王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰

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第2章

長い説教が始まる前に先手を打つ!

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 いざドラゴンにドボンしてもらおうとしたら、僕の影が小さくて中々ドボンできなかった。

『無理だ』と呟いたドラゴンはしばし沈黙し、そして僕に大きな木の影の上に立つように告げた。



 何だろう?と思いながらも移動すると、その木の影を伝いドラゴンは僕の影にドボンしたのだ。


 僕自身はどこの影や暗闇からでもドボンできるのだけど、他の人は僕の影か、僕が踏んでいる影だとドボンできると知ることが出来た。

 さすがドラゴン。すぐに打開策を講じるなんて。






 そんなこんなで無事ドラゴンを保護した僕は、急いで集合場所へ走る。

 集合場所では僕が道を逸れてから全然戻ってくる気配がなかったことで大騒動になりかけていた。
 走って近づいてくる僕を見て、テトラ君はほっとした顔をしていて、グリシャム先生は険しい顔をしている。




「アーバスノイヤー君、勝手な行動をして今までどこに」


「先生!ごめんなさい!でも至急聞いて欲しい事があります!とっても重要です!」





 お説教を始めるグリシャム先生の言葉を手を上げ、声を上げ遮った。


 そんな僕の行動に顔を顰めながらもグリシャム先生はお説教を止めてくれて、とりあえず皆教室に戻りましょうと歩き出した。





 教室に戻って、僕とグリシャム先生は別室へ。




「それで?」


「はい。実は山でドラゴンさんと遭遇しました。怪我を負っていたのでポーションを与えたのですが、その際にドラゴンさんの不思議な力でドラゴンさんの声が聞こえてきて、ドラゴンさんを狙う不届き者共が居ると伝えられたのです。至急動いて欲しいって。」



 声が聞こえたのはドラゴンの不思議な力でってことにしておこうと事前にコルダと話していた。

 龍神の加護はちょっと特殊なものらしく、公言すればその力を悪用しようとお爺様のようにたかってくる輩が今より増えるって聞いたので、そこらへんは今後濁していこうと思います。


先生は僕の言葉を疑わず、驚きに目を見開いた。


「なっ…すぐにドラゴンを保護に向かわせましょう。」


「あ!…えっと、大丈夫です!そのドラゴンさんは僕の従者が安全に保護しましたので!」





 本当は僕の影の中にいるんだけど、闇魔法のことも秘密なので、慌てて従者が保護してますよーって伝える。






「その従者は?」


「此処におります。」




 訝し気に僕に尋ねてきた先生にすかさず物陰からコルダが表れてくれた。

 さきほどとは違って片目を隠した性別不明の美人さんになっている。


コルダの変身レパートリーがどのくらいが多すぎて毎回びっくりだ。
いつ着替えてるんだろうか…





「私が当主様より支給されておりました、転送の魔法付与ふだでアーバスノイヤー家へと送りましたのでご安心下さいませ。今は至急ドラゴンを狙う不届き者共を駆除した方がよろしいかと存じます。」


コルダは淡々とした口調でグリシャム先生に告げる。




「分かりました。アーバスノイヤー家が保護されているのなら安心でしょう。直ぐに調査に騎士を派遣いたします。アーバスノイヤー君は教室に戻りなさい。君は状況説明のためにご同行願えますか?」



「待機部屋にいる従者が来ましたら行きましょう。」




「そうですね。では後ほど。」




グリシャム先生はそう言うと、とっても早歩きで部屋を出ていかれた。



本当は一刻も早く影の中からドラゴンを出してあげたいのだけど、なかなか直ぐには帰れそうにない。


そひゃそうだ。
近くにドラゴンを狙う危険人物がウロウロしていると分かってなんの対策もなしにすぐ帰らしてくれるはずもない。



大丈夫かなぁっと影を見ていると、影からにゅるりとドラゴンが顔を覗かせたので、びっくりして思わずドラゴンの顔を蹴りあげてしまいそうになった。

さっと交わされてしまって安心したけど、悔しいような…



『そのように急がずとも、1日ならば影の中に潜んでおっても大丈夫だ。安心せい。』


どうやら僕の不安を感じとったドラゴンがわざわざ大丈夫であることをお知らせしに出てきてくれたみたい。



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【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
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