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帝国へ

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お店の休業木板はちゃんとあるね。
もし、長いこと休業してここで店を続けられなかったとしてもアルフとならどこでもいいよ。

大きい街じゃなくて余所者でも歓迎してくれる村でもいいしね。





「アヤミ、待ったか?」


「全然、旅の準備もあったし。 アルフはさっき起きたばかりだから今ご飯を食べてるよ」





どこにあるのか知らないけど多分長い旅にはなるだろうしね。
野宿する時もあるだろうからテントとか食料とかたくさん準備した。

鞄があるから何ヶ月分でも入るしね。

アルフはまだ小さいから野宿だったとしてもちゃんとしたご飯は食べさせてあげなきゃ大きくなれないし。





「帝国に行く馬車はない。 旅は歩きになるが問題ないか?」


「あるかないかだったら問題はあるけど、私の体力の問題だからね。 ゆっくり行ってくれたらありがたいかな」


「ギルドで確認したがまだ帝国に動きはない。 道中で情報を集めながら向かってもいいだろう」





最強主人公なら旅慣れてるかもしれないし、旅の事はクロスに従ってた方がいいよね。
馬車がないのはちょっとキツいけど日本の時より体力も少し上がってるからそんなに旅も遅くはならないと思う。





「クロス兄、おはよう」





小さな欠伸をしながら少し眠たそうなアルフだけどふにゃりと笑みを浮かべてクロスに挨拶してる。

アルフも結構依頼を受けてるけどちゃんと日暮れには帰ってくるから旅は初めてだろうしね。




「おはよう」


「準備は出来た?」


「うん、アヤ姉がほとんど持ってくれてるから僕が持つのはクロス兄から貰った武器だけだからね!」


「私は戦えないからね。 アルフやクロスに戦わせるのは申し訳ないんだけど……」




大人である私が戦わずに年下の二人に戦わせるのはちょっと罪悪感があるんだけどね。
まあ、私よりも断然強いけど。





「アヤミは弱いからな」


「アヤ姉は僕が守るよ!」




年下の二人に守られるのは微妙な感じだけど仕方ないよね。
街の外に初めて出るのに何も持ってないのは不安だから銃だけは用意してるし。

もう二度と持ちたくはなかったけど我が儘ばかり言ってられない。
旅の途中でちょっと撃つ練習しなきゃ。




「ありがとう」


「よし、そろそろ行くか」


「そうだね、折角早めに起きたんだから行こうか」


「ああ、ここから三日ほど歩いた所にアルドラと言う街がある。 まずはそこを目指そう」




アルドラかぁ。
この街以外は初めてだからちょっとドキドキするね。


ずっと家の前で話していても仕方ないので三人一緒に歩き出す。

街の入口の門まで来ると特に問題もなく街の外に出られた。
そして、アルドラに向かって旅が始まる。




 
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