死神のカウントダウン

白夜

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30話 死神の瞳

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30話  死神の瞳



『じゃあ…なんで?俺には見える?』

死神は嬉しそうに
『なんでだと思います?』

って、聞いてきて…

『そんなの知るかっ!』って俺が言うと

『もっと、考えて下さいよ』

すんげー嬉しそう

『おい!死神!お前アホだろ?』

『アホってなんですか?それに俺の名前死神じゃありませんから!右京うきょうです!!右京って呼んでもいいですよ』

『名前あるの?』

『あ~、人間だった頃の名前ですけどね。あなたも、おい人間っ!って呼ばれたらいやでしょ?しょうくん♡』

『は?なんで俺の名前知ってんの?』

『死神ですからっ!!』
得意げに首の蝶ネクタイに触れる

『俺?死ぬん?』

『あなたは死にません』

『あなたは?』
あっ…マズイって顔して
『【死神の瞳】を譲り受けたので、俺の事が見えています』

死神の瞳?
なんだそれ…

『【死神の瞳】とは、死のカウントダウンが見える瞳の事です。頭の上の数字見えるでしょ?あれですよ!!そろそろ気が付いたでしょ?』

『…あの数字…本当に?…死ぬまでのカウントダウンなのか?』

『はい!そうです!』

信じたくなかった…

かずまの数字は…もう【2】になっているはず…
胸がざわざわして鼓動がうるさくて

そんな言葉信じたくないのに

『数字を増やしたり、死なずに済む方法はないのか?』

死神の胸ぐら掴んで激しくゆすった

『ごふぉふぉほっ。んっ!…離して下さい!!あるには…ありますけど…』

『教えろッ!教えろって!!』

俺は、必死になっていた。

あの頭の上の数字が意味するのが、死へのカウントダウンなら…

かずまは…あと…2日後に…

死ぬ。

そんな事っ!!絶対にさせないッ!!

胸ぐら掴んで、再度激しくゆすった。

『やめて下さいっ!!教えませんよ!!』

ゆっくりと、紫の細身のスーツから手を離した。

『いいから言えって!!』

『俺も、久しぶりにこっちでのんびりしたいんで…ちょっといいっすか?』

『は?』

死神は俺の家でのんびりくつろぎ始めた。
テレビを点けて見たり、漫画を読んだり…


俺は、目の前の事が現実に起こっていることなのか?
全く理解できなくて…

死神の行動をただじっと見ていた…。

『あ…しょうくん!俺、なんか食べたいっす!!』
『は?死神も食べんの?』
『俺!元人間ですからね!!食べさせてくれたら…いろいろ教えてあげられるんですけどね~』

『ほんとにっ!お前死神なんか?っつーか、死神ってほんとに存在するのか?』
『俺、ここにいるじゃないですか!』
得意そうに笑って見せる死神

イケメンなだけに笑うとオーラがすごいっ!!

って、俺、死神に見惚れてる場合じゃないッ!!

『なに、食べたいんだよ?』
『おっ!さすが翔くん!受け入れ早いっすね!アレ食べたいっす!焼肉!!前に来た時もご馳走になったんすよね!ほら、ホットプレートでしたけ?あれで焼いて~』

コイツ…なんなんだよ?

コイツほんとに死神か?
『とりあえず、肉買いに行きましょう!!』ってにこにこしながら死神は言った。


『んん?俺…だよな?金出すの…?』

『はい、もちろんです!』
綺麗な顔が微笑む。

『俺も一緒に行きますから!いいお肉でお願いします。』

ほんとに、なんだよ!こいつっ!!

でも、かずまの命を救う方法を知りたくて、死神と一緒に、買い物に出かけた。
もちろん周りの人にはコイツの姿が見えていない…

近くのスーパーに着くと、肉を吟味しだす死神。
『どれだっていいだろ?』

『肉選びは重要ですからね!!』

そう言って、一番いい肉を指さした死神は、まぶしいくらいの笑顔で
『これで!!』
『はぁ~!お前っ!!ふざけんなよっ!俺だって、そんないい肉買った事ないって!!』
思わずでっかい声で言ってしまった。

周囲の人が、俺をじろじろとまるで変な人でも見る様に見ていた。
それも、そのはず…周囲からみれば、俺はひとりだし、誰もいないのにひとりでおしゃべりしている変な奴だ。

幸い、夜でそれほど多くの人はいなかった。

家に帰って、なぜか死神と焼肉をした。
なんなんだこれ…?いったいどういう状況?


嬉しそうに肉を頬張る死神…。
まるで、人間みたい…って思ったけど、こいつも元々は人間だったんだよな?

何で死神になったんだ?


死神が美味しそうにお肉を食べる姿を見ながら、俺も肉を頬張った。
『うまっ!!』
思わず声が出てしまった。

『ですよね?やっぱ、いい肉は違うな~』

って、俺コイツと焼肉楽しんでる場合ちゃうねん!

こうしている間にも…

かずまのカウントダウンは進んでる。

早く!!
こいつからカウントダウン止める方法聞きださなくちゃッ!
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