上 下
80 / 362
第2章

パワーアップした指輪

しおりを挟む
ばぁやには休憩を取るように告げてノヴァの方へ向かう。
まだまだ元気だけど、時折腰をさすったりするようになった。

ばぁやは生まれた時から唯一傍にいてくれた人なので、長く生きて一緒に居て欲しいから最近は無理をしないように言い聞かせている。



ソファに座るノヴァの頬に頬をつけてご挨拶をした後、向かいのソファに座る。


「ノヴァ来てくれてありがとう。」

「私がルナイスに会いたかったんだ。便りもなく急に来て悪かった。」


謝るノヴァに大きく首を横に振る。

謝罪を受けるなんてとんでもない。
僕は寧ろ感謝しているのだから。



「公爵様から元気だと聞いたが、本当に体に不調はないのか?」


険しい顔をしたノヴァがそう言って、僕をつま先から頭のてっぺんまでじーっと見る。

スキャンされてる。



「大丈夫。…ただ、少しだけ魔力のコントロールがしずらいなって感じるけど。」


基本的には何の問題も無いのだけど…1つ気になっていることをぼそっと呟くとノヴァは「やっぱりか」と頷いた。



「抑えていた魔力を一気に解放したことで、不安定になっているように感じると公爵様やアドルファス様から聞いていた。私も知らせを聞いて、恐らくそういう状態になっているだろうと思っていたんだ。」


ノヴァの言葉にとーさま達が気づいていたのだと驚いた。

小さい頃から僕の魔力循環を根気強くしてくれていたお二人だから僕の魔力に敏感なのかもしれない。




「ルナイス、指輪を貸してくれるか。その間はこれに触れていてくれ。」

貸してくれるかって質問系だったけど、有無を言わさない差し出された球体とノヴァの掌。

僕は素直に水晶みたいな透明な球体に触れながら指輪を嵌めている右手を差し出した。




僕の右手の人差し指から指輪を抜き取ったノヴァは、指輪をぎゅっと握り込み目を閉じた。

握られたノヴァの掌からは青白い光がぽわっとしている。


そんなノヴァの姿がとっても綺麗で思わずぽーっと見惚れてしまう。





「…ふぅ…ルナイス手を。」


魔法を掛け終わったのか、ノヴァがそう言うので右手を差し出す。



「水晶体から手を離して。…どうだ?」


右指人差し指に指輪が嵌められ、指示されるままに水晶体から手を離す。







「うん。気持ち悪いのなくなった!」


一瞬魔力がぐりゅんってなってぶっ倒れるかと思ったけど、本当に一瞬ですぐに魔力が安定してスッキリした。

便秘が治った感じ。



「何したの?」


「付与魔法の強化だ。保護魔法の1種だ。」


ノヴァの返答にへぇ~って声しかでない。

パッと見指輪に変わった感じは無い。
変わらずファイアオパールがキラキラと輝いて綺麗だ。



「ありがとう!」

とにかく、ノヴァのおかげで不安定で気持ち悪い感じがなくなったからお礼を告げる。







「ノヴァは今回のことどれくらい知ってる?」

僕の体調も万全になったところで、用意された紅茶を飲みながらあの日のことについて尋ねてみた。



ノヴァがこっちに来る用事っていうのは十中八九あの悪鬼事件についてだと思うし。
当事者として少しくらいは詳細が知りたいところだ。




「悪鬼達は何者かによって強制的に動かされていた。それは、ルナイスが多くの悪鬼を生きて捉えてくれたおかげだ。」


「他で出現した悪鬼は?」



「生きて捉えられた悪鬼は少なかったと聞いた。」





あの時は自分の近くのことで精一杯だったから知らなかったけど、やっぱり殺されてしまった悪鬼が多かったようだ。

にぃ様達の所ではどんな風だったのかも気になる。
後で時間をもらえたら聞いてみよう。

ノヴァが何者かによってっと言ったということは、未だ黒幕は分かっていないのだろう。



生物を操る術となると…呪術あるいは魅了などの類だろう。





「悪鬼達はどうなるの?」


「解術され協会の神父達と連携して強固な結界の中に閉じ込めている。なんらかの方法で殺されてしまっては何の情報も得られないからな。…私も可能な領域で彼らの記憶を除いてみたが…犯人に繋がる情報にはノイズが入っていた。」



ちょっと悔しそうに舌打ちをするノヴァ。

悪鬼達が必死に抗おうとしていたのを分かっているだけに、彼らはなるべく手厚く保護して欲しいと思う。






しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

もしかして俺の主人は悪役令息?

一花みえる
BL
「ぼく、いいこになるからね!」 10歳の誕生日、いきなりそう言い出した主人、ノア・セシル・キャンベル王子は言葉通りまるで別人に生まれ変わったような「いい子」になった。従者のジョシュアはその変化に喜びつつも、どこか違和感を抱く。 これって最近よく聞く「転生者」? 一方ノアは「ジョシュアと仲良し大作戦」を考えていた。 主人と従者がおかしな方向にそれぞれ頑張る、異世界ほのぼのファンタジーです。

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

優しい庭師の見る夢は

エウラ
BL
植物好きの青年が不治の病を得て若くして亡くなり、気付けば異世界に転生していた。 かつて管理者が住んでいた森の奥の小さなロッジで15歳くらいの体で目覚めた樹希(いつき)は、前世の知識と森の精霊達の協力で森の木々や花の世話をしながら一人暮らしを満喫していくのだが・・・。 ※主人公総受けではありません。 精霊達は単なる家族・友人・保護者的な位置づけです。お互いがそういう認識です。 基本的にほのぼのした話になると思います。 息抜きです。不定期更新。 ※タグには入れてませんが、女性もいます。 魔法や魔法薬で同性同士でも子供が出来るというふんわり設定。 ※10万字いっても終わらないので、一応、長編に切り替えます。 お付き合い下さいませ。

婚約者の恋

うりぼう
BL
親が決めた婚約者に突然婚約を破棄したいと言われた。 そんな時、俺は「前世」の記憶を取り戻した! 婚約破棄? どうぞどうぞ それよりも魔法と剣の世界を楽しみたい! ……のになんで王子はしつこく追いかけてくるんですかね? そんな主人公のお話。 ※異世界転生 ※エセファンタジー ※なんちゃって王室 ※なんちゃって魔法 ※婚約破棄 ※婚約解消を解消 ※みんなちょろい ※普通に日本食出てきます ※とんでも展開 ※細かいツッコミはなしでお願いします ※勇者の料理番とほんの少しだけリンクしてます

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て運命の相手を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ──────────── ※感想、いいね大歓迎です!!

ツンデレ貴族さま、俺はただの平民です。

夜のトラフグ
BL
 シエル・クラウザーはとある事情から、大貴族の主催するパーティーに出席していた。とはいえ歴史ある貴族や有名な豪商ばかりのパーティーは、ただの平民にすぎないシエルにとって居心地が悪い。  しかしそんなとき、ふいに視界に見覚えのある顔が見えた。 (……あれは……アステオ公子?)  シエルが通う学園の、鼻持ちならないクラスメイト。普段はシエルが学園で数少ない平民であることを馬鹿にしてくるやつだが、何だか今日は様子がおかしい。 (………具合が、悪いのか?)  見かねて手を貸したシエル。すると翌日から、その大貴族がなにかと付きまとってくるようになってーー。 魔法の得意な平民×ツンデレ貴族 ※同名義でムーンライトノベルズ様でも後追い更新をしています。

処理中です...