183 / 398
第3章
新たなドラゴン情報
しおりを挟む
考えることを諦めた僕と侯爵様は、取り合えず親子が過ごせる場所が確保できるまではこのまま此処に居てもらい、少数精鋭の騎士を護衛に置くこととした。
藍色のドラゴンの通訳としてホルス様も芝生広場に残り、僕は侯爵様とノヴァを招いて遅めの昼食を。
「馳走になった。私は騎士団の方へ戻る。またチルと遊んでやってくれ。今度はいつ会えるのかと楽しみにしている。ヒューのこともよろしく頼む。あれも君を本当の弟のように思っている。」
「はい。僕もヒュー様のことは兄のように思っておりますし、チルのことも弟のように思ってます。」
「うむ。ウォードもあまり関わる機会はないが、何か困ったことがあれば何時でも相談に来るといい。」
「ありがとう存じます。」
ノヴァと騎士団の方へ帰還なさる侯爵様の見送りを。
侯爵様は関わりの薄いノヴァにもきちんとお声をかけてくれて、気にかけてくれていることが分かり僕も、きっとノヴァも嬉しい気持ちになる。
侯爵様を見送った後は、再びドラゴン親子の元へ。
「ルナイス、良い所へ来た。」
着くなりホルス様に抱えられてすたこらサッサと卵の元へ運ばれた。
どうやら藍色のドラゴンさんは子を探すために結構な魔力を消費し、残った少ない魔力を更に子に与えたことで気を失ってしまったらしい。
今は残って警護をしていた騎士団の人達が、回復薬をぶっかけて、ドラゴンの前に結構な量の魔獣肉を用意してくれているので、あのドラゴンは心配なさそう。
藍色のドラゴンさんが目を覚ましたとしても、しばらくは子に魔力を与えられないのでホルス様は僕を卵の所へ運んだみたい。
ペタっと卵に触れるとぐぃっと魔力が一気に抜ける感覚に体がふらついたが、ホルス様が支えてくれたので地面に倒れずにすんだ。
「小僧。母が心配なのは分かるがルナイスから強引に魔力を奪うでない。」
僕を支えたホルス様が卵をコツンと叩き、卵の子を叱ると卵がゆらりと揺れた。
『ごめんなさい。』
そして頭の中に聞こえてきた声にそれが謝罪の動きだったのだと分かった。
「ホルス様、ドラゴンで卵の時からこんなに言葉とか理解しているの?」
卵の中の子はこちらの言葉をしっかりと理解しているようだし、受け答えもできる様子で、ドラゴンの知能って?と気になった僕は遠慮なくホルス様に質問する。
近くにやってきたノヴァも気になるのか僕の隣に来てホルス様に視線を向ける。
「個体によるな。我等のようなスピリットに近い者は卵の時からたくさんのことを理解しているが、ワイバーンなどのように魔獣に近い者は卵の時には喋らんし言葉も理解しておらんな。この小僧はなかなかに魔力量の多い子のようだから、これだけしっかりと意思疎通ができているのだろう。」
ホルス様の説明に、これは今まで人間が知らなかった新しい情報では?とノヴァを見ればノヴァも僕を見ていて、目が合うと深く頷いてくれたので、今聞いたことは間違いなくドラゴンについての書物に新たに書き加えられる新情報だ。
見聞きした情報を何でもかんでも馬鹿正直に書き残すのはよくない。
情報の種類によっては、悪用しようと企む輩の補助となってしまう。
これはよくよくホルス様を含め、とーさま達とご相談して書物に書き記すかどうかを決めなくちゃ。
藍色のドラゴンの通訳としてホルス様も芝生広場に残り、僕は侯爵様とノヴァを招いて遅めの昼食を。
「馳走になった。私は騎士団の方へ戻る。またチルと遊んでやってくれ。今度はいつ会えるのかと楽しみにしている。ヒューのこともよろしく頼む。あれも君を本当の弟のように思っている。」
「はい。僕もヒュー様のことは兄のように思っておりますし、チルのことも弟のように思ってます。」
「うむ。ウォードもあまり関わる機会はないが、何か困ったことがあれば何時でも相談に来るといい。」
「ありがとう存じます。」
ノヴァと騎士団の方へ帰還なさる侯爵様の見送りを。
侯爵様は関わりの薄いノヴァにもきちんとお声をかけてくれて、気にかけてくれていることが分かり僕も、きっとノヴァも嬉しい気持ちになる。
侯爵様を見送った後は、再びドラゴン親子の元へ。
「ルナイス、良い所へ来た。」
着くなりホルス様に抱えられてすたこらサッサと卵の元へ運ばれた。
どうやら藍色のドラゴンさんは子を探すために結構な魔力を消費し、残った少ない魔力を更に子に与えたことで気を失ってしまったらしい。
今は残って警護をしていた騎士団の人達が、回復薬をぶっかけて、ドラゴンの前に結構な量の魔獣肉を用意してくれているので、あのドラゴンは心配なさそう。
藍色のドラゴンさんが目を覚ましたとしても、しばらくは子に魔力を与えられないのでホルス様は僕を卵の所へ運んだみたい。
ペタっと卵に触れるとぐぃっと魔力が一気に抜ける感覚に体がふらついたが、ホルス様が支えてくれたので地面に倒れずにすんだ。
「小僧。母が心配なのは分かるがルナイスから強引に魔力を奪うでない。」
僕を支えたホルス様が卵をコツンと叩き、卵の子を叱ると卵がゆらりと揺れた。
『ごめんなさい。』
そして頭の中に聞こえてきた声にそれが謝罪の動きだったのだと分かった。
「ホルス様、ドラゴンで卵の時からこんなに言葉とか理解しているの?」
卵の中の子はこちらの言葉をしっかりと理解しているようだし、受け答えもできる様子で、ドラゴンの知能って?と気になった僕は遠慮なくホルス様に質問する。
近くにやってきたノヴァも気になるのか僕の隣に来てホルス様に視線を向ける。
「個体によるな。我等のようなスピリットに近い者は卵の時からたくさんのことを理解しているが、ワイバーンなどのように魔獣に近い者は卵の時には喋らんし言葉も理解しておらんな。この小僧はなかなかに魔力量の多い子のようだから、これだけしっかりと意思疎通ができているのだろう。」
ホルス様の説明に、これは今まで人間が知らなかった新しい情報では?とノヴァを見ればノヴァも僕を見ていて、目が合うと深く頷いてくれたので、今聞いたことは間違いなくドラゴンについての書物に新たに書き加えられる新情報だ。
見聞きした情報を何でもかんでも馬鹿正直に書き残すのはよくない。
情報の種類によっては、悪用しようと企む輩の補助となってしまう。
これはよくよくホルス様を含め、とーさま達とご相談して書物に書き記すかどうかを決めなくちゃ。
461
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
お気に入りに追加
3,259
あなたにおすすめの小説


美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません
りまり
BL
公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。
自由とは名ばかりの放置子だ。
兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。
色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。
それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。
隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です


金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】

婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる