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第2章

実は結構怒っている悪魔さん

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じっと無事を確認する僕に気が付いた二人が頷いて大丈夫っと教えてくれ、ほっとしたところで



「バグゥ~私の配下をよくもシオシオにしてくれたわねぇ…容赦ない貴方も素敵よぉ~ん。でもでも、ソレの魔力は主君である私のものなのぉ~…返しなさい。」

すぐ傍で聞こえてきたセクシーお姉さんの声にビクッと体を震わし慌ててバグさんにひしっとくっ付く。


「もう我の魔力に変換されておる。諦めよ。」

凄むセクシーお姉さんをものともせず余裕の笑みで返すバグさん。






「あらぁ、奪った分だけ貴方の魔力をくれたらいいんじゃな~い。…そこの坊主の魔力を貰ってもいいのよぉ?」


ケラケラと何が面白いのか笑いながらセクシーお姉さんは矛先を僕に変えてきた。

バグさんを見る時よりも僕に向けられる視線は鋭い。
気に食わないって思っている人のだ。





「遠慮しておきます。」


「ふふ…面白いことを言うのねぇ。守って貰わないといけないようなお前に拒否権があるとお思いかしらぁ?」


「あります。」


「ぐふっ」

「ふはははは!!」





NO!っと首を振り魔力はあげませんよっと意思表示すると、セクシーお姉さんは僕に拒否権があると思うのかっと問うてきたので、当然あると答えた。

だって僕は夢魔から力を奪っていないし、寧ろ迷惑かけられた被害者ですし。



即答した僕にお隣のバグさんと後ろにいるいつの間にやら人の姿に変わったホルス様が何故か笑う。




長寿なお方の笑いのツボが分からんです。









「生意気!バグゥ~こんな坊主にいつまでも触れさせていないで私と遊びましょうよぉ~。」


プイっと僕から視線を外したセクシーお姉さんはそう言ってバグさんに撓垂れ掛ろうとした。



ヒュンっと一瞬の浮遊感と共に気が付けばバグさんと僕、ホルス様とホルス様に引きずられているしおしおの夢魔はにぃ様達の近くに居た。

まったく気分を害することのない精密で完璧な転移魔法にふぉー!とテンションが上がる。




こんな時でもなければぜひぜひぜひ!ご教授願いたい!





「なんで…何で避けるのよぉ~!!何よ!鬼や人間の一匹や二匹消えようがどうだっていいじゃない!!最近はずっとその坊主の話題で皆ぜ~んぜん私に構ってくれないんだからぁ!!」



「お主に構わんのは単にお主の相手をするのが面倒だからだ。淫魔の話をするよりも珍しい魂の持ち主について考察する方が何倍も楽しいのでな。」





おいおい泣き出すセクシーお姉さんはどうやら淫魔さんらしい。

そして容赦のないバグさん言葉に泣きながらもポカーンとするお姉さん。







「それからお主が言うように1,2体であれば我等も動きはせん。今回他種族の被害者が多数出ておる。それに我は何よりもそこにいる小物によって我の商売を邪魔されたのでこうしてお主等を罰しに来ているのだ。お主のせいで、我は長期出張。金にならんことをずっとやらされておる。アスモよ。この落とし前…どう償ってくれる?」


クールなバグさんは実は凄く怒っているらしい。

低くなった最後の言葉とコメカミに浮かぶ血管に相手もバグさんが相当怒っていると気が付きぐぐっと黙り込んだ。




どんより重たくなっていく空間に背後からホルス様が僕をそっと抱き上げてバグさんから引き離される。

バグさんと繋がれていた手もスルリと解けた。
下がっていなさいってことですね。了解です。



そして下を向き、僕の両脇から覗く大きくて綺麗で力強い手に見惚れる。

ホルス様は手まで造形美。憧れが止まない。










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