王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰

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第2章

何故そんな考えに至ったのか理解不能

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初学園を終えた今日は心配したとーさまが夕飯の時間よりも早く帰宅されたので、今日はいつもより少し早めの夕飯となった。



「ルナイス、どうだった?」

とーさまは席に着くなり僕に尋ねてきた。
よっぽど心配されているのだなと、安心頂くために元気よく答える。


「1組になりました!担任の先生はエドガー・グリシャム先生です。友人はできませんでしたが問題なしです!」


僕の答えに安心してくれただろうか?と父を見つめると、なんか微妙な感じ。



「なぜ問題なしと?」

とーさまは僕を見るのを止めて、なぜかにぃ様に質問する。

なぜ僕に聞かぬのだ父よ。



「ルナイスは1人で居ることが苦ではないようです。ただグループ行動の時に困るのではと心配していましたが……そのような場合は教師やヨハネスがいるから問題無しと判断したようで…」


「アドルファス、お前はそれに何と?」


「……ルナイスがよいのならよいと。」



にぃ様の返答にとーさまはふかーーーく息を吐き出した。

それはそれは深いため息だった。



「アドルファスあとで私の執務室へ来るように。」

「…はい。」


厳しいお声をしたとーさまと、力なく答えるにぃ様。

ん?と首を傾げてとーさまとにぃ様を交互に見る僕へとーさまの視線が向けられた。



「ルナイス、友人が1人もいないのは問題がある。アーバスノイヤー家的にも問題があるが、何よりお前の為に友人は居るべきだ。」

あ、とーさまのご説明が始まった。

これから長い講座が始まるぞっと僕も気合いを入れる。



「しかしとーさま。友人という関係ではないですが、頼りになるにぃ様達やヨハネス達が僕にはいます!何が問題なのですか?」


昔の教訓からとーさまから言われたことを理解出来ない時は、その時にきちんと聞くようにしているので堂々と質問する。

とーさまもそんな僕に、僕が納得するまで付き合ってくれるんだ。




友人という枠の人が居なくても、僕には友人それよりも頼りになる人が傍に居てくれている。

今の僕に無理に友人をつくる必要性はないように思う。



「頼りになる者は確かにいるが、意見や考えを言い合う友人が居らねば見識も広まらず、凝り固まった思考の人間になってしまう。そのような人間になって欲しくは無いと思うからこそ友人は必要だと言うのだ。」


とーさまの言葉にうむりと頷く。

そういえば前世の記憶の中にも、同年代くらいの人間と話をしたり触れ合うことで人は成長していくものだと言っている人がいたなと思い出す。



それと同時に人の話を聞かずに論破することに必死なやつを思い出す。



「…わかりました。でも友人はつくろうと思ってできるものではないので、気長にお待ちください。」


「あぁ。それでいい。学院生活の中でルナイスが一緒に居て楽しいと思える人間と出会えることを願っている。」



お互い納得してから黙々と残りの料理を口にして、その日はその場で解散となった。


あとでばぁやに聞いた話、食事の後とーさまの執務室に呼ばれたにぃ様は、とーさまに叱られたのだとか。

そして僕はばぁやに叱られた。


学園の授業でヨハネスが参加できるわけがない。
従者を巻き込むなと。

ばぁやに叱られて、確かにヨハネスは護衛として学園の護衛控室に居てくれているが、授業に参加できるわけないって冷静に考えたら分かった。

逆に何故そう思わなかったのか自分が理解不能である。


にぃ様は僕のせいで叱られてしまったので、こそっと夜中に部屋を抜け出して謝りに行った。


にぃ様は笑って気にするなと言ってくれ、何故自分がヨハネスも授業に参加できるなどと考えたのか理解不能だと告げると緊張していたのだろうと優しくフォローしてくれた。

にぃ様が僕に注意しなかったのは、本来であればそのような思考にはならないだろうから、しばらくすれば従者や先生とグループ授業を受けるなんて事は出来ないと気づくだろうと思っていたからだそう。



やっぱりにぃ様は優男やさおである。




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【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
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