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第六章 【二つの世界】
6-487 ハルナへ
しおりを挟む『――ハルナへ
ごめん、黙って向こうにいくのもなんだから、こうやって手紙を残していく。うまく書けないけないだろうけど許して欲しい。
とはいえ、何を書いたらいいかわからないんだけど。
だから、最後くらいはちゃんとアタシの正直な思いを伝えておくことにする。
向こうの世界から、アンタには随分と迷惑をかけたんだけど、これ以上迷惑をかけるのも悪いから勝手に向こうに行かせてもらうよ。それに、これを見てるってことはきっと、アタシが世界を渡った後でもお互いの世界が無事だったってことだと思うから。もし、何かあった場合は、許してね。
それじゃあ黙っていく理由だけど、やっぱりこっちにはアタシの居場所はないんだよね。
こっちにはアタシのことを良く思っていないヤツが多いし、アンタの周りの人から見ればよくわかんない自分物なんだよね。だから、視線とか言葉の端から感じられるアタシに向けられたものが、あんまり居心地がよくなかったんだ。
アタシのこれまでの立場を考えても、良く思われないのもわからなくはないからね。
そりゃ、アタシの勝手な思い込みっていうのもわかってるから、アイツらを叱ってやらないで欲しい。まぁ、アンタはそんなことしないと思うけどさ。
それだって、偶然にアタシよりも先にアンタと出会ってたし、アンタのことも気に入ってたんだろ?向こうの世界でも、アンタは好かれやすいタイプだったしね。
でも、反対の世界は逆だっただろ?アタシもこっちの世界に来てから、人に信頼されたり好かれたりっていうのがやっとわかったんだ。
だから、アタシがあっちに行きたいっていうのもできたらわかって欲しい。
フユミさんのことだけど、あれは悪かったと思ってる。
何とか助けてあげたかったんだけどダメだった。魂が抜けた後に違う……
ごめん、あんまりアンタが好きそうな話じゃないから辞める。
アタシも、フユミさんもこの世界に来てくれたのは嬉しかったんだ。だから、何とかしたいって思ったんだけど、あんな風になってしまったのは、私の責任だよね。本当にごめん。
ここまで、わずかな間だったけどアンタと一緒に行動できてよかったよ。
あのゲームの時も、ギルマスだったアタシが声をかけたのがアンタだったって思いもしなかったよ。
それもすごい偶然だったよね、ユウタから聞いた時はびっくりしたよ。でも、ゲームの中にリアルを持ち込むのはダメだったから、ずっと黙ってたんだ。本当に、一緒に遊べたのは嬉しかった。
最後に、ユウタはあっちに連れていくよ?
あいつああ見えて、厄介だからね。こっちの世界に置いておくと、アンタに迷惑が掛かるからさ。
それじゃ、そろそろいくよ。
アンタと出会えて、良かったよ。
ありがとう、これからも友達でいて欲しい。
頑張って向こうで、アンタと会える方法を探してみるから。
もちろん、この世界に影響が無いようにね。それまでは何年かごとにになるだろうけど、ラファエルを使って連絡することになると思う。
アンタと離れるのはさみしいけど
またいつか
』
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