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第六章 【二つの世界】
6-484 巡る思考
しおりを挟む『ハルナ様……そんなに悲観するような話ばかりではございません』
「――え?」
この世界の状況を、どうにもできないと考えていたハルナは、半ばあきらめかけていた。
だが、いまラファエルがハルナの言葉を否定したことは、まだ二つの世界を救う可能性があることに驚いた。
『その繋がりも、損傷を受けた個所は自己修復しているようなのです。それはまるでその機能が”生き物”であるかのように……』
「ってことは、このまま何もしなければまた元に通りに戻る……ってことか?でも、そんなに甘くはないんだろ?既に存在している二つの世界がそれぞれが保有している”資源”ってやつを奪い会ってるんだろ?その繋がりってやつは、大きな資源が流れると損傷を起こすってことなんだから、今この傷付いてる状況で大量の元素が流れたんだったら、壊れる可能性もあるってことだろ?」
『……はい。サヤ様のおっしゃる通りです』
「だとすれば……資源というものが、お互いの世界で満たされていれば問題ないということでしょうか?」
ステイビルは、ハルナの悲しげな表情を目にし何とか力になれないかと考え、ハルナの不安を解決できないかと発言をした。
『……その通りです。ステイビルが言ったように、お互いの世界で十分な資源が保有されているならば、このつながりも然程の問題はないかと思います』
「で、でも……その資源って、どうやって増やすのですか?」
「……む!?」
ラファエルの説明に対し、今度はエレーナがその案についての不足している部分について指摘した。
ステイビルもその指摘に対し、何の策が思い浮かばなかったために言葉を詰まらせてしまっていた。
「その資源っていうのは、この世界を創り上げた物質だと考えているのですが間違いないですよね?だとすれば、この資源を増やす方法があるならお互いの世界で取り合う必要もないんじゃないですか?」
「エレーナが言いたいことはわかる。とはいえ、そんな方法が……」
その二人のやり取りをヒントにして、サヤの頭の中にあることが閃く。
「……あぁ、エレーナ。アンタが今言ったことは出来なくはない……よ」
「え?」
ラファエルよりも、他の者からの発言に対して、エレーナは驚いた反応を見せる。
これまでのことから、ハルナやラファエルよりも何か二人の知らないことを知っているサヤに対して、警戒をしていたつもりだった。
いまの状況は、エレーナの警戒していることを軽く超えているため、理性を超えて素の感情が出てきた結果だった。
そして、サヤはそんなエレーナのことを気にもせず、自分が閃いたことに対して説明をするために、一旦頭の中でそれらの情報を整理した。
その間、サヤにこの場のもたちの視線が集中するが、サヤはそれらを気にすることもせずに考えを纏めていった。
ほんの数秒の沈黙だったが、サヤは自分が組み立てたものを説明するために口を開いた。
「アタシたちは、あの創造者と同期してから、資源が増えているらしいんだ。元々はアイツらの持っていたものらしいんだけど、アタシたちはアイツらにこの肉体を貸していたんだ。その時に、元素を置いていったみたいなんだよ」
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