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旅の道中

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いろんな人が美味しそうに食べてるのを見るだけで、この仕事やっててよかったなと思うよ。
特に子供は素直で可愛い子は大好き、どうしても甘やかしてしまうよね。
……別にショタコンやロリコンではない。




「ありがとうございます、食堂の姉さん」


「食堂の姉さんって言いづらくないですか? ……って、すみません、ちゃんと自己紹介してなかったですよね。 アヤミ・ファレスです。 こっちは弟のアルフォレッドです」


「アルフォレッド・ファレスです!」




マグライナ君には名乗ってもらったのに私が名乗るの忘れてたよ。
いくら私が食堂で働いていたのを覚えていたとしてもちゃんと挨拶はしなきゃね。

私が挨拶したのを聞けばアルフは食べていたマフィンを飲み込み、ぺこりと頭を下げた。




「俺にそんな丁寧に喋らなくていいですよ。 じゃあ、アヤミさんって呼びますね。 ……アヤミさんの店にも一回行ってみたかったんですけど、なかなか行く機会がなくて……」





そこまでファンシーにしてないし、軽食も多いけどやっぱ男の子には入りにくいのかな?
行きたかったってのはお世辞なのかもしれないけど。




「マグライナ君は甘い物好きなの?」


「アルベルトでいいですよ。 ……男として変ですかね?」




少し照れた様子のマグライナ……アルベルト君に可愛いなって思ってしまうのも仕方ないよね。
目が猫目なのもあってか、あまり甘えてこない猫が甘えてきたようなそんな感じがする。




「私は美味しく食べてもらいたい性格だから変だとは思わないよ」


「……そうですか」




ちょっとホッとしたアルベルト君だけど甘い物のことで何か嫌なことでもあったのかな。
日本でもなんか居たけどね、男なのに甘い物好きなんておかしいって言う奴。
人の好みなんてそれぞれなんだから男だから女だからって関係ないのに。
そんな人に限って自分は別って思ってるんだから。




「……」





私がアルベルト君と話しているせいなのかクロスがちょっとムスッとしながら私達を見ているのに気付く。
ほとんど表情には出さないクロスだけど、もう長い間一緒に居たからちょっとの変化もわかるようになってきたな。

普通の会話だし、クロスも入ってくればいいと思ったけどまた喧嘩越しになっても嫌かも。





「……んだよ」





私が気付くぐらいなのでアルベルト君もクロスの視線に気付いたのかキッとクロスを睨んでいる。
……まさかとは思うけど、私がアルベルト君と話してるのが気に食わないとか?
いや、確かにクロスが私を好きなのは知ってるけども、……嫉妬するの?
アルベルト君だからなのか、それとも他の男の人にもなのか……。



……今までそんな事なかったから何だか恥ずかしくなってきちゃった。



 
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