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第六章 【二つの世界】

6-468 聞きたかったこと

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「……それで、最後はどうなったの!?」



エレーナは、なかなか事の顛末を離そうとしないハルナに、いつも通りの調子で声をかけてハルナに詰め寄っていく。

だが、ソフィーネとの厳しい視線とアルベルトから服の背中を引っ張られているため、エレーナが欲しかった距離よりも離れた場所に収まった。



「もう……エレーナったら、ふふふ」



突然いい寄られたハルナは、困った笑顔を浮かべながら、驚いた心臓を必死に落ち着かせようとしていた。
そして、いつかは言わなければならない事実を口にしなけらばならない怖さも、一緒に落ち着かせようとした。





「エレーナ様?いくらハルナ様と仲が良いと言っても、少しは気を使ってください。……ハルナさん、大丈夫ですか?先ほどより少し顔色が良くないようですが?」



マーホンは、肩から下げたカバンの中から畳まれたハンカチを取り出し、ハルナの額を拭っていった。




「どうもありがとう……マーホンさん」



ハルナの言葉にマーホンは笑顔だけで返し、話すのも辛そうなハルナのことを気遣った。

それと同時に、この部屋の扉を叩く音が聞こえた。
ソフィーネはドアに向かい、ドアを開けると向こう側にいたメイドが用件を伝える。ソフィーネは伝言を了承し、静かにドアを閉める。


「ハルナ様、準備が整ったようです。そろそろ用意をしましょう」


「はい、よろしくお願いします」


ハルナはベットの上から足を下ろし、ソフィーネに軽い布を掛けられてそのまま奥の部屋へと着替えに向かった。

その際にステイビルもエレーナも、何の準備が整ったのかを聞きたかったが、どうせ後で知ることになるのだからとその言葉を飲み込んでハルナの姿を見送った。


その後、それほど長い時間ではないうちにこの部屋の中に新しい来客が訪れる。

「おや、皆さん。すでにお集りのようですね」

「ステイビルさん、エレーナさん……ご無沙汰しております」


この部屋に訪れたのは、ブンデルとサナだった。
サナの肩には、赤い色の火の大竜神であるシュナイドが乗っていた。


「もしかして……ハルナに呼ばれたのですか?」


エレーナが二人に向かってこの場に来た理由を確認する。その質問に答えたのは、サナだった。


「いえ。ハルナさんではなく、シュナイドさんに東の王国へ向かうといわれ連れてこられたのです。私たちは、エルフとドワーフの代表としてだそうです」


ステイビルは、肩の上のシュナイドに視線を向ける。その視線を受けたシュナイドは一度羽を羽ばたかせてから折り畳み、ステイビルの視線に応えた。


『うむ……ラファエルの支持によりお二人をこの場に連れてきたのだ。特に理由は聞いておらんが、今回の問題に関するものだろうな』


――カチャ

二つ同時に扉が開く音がした、一つはハルナが着替えに行った部屋の扉と、もう一つは入り口の扉だった。
そして、この部屋にハルナが戻ってくると同時に、入り口からはサヤとラファエルと残りの大精霊と大竜神たちがこの部屋へと入ってきた。

部屋の中の席は、話を聞くものと伝える者側に別れ、それぞれが席に着いた。
そのことを確認したラファエルが、立ち上がり口を開く。


『お待たせしました……あなたたちに、”これまでのこと”と”これからのこと”をお伝えします』







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