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「そうね、アルフちゃんはアヤミちゃんと一緒に居て幸せだもの。 それを邪魔するなんて野暮ってものよ」

「そう言って下さって嬉しいです」



私の独り善がりってわけじゃなくて他の人にもそう見えるなら安心するね。
死んでしまったミリアリアさんや父親のゼノさんの代わりに私がアルフを立派な大人に育てないといけないから……まあ、私自身が駄目な大人ではあるんだけど。



「それで、アヤミちゃんにお願いがあるのよね」

「何ですか? 私に出来ることならお手伝いしますよ」

「アヤミちゃんならそう言ってくれると思って居たわ~。 実はね、エスメラルド・マクレーンのことなの」



エスメラルド・マクレーンってエスメラルド様のことで合ってるよね?
ギルドにあの誘拐犯をリーフィが連れて行ってからどうなったのかは私は全く知らないからちょっと気になってはいたんだよ。

ディサンダ様が幽閉するみたいなこと言ってたからもしかしたら幽閉されたんじゃとは思って居たけど、スチュアートさんが知ってるってことは騎士団にいるのかな?



「エスメラルド様がどうかしたんですか?」

「エスメラルド・マクレーンは伯爵夫人なんだけど、今回の誘拐の指示をしたってことで今は騎士団で話を聞いてるの。 ディサンダ・マクレーン伯爵は夫人を迎えに来るつもりはなくてそのまま離縁の準備をしてるようだけど」

「やっぱ私はディサンダ様があまり好きではないですね……」



別にディサンダ様にも何か考えがあるのかもしれないけどもうエスメラルド様と離婚する準備をするなんて私の感覚ではありえないかな。
私が口を挟むことではないから何も言わないけども。



「伯爵はもうどうでもいいの。 それで、夫人が何も食べてくれないから衰弱してきてるのよね……」

「え!? 何もってご飯ですか?」

「そう、まだ事情聴取の最中だから死んでしまうのは困るの。 一応医者には見て貰って居るんだけど本人が食べないなら意味がないのよ」



エスメラルド様は何を思ってご飯を食べないんだろう……。
ご飯を食べないと餓死して死んでしまうし、いくら誘拐を指示したからしたからって死んでほしいとまでは思ってもない。
もしかして、ディサンダ様のことを思って何も話さないようにしてるのかな?

むしろ、生きて罪を償ってほしい。



「あの、それで私にお願いとは?」

「正確にはアヤミちゃんじゃなくてアルフちゃんなんだけど、一度はく伯爵夫人に会ってもらいたいの。 アルフちゃんに会えば何か変化があるかもしれないしね」

「アルフですか……」



確かにエスメラルド様はアルフを誘拐するほどまでに執着していたみたいだけど、それはエスメラルド様がアルフを跡目にしたかったからだよね?
それが出来なくなった今、アルフに暴言吐かないかな……ミリアリアさんのことあまり好きじゃなかったみたいだし……。

 
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