上 下
110 / 351
第2章

2度目の緊急事態

しおりを挟む
控室からヨハネスが来たことで、コルダは僕から離れて行った。
丁度休憩時間だったこともあり、片目の隠れた美人さんは注目を浴びていたけれど彼は堂々とした歩みである。

とても普段人目につかないように行動している人物には見えない。





ヨハネスを連れて教室に戻るとテトラ君が駆け寄ってきて『声をかけられた時に一緒に居たらよかった。考えが足りずすまない。』と謝られた。


でも一緒に居られたらドラゴンをドボンできなかったか、テトラ君の脳みそ弄らないといけなかったから来なくて良かったと僕は心の中で思いながら、そんなことは本人には言えないので気にしないでーっと曖昧に笑むしかなかった。




「…お前が今何かを隠したことだけは伝わったぞ。」

そんな僕にテトラ君が顔を顰めて声を低くしてそう行ってきたもんだから、僕の口角がひくひくと引き攣る。

此処は気づかないふりをしてくれてもいいのではないだろうかっとぶすくれる。




「安心しろ。深く探ったりしない。ただ悪鬼の件もまだ片付いていないのだから大人しくしておいた方がいいぞ。」

テトラ君の忠告に視界の端でヨハネスがうんうん頷いているのが見えて、自分の行動を振り返る。

そんな動き回っているつもりはないのだけど、今回のように衝動で動いてしまうことが偶にあるので気を付けようと思いテトラ君とヨハネスに向けて『気を付けるよ』と返した。









「ルナイス様。」


テトラ君とお話しているとオスカル君がそろーっとやってきた。



「お怪我等はありませんか?」


「ないよ。心配してくれてありがとう。」




始めて話をかけられた時は、圧が凄くてびっくりしたけど、強くなろうと努力する優しくて普段は穏やかな子だ。

戦闘狂な面が心配だけれど…。




テトラ君、オスカル君と最近の貴族の裏話情報をお話していると教室にグリシャム先生が戻ってきた。







「緊急事態発生の為、迎えが用意できた者から帰宅してもらうことになった。すぐに迎えの用意が整わない者、寮生は大ホールへ移動をするように。」


先生の言葉にクラスメイト達からは不安の声が上がる。

確かに、入学してから一年も経たない内に緊急事態で帰宅っていうパターンは2度目。



今回は生徒だけではなく保護者達からも学園に対する不安の声が上がるだろう。
グリシャム先生も眉間に皺を寄せていつもより険しい顔になっている。






僕のお家はたぶん今回の騒ぎにとーさまも招集されているので、当主の移動が最優先にされている為、迎えが遅れる。オスカル君のお家は単純に少し距離があるから遅くなるみたい。

なので寮生のテトラ君と一緒に(ヨハネスもいれて)4人で大ホールへ向かった。














__________

※ぶすくれる=不貞腐れる

方言みたいなので、念の為補足を。


そして誤字報告を下さる読者の皆々様。
どのお話の、どの部分かまでとても親切に教えて下さるのでとても助かっています!
本当にありがとうございます!

少しずつ修正していきますので、どうぞ温かい目で見守ってやってください。


しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

泣かないで、悪魔の子

はなげ
BL
悪魔の子と厭われ婚約破棄までされた俺が、久しぶりに再会した元婚約者(皇太子殿下)に何故か執着されています!? みたいな話です。 雪のように白い肌、血のように紅い目。 悪魔と同じ特徴を持つファーシルは、家族から「悪魔の子」と呼ばれ厭われていた。 婚約者であるアルヴァだけが普通に接してくれていたが、アルヴァと距離を詰めていく少女マリッサに嫉妬し、ファーシルは嫌がらせをするように。 ある日、マリッサが聖女だと判明すると、とある事件をきっかけにアルヴァと婚約破棄することになり――。 第1章はBL要素とても薄いです。

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

[BL]わたくしと婚約者と妹とその婚約者の話

ラララキヲ
BL
【前半女主人公・後半BL】 わたくしはティナリア。伯爵家の娘。 6歳で侯爵家嫡男のカハル様の婚約者になった。 妹のアリシュアとその婚約者のセッドリー。 わたくしたち4人はとても仲が良く幸せに成長していった。 4人はきょうだいのように、将来本当に家族になるその為に。 ……だけど“2人”の気持ちはいつからか変わってしまっていたのでしょうね…… ※ ■からBL ─1~12 [女主人公] ─13~20[BL] ─21·22·23 [後日談] ※『婚約者』としての女性から男性への恋愛感情の様な表現があります。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げました。

ギャルゲー主人公に狙われてます

白兪
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。 自分の役割は主人公の親友ポジ ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、

婚約破棄された王子は地の果てに眠る

白井由貴
BL
婚約破棄された黒髪黒目の忌み子王子が最期の時を迎えるお話。 そして彼を取り巻く人々の想いのお話。 ■□■ R5.12.17 文字数が5万字を超えそうだったので「短編」から「長編」に変更しました。 ■□■ ※タイトルの通り死にネタです。 ※BLとして書いてますが、CP表現はほぼありません。 ※ムーンライトノベルズ様にも掲載しています。

愛する人

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「ああ、もう限界だ......なんでこんなことに!!」 応接室の隙間から、頭を抱える夫、ルドルフの姿が見えた。リオンの帰りが遅いことを知っていたから気が緩み、屋敷で愚痴を溢してしまったのだろう。 三年前、ルドルフの家からの申し出により、リオンは彼と政略的な婚姻関係を結んだ。けれどルドルフには愛する男性がいたのだ。 『限界』という言葉に悩んだリオンはやがてひとつの決断をする。

貧乏貴族の末っ子は、取り巻きのひとりをやめようと思う

まと
BL
色々と煩わしい為、そろそろ公爵家跡取りエルの取り巻きをこっそりやめようかなと一人立ちを決心するファヌ。 新たな出逢いやモテ道に期待を胸に膨らませ、ファヌは輝く学園生活をおくれるのか??!! ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

処理中です...