王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰

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第2章

ばぁ!

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嵐は突然やってくる。


学院入学を明日に控えた今日。
アーバスノイヤー家の屋敷は朝から予想外のお客様に大騒ぎです。



「だから何度も言っているだろう!あの小僧を使って魔力晶を作り出し我が領土を守れと!」


「ですから、何度も言っています。マーフィー領は貴方のものではなくなりました。今は貴方の娘アニペ・マーフィーが当主です。そして、貴方がアーバスノイヤーの領土に足を踏み入れることは禁じられているのですが…どうやら裏切り者が居るようですね。」


お爺様再来。

騒ぎ立てるお爺様と静かなとーさまですが、どちらも激おこ。


僕はこっそり応接間の窓がある茂みから盗み聞き中。
傍にはヨハネスが仕方ないという感じで部屋からは見えない位置に立ち、僕を見守ってくれている。


「ヨハネス、裏切り者がいるって。」


「そのようですね。あの人が来てからすぐに警備隊が動いてます。」

裏切り者って誰だろう?


まさかばぁややヨハネスなんかじゃないよね?
うん。ありえないな。



ばぁやはとーさまの時から仕えてくれていて、とっても硬い忠誠心があると言っていたし、ヨハネスは強い人がすきだから自分よりも弱いお爺様には付かない。



誰なんだろー



「舐めるなよぉお!!貴様などいつでも殺せるのだからなぁ!」

ヨハネスと誰だろうねぇって話してたら今までよりも大きなお爺様の怒号が聞こえてきて慌てて窓から覗くとお爺様が机を持ち上げていた。

え?
お爺様元気。


とーさま含め扉の傍で控えていたワイアットも呆れ顔だ。
全然脅されてない。


あ!いいこと思いついた!


「!ルナイス様!」

どぼんと影の中に入り込んでさささーっと移動。

ノヴァとの訓練で大分闇魔法をものにしたのだ。
今こそ、その成果を見せる時!!





せーっの!


「ばぁ!!」

「ひぃ!」


ガッシャーン!!



「…あーあ。」

「ルナイス…何をしている。」


「悪口言ってる本人が突然現れたらびっくりして逃げ帰るかと思ったのですが…予想と結果が違いました。」


ちょっと不満。

予想では「ひぃ!覚えてろー!」て此処から出ていくはずなのに、なに自分が持ち上げてた机の下敷きになってるの!



影から伸び出してお爺様をびっくりさせようっていう子供のちょっとした悪戯じゃないか。


コンコン

「失礼致します!ルナイス様を回収しにまいりました!」

慌てた様子のヨハネスがすっ飛んできて僕を小脇に抱えて深くとーさまに頭を下げる。

持ち方よ。
当主の前で当主の次男小脇に抱えるなんて…



「よい。ルナイスも今回は相手がだから良かったものの、客人に悪戯してはいけない。」


「大丈夫です。だから悪戯してもよいと判断したんです。」


「ならばよい。」



「良くないわ!!わ、儂を誰だと思っておる!そこの者共も!はよ儂を救出せんか!!」


あ、生きてた!
良かった良かった。

死因が僕の悪戯キッカケの事故死なんて目覚めが悪いもんね。



結局お爺様は禁止命令に違反した罪でお縄となり、裏切り者は見つかったらしく適切な処分を受けたと聞いた。

裏切り者が誰だったか教えて貰おうと思ったけど、誰も教えてくれなくて、でもよく僕の部屋の近くの廊下の窓を拭いていた使用人を見かけなくなったからたぶん彼だったんだろうと推理している。







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