95 / 398
第2章
得意魔法の授業
しおりを挟む昼食を終えて、午後の授業。
今日は午後の時間全て魔法実技の授業に充てられている。
魔法を教えてくれる先生はアーキル・トゥワイマン。
アニペ叔母様の旦那様の弟君で僕とは一応親戚に当たる人なのだ。
親戚と言っても関わりは無かったので、お互い親しい言葉を交わすことはないのだけど。
トゥワイマン先生はノヴァ程では無いが、魔法オタクで優れた教師である。
あの事件があって、より優れた魔法を使える生徒を育成する為に非常勤講師として呼ばれたと聞いている。
「では、今日は一人ひとりの得意な魔法を発表してもらいます。但し!攻撃魔法の場合は事前に先生に知らせること!危ないからね!」
トゥワイマン先生はハツラツとした声で腰に手を当ててHAHAHAHA!って笑ってる。
元気満々って感じの先生。
僕の周りは割と静かな人が多いから、あの人が親戚だなんて信じられない気持ちである。
最初に発表するのはテトラ君。
先生やクラスメイト達は端の方に立って、テトラ君が魔法を展開するのを見学。
テトラ君は事前に攻撃魔法を使いますと先生に知らせていたので、実践訓練場の周りとは別に僕達の周りにも結界が張られている。
何でもない顔で二重結界を張れることから如何に先生が有能であるかが伺える。
「風鎌!」
テトラ君が抜刀し刀をシュッと斜めに振ると鋭い風の刃が離れた所にあった木を切り落とした。
刀と言っても殺傷能力のない木刀だが、魔法を組み和えわせれば木刀であってもこうして鋭い武器となる。
「うん。その技は例えば小枝を使った場合でも応用できるのかな?」
テトラ君の技に満足そうに頷いた先生は首を傾げて尋ねる。
ニコニコ笑っているし明るい感じだけど、言葉からは興味と真剣さを感じる。
「小枝は…試したことがありません。ですが、高い確率で小枝が持たなず木っ端微塵になるかと…。」
先生からの質問に少し考えた後、テトラ君がそう答えると先生はうんうんと頷いた。
だろうねぇって言うような感じ。
「じゃあ君は次の僕の授業の時までに小枝を使って今のができるように訓練しておいてねぇ。はい、次!」
先生はニッコニコの笑顔でそんな課題を出して、次の生徒を促す。
テトラ君は何か物申したげであったが、先生が笑顔ながらも全く聞く気がないことを察知して諦めた様子で僕の隣に立つ。
「次の授業って3日後だよな?」
「確か。」
日にちを僕に確かめたテトラ君ははぁーっと大きくて深い息を吐き出すと遠い目をして発表している生徒たちを大人しく見学しだした。
もう何かを言うのも面倒だって感じだ。
確かに3日後に小枝を使ってって言うのはなかなか厳しいよね。
その後の生徒たちもそれぞれ得意な魔法を披露して、テトラ君の様に難しい課題を出されていく。
瞬時に弱点…というか、生徒ができそうで出来ないことを見抜く力はすごいと思う。
さすがノヴァに次ぐ魔法オタクだ。
「はい、じゃあ次ぃ!」
先生の明るい声に促されて僕は足を前に進める。
得意な魔法っということだが、此処で闇魔法を披露するのはちょっとダメな気がするので、オリヴァー直伝、重力魔法を使おう。
「先生、僕は重力魔法を使いたいのですがいいですか?」
「重力魔法!?もちろんだよ!ぜひ見せてくれ!そうだ!分かりやすい様に岩を用意しよう!」
のりのりな先生は魔法で大きな岩をいくつか顕現させ、さぁ!どうぞ!と言わんばかりに瞳を輝かせて僕を見てくる。
元々ヘイズ家が主に使用していた魔法だから、重力魔法を扱える人は今とてもすくないので、魔法オタクな先生がうきうきするのは理解できるけど…ちょっと過度な期待は荷が重いです。
とりあえず、さっさと得意魔法を紹介して引っこもうと皆から離れた位置、大きな岩の近くに立つ。
「重力魔法」
人差し指を下向きにして腕を前に伸ばし、ポツリと呟けば、重力魔法によって大きな岩が跡形もなく消え去った。
魔法を解けば窪んだ地面の底に岩の破片が散らばっている。
うん、コントロールも威力も予定通り!
これならオリヴァーも満足してくれるだろう。
自身の魔法に納得し、先程まで待機していた所へ戻ろうと振り返ると先生がキラキラした瞳で僕を凝視していた。
そしてその後ろでは生徒達が何故か顔面蒼白。
「すごい!すごいよアーバスノイヤー君!素晴らしい!!」
パチパチパチと大袈裟に拍手をして声を上げる先生に、何だか僕が恥ずかしくなる。
怒られるより、褒められた方が嬉しいけど、過度な賞賛は只只恥ずかしい。
そして、何故近づく僕にテトラ君以外のクラスメイトは目を逸らすんだ。
解せぬ。
_____________
更新が空いてしまいました…
これからどのような展開にするかとか色々考えたり、調べたりしてたら中々進まず…
毎日は難しいかもしれませんがあまり間が空かないように気をつけます!
今日は午後の時間全て魔法実技の授業に充てられている。
魔法を教えてくれる先生はアーキル・トゥワイマン。
アニペ叔母様の旦那様の弟君で僕とは一応親戚に当たる人なのだ。
親戚と言っても関わりは無かったので、お互い親しい言葉を交わすことはないのだけど。
トゥワイマン先生はノヴァ程では無いが、魔法オタクで優れた教師である。
あの事件があって、より優れた魔法を使える生徒を育成する為に非常勤講師として呼ばれたと聞いている。
「では、今日は一人ひとりの得意な魔法を発表してもらいます。但し!攻撃魔法の場合は事前に先生に知らせること!危ないからね!」
トゥワイマン先生はハツラツとした声で腰に手を当ててHAHAHAHA!って笑ってる。
元気満々って感じの先生。
僕の周りは割と静かな人が多いから、あの人が親戚だなんて信じられない気持ちである。
最初に発表するのはテトラ君。
先生やクラスメイト達は端の方に立って、テトラ君が魔法を展開するのを見学。
テトラ君は事前に攻撃魔法を使いますと先生に知らせていたので、実践訓練場の周りとは別に僕達の周りにも結界が張られている。
何でもない顔で二重結界を張れることから如何に先生が有能であるかが伺える。
「風鎌!」
テトラ君が抜刀し刀をシュッと斜めに振ると鋭い風の刃が離れた所にあった木を切り落とした。
刀と言っても殺傷能力のない木刀だが、魔法を組み和えわせれば木刀であってもこうして鋭い武器となる。
「うん。その技は例えば小枝を使った場合でも応用できるのかな?」
テトラ君の技に満足そうに頷いた先生は首を傾げて尋ねる。
ニコニコ笑っているし明るい感じだけど、言葉からは興味と真剣さを感じる。
「小枝は…試したことがありません。ですが、高い確率で小枝が持たなず木っ端微塵になるかと…。」
先生からの質問に少し考えた後、テトラ君がそう答えると先生はうんうんと頷いた。
だろうねぇって言うような感じ。
「じゃあ君は次の僕の授業の時までに小枝を使って今のができるように訓練しておいてねぇ。はい、次!」
先生はニッコニコの笑顔でそんな課題を出して、次の生徒を促す。
テトラ君は何か物申したげであったが、先生が笑顔ながらも全く聞く気がないことを察知して諦めた様子で僕の隣に立つ。
「次の授業って3日後だよな?」
「確か。」
日にちを僕に確かめたテトラ君ははぁーっと大きくて深い息を吐き出すと遠い目をして発表している生徒たちを大人しく見学しだした。
もう何かを言うのも面倒だって感じだ。
確かに3日後に小枝を使ってって言うのはなかなか厳しいよね。
その後の生徒たちもそれぞれ得意な魔法を披露して、テトラ君の様に難しい課題を出されていく。
瞬時に弱点…というか、生徒ができそうで出来ないことを見抜く力はすごいと思う。
さすがノヴァに次ぐ魔法オタクだ。
「はい、じゃあ次ぃ!」
先生の明るい声に促されて僕は足を前に進める。
得意な魔法っということだが、此処で闇魔法を披露するのはちょっとダメな気がするので、オリヴァー直伝、重力魔法を使おう。
「先生、僕は重力魔法を使いたいのですがいいですか?」
「重力魔法!?もちろんだよ!ぜひ見せてくれ!そうだ!分かりやすい様に岩を用意しよう!」
のりのりな先生は魔法で大きな岩をいくつか顕現させ、さぁ!どうぞ!と言わんばかりに瞳を輝かせて僕を見てくる。
元々ヘイズ家が主に使用していた魔法だから、重力魔法を扱える人は今とてもすくないので、魔法オタクな先生がうきうきするのは理解できるけど…ちょっと過度な期待は荷が重いです。
とりあえず、さっさと得意魔法を紹介して引っこもうと皆から離れた位置、大きな岩の近くに立つ。
「重力魔法」
人差し指を下向きにして腕を前に伸ばし、ポツリと呟けば、重力魔法によって大きな岩が跡形もなく消え去った。
魔法を解けば窪んだ地面の底に岩の破片が散らばっている。
うん、コントロールも威力も予定通り!
これならオリヴァーも満足してくれるだろう。
自身の魔法に納得し、先程まで待機していた所へ戻ろうと振り返ると先生がキラキラした瞳で僕を凝視していた。
そしてその後ろでは生徒達が何故か顔面蒼白。
「すごい!すごいよアーバスノイヤー君!素晴らしい!!」
パチパチパチと大袈裟に拍手をして声を上げる先生に、何だか僕が恥ずかしくなる。
怒られるより、褒められた方が嬉しいけど、過度な賞賛は只只恥ずかしい。
そして、何故近づく僕にテトラ君以外のクラスメイトは目を逸らすんだ。
解せぬ。
_____________
更新が空いてしまいました…
これからどのような展開にするかとか色々考えたり、調べたりしてたら中々進まず…
毎日は難しいかもしれませんがあまり間が空かないように気をつけます!
480
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
お気に入りに追加
3,259
あなたにおすすめの小説


思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません
りまり
BL
公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。
自由とは名ばかりの放置子だ。
兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。
色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。
それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。
隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です


金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます

悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる