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第3章

呼び出し

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あれからドラゴンの卵の餌になっている公爵家次男の僕ですが、常に魔力を与える必要はないということで、学園には普通に通っている。

僕が学園に行っている間は騎士団の人達もいるしホルス様が見守ってくれているので安心。




今日も学業を終えて帰宅の準備をしていると教室内にヨハネスが入ってきた。

普段は教室と玄関の間のあたりで待っていてくれるのだけど…緊急事態の予感。




「ルナイス様、王宮からの呼び出しがありました。このまま向かいますのでお急ぎ頂けますか?」


「え?…僕一人?」


「クラージュ殿下が同席なさるそうだと聞いておりますが…」




ヨハネスの言葉に取り繕うこともできず眉間に皺を寄せてしまう。


王宮からの呼び出し…つまり国王からの呼び出しだ。
ただの学生を国王が呼び出す何てまったく穏やかでない。

とーさまやにぃ様、もしくは親しく力のある者が一緒に居てくれれば心強いが…今回はそれが期待できない。


クラージュ殿下が居てくれることで少しは心強いが…


まだ殿下が完全に僕の味方であるとは言いきれないし…






「もしもの時は、どんなリスクを負ってでもルナイス様をアーバスノイヤー家へ無事帰宅させるよう公爵様から仰せつかっております。」


不安を隠せない僕にヨハネスがコソっと教えてくれた内容に今度は顔が引きつる。


どんなリスクを負っても…それは例え王家に反逆を疑われ、アーバスノイヤー家が国に追われることになってもということだろうと思う。

とーさま…心強いけど、それはもう本当最終の最終手段に取っておきますね。











そうしてやってきた王宮。


今は国王の準備が整うまで控室で待機中。




「恐らく国王は君の能力について、それからその能力をどのように使っていくつもりであるのかということを言及なさるはずだ。私はそれについて君の正直な気持ちを伝えれば良いと思う。しかし上に立つ人間は時に心底意地の悪い言葉を投げかけてくることがある。君が答えたくないと思うことならば答えたくないと言っていい。それでもし君を害そうとするのならば私が介入するし、きっとアーバスノイヤー家の者が君を無事に公爵のもとへ届けることだろう。」


ソファに大人しく座って待っていると、クラージュ殿下がやってきてこれからの謁見についてのアドバイスをくれた。


まだ僕にとってクラージュ殿下がどういう立ち位置なのかは分からないけれど…嫌な感じはしないから取り敢えずは味方だと考えてよさそうだと判断し、素直にアドバイスに頷く。





そしてもうすぐ準備が整うと従者から知らせが入り、クラージュ殿下は部屋を去り、僕も服装や髪の毛の最終チェック。

っと言っても、急なことだったから服装は学園の服のままだけど。




ヨハネスにもOKを貰い、王宮の従者の後ろをついて歩く。


謁見の間の手前でヨハネスとは別れ、僕一人で中へ入っていく。




謁見の間には国王の他、王妃様、クラージュ殿下、宰相、あとよく分からないおじさん達数名。


それから何故かヒュー様が居る。








ヒュー様はまっすぐ前を向いていて、視線は合わないけれど、この場にヒュー様が居ることにほっと息がこぼれた。



「ルナイス・アーバスノイヤーがご挨拶申し上げます。」


「頭を下げる必要はない。よく来たな、アーバスノイヤーの子よ。此度は急な招集をしたことを謝罪しよう。守りが硬すぎてなかなかお主と話す機会が得られずこのような呼び出しとなってしまったが…我が其方を傷つける意思が皆無であることを先に伝えておこう。」



王様がいるところより一段下がった所で膝をつき、頭を下げると本当にすぐ頭を上げるよう促された。

思っていたよりも常識人というか…第一印象は悪くない。


言葉の中に少し含みはあるけれど、気にすることではなさそうだし、国王もそこまで気にしている様子もない。





ただよく分からんおじさん数名の視線は煩わしい。


あいつら何の為に此処にいるんだろう。







「単刀直入に問う。お主は闇属性に適正がある。間違いないか。」


「…はい。」



国王の問いを肯定した僕におじさん達が騒めく。




「五月蠅いぞ。」

でもそのヒソヒソ声も国王の言葉ですぐさま抑えられた。

さっきよりもおじさん達の視線が更に嫌なものに変わったのは、気のせいではないだろう。





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