
安全性も確かめられ、ホルス様からも良しを貰い、親子ドラゴンはノヴァが創り出した別空間の中で過ごしてもらうこととなった。
僕もノヴァと一緒に訓練してたんだけど…バグさんやマルコシアスさんの言う通りちょっと危険度の高い空間しか創れなかった。
僕が入る分には問題ないのだけど、そこに他者が入ると迷って出られなくなるし、僕も見つけ出せなくなる。
そんな空間に『面白そうだ』と言って入ろうとする(訓練するのにアドバイスを求め来てもらっていた)オリヴァーを必死に止めて、僕が創り出した空間に放り込まれたのはコルダが捕らえた不法侵入者兼暗殺者。
オリヴァーを必死で止めている時に突然現れて、ヒュンって投げ入れたから僕もオリヴァーも思考も体も停止したよね。
問答無用、無慈悲に人を投げ入れたコルダはしばらく空間を見つめてグリンと僕の方を振り向いた。
どうでもいいけど、今日は庭師の恰好してる…何て現実逃避をしているとコルダが手をどうぞって無言で…
どうぞって…
やってしまったものは仕方ないっと心を落ち着かせて空間の中に手を突っ込み探るが何も掴めなかった。
しばらくは空間の出入り口を開いておいたのだけど帰ってこず。
僕自身には何も問題はないし、違和感もない。
結果、近くで見守っていたヨハネスが
「ルナイス様は通常その魔法は使わない方が良いでしょう。当主様にはご報告なさったほうがよろしいかと。」
と言ってその場を締めくくり解散。
空間を開けっ放しは危ないので、閉じたけど…放り込まれた人が、どこか別の場所に到着していることを願おう。
ノヴァが創り出した空間は快適のようで、藍色のドラゴンも回復し、卵も元気に育っている。
『ルナイス、ルナイス!遊んで遊んで!』
「…卵とどうやって遊べば??」
『コロコロ―ってして!』
「僕に死ねと?」
本当に元気に育っている。
僕の魔力をまだ分けてあげないといけないから、定期的にノヴァがお屋敷にやってきて、こうしてノヴァの創った空間の中に入りドラゴン達に会いに来るのだけど、卵のドラゴンはまだ殻も破ってないのに遊ぶことを要求してくる。
しかも卵を転がして遊べだなんて…母ドラゴンに殺される。
ノヴァには卵ドラゴンの言葉は聞こえないので、突然僕の口から出てきた不穏な言葉に顔を顰めて僕の周りに防御魔法を展開してしまった。
魔力の無駄遣いである。
問題ないので魔法を解くようにノヴァに言って、少しだけ卵をユラユラと揺らしてあげると、ケラケラと笑う声がして、楽しんでいる様子でなによりだ。
そうして平和に過ごして3カ月後。
無事に卵が孵り、子ドラゴンが産まれた。
そして子ドラゴンに名前を付けるよう藍色のドラゴン、ククちゃん(クク・イエネオドロス・デメテル)に言われ考えに考え抜いた結果、アガパンサスと名付けた。
前世にも今世にも存在する花で、名前も花言葉も同じ。
アガパンサス・ハギアゾー・デメテル
愛の花の意を持つ青紫色のドラゴンの爆誕である。
ホルス様やククちゃんのように、名前が長いので愛称で呼ぶことに。
「パン、それは食べないほうがいいんじゃない?」
『大丈夫!大丈夫!もぐっ……ぐぅるぅあぁぁあああ!!!』
「あ、大丈夫。苦い草拾い食いして悶えてるだけ。」
パンが生まれてからククちゃんはパンを連れて勇竜の寝床へ住まいを移した。
アーバスノイヤー家まではそこそこ距離があるけれど、パンは魔力が多く生まれて次の日には魔法で魔獣を狩れるくらい優秀ドラゴンなので頻繁に一匹でやって来る。
遊びにきたパンに付き合ってアビスの森に護衛を引き連れて来ているのだけど、まだ生まれて間もないパンはよく拾い食いをしていて、世界のものに興味津々。
まだ硬いお肉は食べられず、ククちゃんが噛んで柔らかくしたお肉しか食べられないのに色んなもの口に入れるからお腹を壊したり、喉を詰まらせるパンにククちゃんは困って呆れているが、食べられるものと食べられないものを知っていってる成長段階と見守っているみたいだ。
今も毒ではないけど、すごく苦い草を食べようとするので一応止めたのだけど、もちろん言う事を聞かないパンはもぐっと草を食べ、そして地に転がり悶えている。
突然のドラゴンの咆哮に護衛達が戦闘態勢を取り警戒するのを大丈夫ですよーっと宥めて、悶える小さなドラゴンを見つめる。
小さいと言ってもユエみたいには小さくないし柔らかくもない。
151㎝の僕の腰位の大きさで、体は頑丈な鱗に覆われてすごく硬い。
すごくやんちゃで元気いっぱいなパンは見ていて面白いけど、今まで周りにいないタイプの元気さでどう相手をすればいいのか…戸惑っている。
『あ!ちょうちょ!』
「あ!それはクプグス……あーぁ。」
悶えていたパンが突然近くを飛んでいたクプグスにちょっかいをかけて、僕の制止虚しく痺れ粉にやられて再び地に伏した。
さっきまでと違い、痺れで上手く声を上げられずアウアウと唸り、ピクピクと痙攣しているので地も揺れていない。
ヨハネスが状態回復の薬を出そうとしたのを止めて、少しは反省して落ち着いてくれ、と痙攣をしているパンをじっとしばらく眺めることにした。
______
補足
クプグス
蛾のような魔物。
草食で他種を襲うことはないが、攻撃を受けたり危険を感じると
強力な痺れ粉を放つ。
ノヴァが空間魔法を習得した。
安全性も確かめられ、ホルス様からも良しを貰い、親子ドラゴンはノヴァが創り出した別空間の中で過ごしてもらうこととなった。
僕もノヴァと一緒に訓練してたんだけど…バグさんやマルコシアスさんの言う通りちょっと危険度の高い空間しか創れなかった。
僕が入る分には問題ないのだけど、そこに他者が入ると迷って出られなくなるし、僕も見つけ出せなくなる。
そんな空間に『面白そうだ』と言って入ろうとする(訓練するのにアドバイスを求め来てもらっていた)オリヴァーを必死に止めて、僕が創り出した空間に放り込まれたのはコルダが捕らえた不法侵入者兼暗殺者。
オリヴァーを必死で止めている時に突然現れて、ヒュンって投げ入れたから僕もオリヴァーも思考も体も停止したよね。
問答無用、無慈悲に人を投げ入れたコルダはしばらく空間を見つめてグリンと僕の方を振り向いた。
どうでもいいけど、今日は庭師の恰好してる…何て現実逃避をしているとコルダが手をどうぞって無言で…
どうぞって…
やってしまったものは仕方ないっと心を落ち着かせて空間の中に手を突っ込み探るが何も掴めなかった。
しばらくは空間の出入り口を開いておいたのだけど帰ってこず。
僕自身には何も問題はないし、違和感もない。
結果、近くで見守っていたヨハネスが
「ルナイス様は通常その魔法は使わない方が良いでしょう。当主様にはご報告なさったほうがよろしいかと。」
と言ってその場を締めくくり解散。
空間を開けっ放しは危ないので、閉じたけど…放り込まれた人が、どこか別の場所に到着していることを願おう。
ノヴァが創り出した空間は快適のようで、藍色のドラゴンも回復し、卵も元気に育っている。
『ルナイス、ルナイス!遊んで遊んで!』
「…卵とどうやって遊べば??」
『コロコロ―ってして!』
「僕に死ねと?」
本当に元気に育っている。
僕の魔力をまだ分けてあげないといけないから、定期的にノヴァがお屋敷にやってきて、こうしてノヴァの創った空間の中に入りドラゴン達に会いに来るのだけど、卵のドラゴンはまだ殻も破ってないのに遊ぶことを要求してくる。
しかも卵を転がして遊べだなんて…母ドラゴンに殺される。
ノヴァには卵ドラゴンの言葉は聞こえないので、突然僕の口から出てきた不穏な言葉に顔を顰めて僕の周りに防御魔法を展開してしまった。
魔力の無駄遣いである。
問題ないので魔法を解くようにノヴァに言って、少しだけ卵をユラユラと揺らしてあげると、ケラケラと笑う声がして、楽しんでいる様子でなによりだ。
そうして平和に過ごして3カ月後。
無事に卵が孵り、子ドラゴンが産まれた。
そして子ドラゴンに名前を付けるよう藍色のドラゴン、ククちゃん(クク・イエネオドロス・デメテル)に言われ考えに考え抜いた結果、アガパンサスと名付けた。
前世にも今世にも存在する花で、名前も花言葉も同じ。
アガパンサス・ハギアゾー・デメテル
愛の花の意を持つ青紫色のドラゴンの爆誕である。
ホルス様やククちゃんのように、名前が長いので愛称で呼ぶことに。
「パン、それは食べないほうがいいんじゃない?」
『大丈夫!大丈夫!もぐっ……ぐぅるぅあぁぁあああ!!!』
「あ、大丈夫。苦い草拾い食いして悶えてるだけ。」
パンが生まれてからククちゃんはパンを連れて勇竜の寝床へ住まいを移した。
アーバスノイヤー家まではそこそこ距離があるけれど、パンは魔力が多く生まれて次の日には魔法で魔獣を狩れるくらい優秀ドラゴンなので頻繁に一匹でやって来る。
遊びにきたパンに付き合ってアビスの森に護衛を引き連れて来ているのだけど、まだ生まれて間もないパンはよく拾い食いをしていて、世界のものに興味津々。
まだ硬いお肉は食べられず、ククちゃんが噛んで柔らかくしたお肉しか食べられないのに色んなもの口に入れるからお腹を壊したり、喉を詰まらせるパンにククちゃんは困って呆れているが、食べられるものと食べられないものを知っていってる成長段階と見守っているみたいだ。
今も毒ではないけど、すごく苦い草を食べようとするので一応止めたのだけど、もちろん言う事を聞かないパンはもぐっと草を食べ、そして地に転がり悶えている。
突然のドラゴンの咆哮に護衛達が戦闘態勢を取り警戒するのを大丈夫ですよーっと宥めて、悶える小さなドラゴンを見つめる。
小さいと言ってもユエみたいには小さくないし柔らかくもない。
151㎝の僕の腰位の大きさで、体は頑丈な鱗に覆われてすごく硬い。
すごくやんちゃで元気いっぱいなパンは見ていて面白いけど、今まで周りにいないタイプの元気さでどう相手をすればいいのか…戸惑っている。
『あ!ちょうちょ!』
「あ!それはクプグス……あーぁ。」
悶えていたパンが突然近くを飛んでいたクプグスにちょっかいをかけて、僕の制止虚しく痺れ粉にやられて再び地に伏した。
さっきまでと違い、痺れで上手く声を上げられずアウアウと唸り、ピクピクと痙攣しているので地も揺れていない。
ヨハネスが状態回復の薬を出そうとしたのを止めて、少しは反省して落ち着いてくれ、と痙攣をしているパンをじっとしばらく眺めることにした。
______
補足
クプグス
蛾のような魔物。
草食で他種を襲うことはないが、攻撃を受けたり危険を感じると
強力な痺れ粉を放つ。
1,048
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
お気に入りに追加
3,259
あなたにおすすめの小説


美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません
りまり
BL
公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。
自由とは名ばかりの放置子だ。
兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。
色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。
それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。
隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です


金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】

婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる