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第2章
誓約書(違反)にサインするクラスメイト…
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お屋敷について馬車から降りると、ちょっと外の空気を美味しく感じた。
出迎えてくれた使用人達は、一つの馬車にぱんぱんに詰まっている貴族達を見て何とも言えない微妙なお顔をしていたけれど、それを口にする者は一人もいなかった。
とりあえずそれぞれ着替えを済ませてから応接間に集まろうということになり僕達は部屋へ。
僕が自室に向かう前にメルナに目配せすると、すぐに気が付いたメルナが小さく指で丸を作り笑顔で頷いたので満足した僕は軽い足取りで自室へと歩いた。
着替えを済ませて一息ついたところで、そろそろ応接間へ向かおうと腰を上げると同時に部屋の扉がノックされた。
のんびりしすぎたかな?と使用人が呼びに来たと思った僕はど~ぞぉっと緩く返事をすると、部屋に入ってきたのは使用人ではなく興奮気味のテトラ君とオスカル君だった。
「なんだあの部屋は!」
「安心です!すっごく安心ですがアレは何ですか!?」
勢いよく僕の目の前に来た二人は興奮状態の大き目の声で僕に詰め寄る。
びっくりするかなぁっとは思っていたけれど、ここまで大きなリアクションが返ってくるとは思っていなかった。
ちょっと僕と彼等の間の温度差が凄くてついていけないです。
「い、いったん落ち着いて。」
近い二人の肩を押してとりあえず僕から遠ざけると、はっと我に返った二人が先ほどまでの自分達の行動を誤魔化すようにわざとらしく咳払いするが何も誤魔化せていない。
扉の所で立っているヨハネスが動こうかどうか迷うくらい勢いが凄かったし、近かった。
「折角来てもらったのに、安眠させてあげられないのは嫌だなぁっと思ったのでノヴァから偶には熟睡しなさいって渡されている結界の魔法付与札を使いました。」
じゃじゃーんっと僕のお部屋にあるノヴァからの贈り物入れから二人のお部屋に使ってもらっていたものと同じ魔法付与札を掲げて見せると、二人は目を輝かせて食い入る様に僕の手にある魔法付与札を見始めた。
「何だこの魔力。」
「こんな美しい魔法陣見たことない…凄すぎる。」
二人が変なことをしないと信じているし、別に発動しちゃっても困るものではないのではいっと二人に差し出すとありとあらゆる角度から観察し始めた。
なかなか観察が終わらない二人を待つことに疲弊していると、見かねたヨハネスが声を掛けてくれた。
「そろそろ応接間に移動した方がよろしいかと。」
そんなヨハネスの声にはっと我に返ったオタク二人はやっと僕に札を返してくれた。
それを僕は苦笑いして受け取り、とりあえず時間がないのは事実なのでポケットに押し込んで二人を応接間に案内した。
応接間ではやはり僕達が最後で、テトラ君とオスカル君は顔を少し青ざめさせてとーさま達に深く詫びたけれどとーさまが時間を指定した覚えがないので遅れていないと言ってくれた。
とーさまの言葉にほっと息をついた二人を座るように促して僕もにぃ様の横に座る。
「まずはハデスとノルデンの子には、ルナイスについて話しておこうと思う。しかし、話す前に二人には今日聞いたことを口外しないという誓約書にサインをもらわなければいけない。サインができない、というのならば君達のためにもルナイスとは金輪際関わらないでいただく。」
とーさまの厳しい口調にテトラ君とオスカル君がゴクリと唾を飲み込んだ。
「誓約書にサインします。」
「僕もサインします。」
目を合わせた二人はそう言って、とーさまが差し出した誓約書にサインをした。
本来であれば、未成年による誓約書へのサインは親の了承がなければ行ってはいけないものだ。
後程ハデス辺境伯とノルデン子爵には必ず了承を得るのだと思うけれど…。
両家当主様が苦い顔をされることは間違いないだろう。
出迎えてくれた使用人達は、一つの馬車にぱんぱんに詰まっている貴族達を見て何とも言えない微妙なお顔をしていたけれど、それを口にする者は一人もいなかった。
とりあえずそれぞれ着替えを済ませてから応接間に集まろうということになり僕達は部屋へ。
僕が自室に向かう前にメルナに目配せすると、すぐに気が付いたメルナが小さく指で丸を作り笑顔で頷いたので満足した僕は軽い足取りで自室へと歩いた。
着替えを済ませて一息ついたところで、そろそろ応接間へ向かおうと腰を上げると同時に部屋の扉がノックされた。
のんびりしすぎたかな?と使用人が呼びに来たと思った僕はど~ぞぉっと緩く返事をすると、部屋に入ってきたのは使用人ではなく興奮気味のテトラ君とオスカル君だった。
「なんだあの部屋は!」
「安心です!すっごく安心ですがアレは何ですか!?」
勢いよく僕の目の前に来た二人は興奮状態の大き目の声で僕に詰め寄る。
びっくりするかなぁっとは思っていたけれど、ここまで大きなリアクションが返ってくるとは思っていなかった。
ちょっと僕と彼等の間の温度差が凄くてついていけないです。
「い、いったん落ち着いて。」
近い二人の肩を押してとりあえず僕から遠ざけると、はっと我に返った二人が先ほどまでの自分達の行動を誤魔化すようにわざとらしく咳払いするが何も誤魔化せていない。
扉の所で立っているヨハネスが動こうかどうか迷うくらい勢いが凄かったし、近かった。
「折角来てもらったのに、安眠させてあげられないのは嫌だなぁっと思ったのでノヴァから偶には熟睡しなさいって渡されている結界の魔法付与札を使いました。」
じゃじゃーんっと僕のお部屋にあるノヴァからの贈り物入れから二人のお部屋に使ってもらっていたものと同じ魔法付与札を掲げて見せると、二人は目を輝かせて食い入る様に僕の手にある魔法付与札を見始めた。
「何だこの魔力。」
「こんな美しい魔法陣見たことない…凄すぎる。」
二人が変なことをしないと信じているし、別に発動しちゃっても困るものではないのではいっと二人に差し出すとありとあらゆる角度から観察し始めた。
なかなか観察が終わらない二人を待つことに疲弊していると、見かねたヨハネスが声を掛けてくれた。
「そろそろ応接間に移動した方がよろしいかと。」
そんなヨハネスの声にはっと我に返ったオタク二人はやっと僕に札を返してくれた。
それを僕は苦笑いして受け取り、とりあえず時間がないのは事実なのでポケットに押し込んで二人を応接間に案内した。
応接間ではやはり僕達が最後で、テトラ君とオスカル君は顔を少し青ざめさせてとーさま達に深く詫びたけれどとーさまが時間を指定した覚えがないので遅れていないと言ってくれた。
とーさまの言葉にほっと息をついた二人を座るように促して僕もにぃ様の横に座る。
「まずはハデスとノルデンの子には、ルナイスについて話しておこうと思う。しかし、話す前に二人には今日聞いたことを口外しないという誓約書にサインをもらわなければいけない。サインができない、というのならば君達のためにもルナイスとは金輪際関わらないでいただく。」
とーさまの厳しい口調にテトラ君とオスカル君がゴクリと唾を飲み込んだ。
「誓約書にサインします。」
「僕もサインします。」
目を合わせた二人はそう言って、とーさまが差し出した誓約書にサインをした。
本来であれば、未成年による誓約書へのサインは親の了承がなければ行ってはいけないものだ。
後程ハデス辺境伯とノルデン子爵には必ず了承を得るのだと思うけれど…。
両家当主様が苦い顔をされることは間違いないだろう。
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