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第1章
僕のお名前
しおりを挟む「それより旦那様、坊っちゃまのお名前はどうされるのですか?」
しばらく父にお説教していたばぁやがふと放った言葉にそういえば名前知らなかったなと気がついた。
危うく圧死させられるところだったけど、今世の美しすぎる父が気になってチラチラと見ていた僕は期待を込めて父を見つめた。
「あぁ、アリアと決めた。この子はルナイス。ルナイス・アーバスノイヤーだ。」
「ルナイス様…とっても良きお名前です!」
目に涙を溜めたばぁやはそっと僕を父に渡す。
腕の中に納まった僕を父は目を細めて、そしてばぁやと同じように目に涙を浮かべて見ていた。
きっとアリアというのは今は亡き母の名前なのだろう。
母を思い出してなのかばぁやは背中を向けて俯いている。
父のキラキラした金色の瞳からポタリと落ちた雫が僕の頬を濡らす。
「んぅ」
一生懸命小さき両手を伸ばして父の顔に手を伸ばす。
涙を零す瞳にはどうしても届かないので、胸元をぱしぱし叩く。
「ふぇ…あーー!」
慰めるつもりが、この人達が泣いてるのは僕が母の命を奪ったからだと思うと僕の目からも涙がぶわぁと溢れ出した。
前世の記憶を持つ冷静な僕は母が死んでしまったのは仕方の無いことで、命の危険があっても僕を産むと決めたのは母だと理解しているけど、幼い心の僕がその記憶があるが故に罪悪感を感じて悲しくなる。
「ルナイス…アリアの分まで私はお前を愛す。」
泣き叫ぶ僕を父は先程とは違い優しく抱きしめ、深く優しい声で包み込んでくれた。
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