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第2章

新たな協力者sideルグノス

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指示を出してからすぐにルナイスの魔力を調べていたアドルファスとノヴァから『アーナンダ国にはルナイスも夢魔も居ない。ルナイスについては、未だ夢の中かもしくは異空間に閉じ込められているか遠く離れた地に連れ去られた可能性がある。』との報告を受けた。


二人はルナイスの行方を掴めなかったことに不満げな様子であるが、アーナンダ国に居ないということがはっきりと分かっただけでも大きな収穫だ。



二人は夢魔法と夢魔について資料を確認してくると屋敷うちの書庫へと足早に向かって行き、ルナイスの部屋にはホルス殿と私だけが残された。





「当主よ、ルゲイエが到着だ。」


ホルス殿がそう言うとすぐ目の前に見知らぬ壮年の男性が現れた。

こんな時だが、精霊の姿を目にしたのは初めてで…想像していた姿と違いすぎてガッカリしたような興味深いような…。


精霊は滅多に他種族の前に姿を現さない種族で人族が一生のうちに精霊を目にすることはほぼない。

ノヴァのように他種族の血を持っている者だったり、魔法に優れ精霊に愛されると目にすることができるようだが、精霊を私利私欲の為に使い、狩った歴史をもつ人族への精霊の嫌悪は並大抵のものではない。



「久しぶりです~ホルスさん。状況は把握してますがぁ…精霊王に聞いても魔族のことなどしら~んって言われてしまいましてぇ…とりあえず龍神の愛子まなごは怪我もなく生きてることだけ伝えておきますねぇ。」


話し出した精霊様はもじもじとしていて、喋り方もゆるい。

強張っていた体から力が抜けていって、本に冷静になれた。



「久しいなルゲイエ。泣き虫なのは変わらぬか。」


「泣き虫じゃありませ~ん。気弱で思慮深いだけですぅ。」



ホルス殿と精霊様は気安く話しだしたことから古い付き合いなのだと分かる。

ドラゴンと精霊に交流があったとは知らなかった。
これは後程アーバスノイヤー家の書庫に資料を残さねばならないなっと思いながら、さてこれからどう動こうかと頭を悩ませる。



とりあえず無事だとは思っていたが、精霊様から無事だと聞かされて安心した。




「精霊王は使えないしぃ、僕も夢魔のことぉ分からないのでぇ…お友達のマルコシアスさんをお呼びしたのですぅ!」

考え込んでいると不意にそんな精霊様の言葉が聞こえてきて、視線を向ければ彼等の傍に黒い靄が現れ一匹の狼の姿に変化した。



次から次へと現れる他種族に頭が痛んでくる。



「…事情はルゲイエから聞いています。人の子が夢魔に攫われたとか。その子を取り戻す方法を知らないかと聞いていますが…そこの人間よ。あなたが攫われたという子の親で間違いないですか?」


狼の姿から美しい男性の姿へと変わった彼に突然話を振られて動揺してしまったが、すぐに気持ちを持ち直して頷いた。



「子を取り戻す方法が知りたい…間違いないですか?」


「えぇ。」


「承知しました。あぁ…申し遅れました。わたくしは堕ちた天使、マルコシアスです。大変不愉快で不本意ですがあなたの子を攫った夢魔と同じ悪魔の分類になります。大変不愉快で不本意ですがね。」




マルコシアスと名乗った悪魔?は悪魔と呼ばれるのがよほど嫌なのか美しい顔の眉間に皺をよせ口元を歪ませている。
″悪魔″という言葉に再び体が強張るが精霊様が連れて来た方だ…大丈夫…否、精霊の中には悪戯好きだったり善意で人にとって良くないことを起こすという記述されている本を読んだことがあるぞ。






「…私はアーバスノイヤー家の当主です。」


「…なるほど。馬鹿で浅はかな人間ではないということですね。恐れることはありません。あなたの名を聞いたからといって契約が結ばれることはないですし、悪用するつもりは鼠の毛ほどもありませんよ。」



相手が悪魔ということで、名は伏せて挨拶をすればマルコシアス殿は満足気に頷き、両手を広げて無害であることをアピールする。

この場で一番信用できるホルス殿へと視線を送れば、ホルス殿は顔の横で人差し指と親指の先をくっつけ丸を作った。
マルコシアス殿の言うことを信用して大丈夫であるということだろうが…男から見ても色気溢れる男性が真顔でそれをすることに苦笑い。


きっとあれを教えたのはルナイスだろう。
偶にアレをしている姿を目にすることがあった。

さすがに私へそれをしたことはなかったが…






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