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第六章 【二つの世界】
6-447 決戦19
しおりを挟むハルナの警告を聞いた盾の創造者は、ハルナの全身を上から下まで確認していた。
そのまとわりつくような視線に、ハルナの背中に悪寒が走る。だが、ここで気迫で負けてしまっては足元にいるサヤは救えないと、下腹部に力を入れてその視線を受けとめた。
『ハルナ……それにそこのモイスも。かなりの損傷を受けていたはずですけど、どのようにしてこんなに早く回復できたのかしら?』
「そんなこと、あなたに教える義理もありません。とにかく、サヤちゃんからその足を離してください!!!」
『そう?私はこの足を離す気はないの……もしそうさせたいのならば、貴女がやってみせなさい?』
そうハルナに告げる盾の創造者の口元は、あざ笑うような形を見せている。反対にサヤの表情は、ハルナに対する威嚇もあるのか、さらに強く踏みつけられて苦しい表情になっている。
サヤの表情をみて一刻も早く助けたいと思うと同時に、ハルナの背中には一つの光の塊が浮かび上がる。
光がある一定の量に達すると、塊から一筋の光が放たれ、サヤを押さえつけている盾の創造者の膝が打ち抜かれた。先ほどは遠距離からの攻撃で何とか光の速さの攻撃も対応することは出来たが、今回は至近距離であったため攻撃の兆しがあっても対応が遅れてしまった。
それにより、片足を失った盾の創造者は支えを失いバランスを崩して倒れ込んでしまう。その隙を見て、サヤは自分の四肢を支える小さな存在達を振り解いてその場から逃げ出せた。
「……悪い、助かった」
「私こそゴメン……ちょっと遅れてきちゃって」
「ホントそうだよ!アンタ何のんきに寝てたんだよ……ったく!」
「え?私のせい!?……まぁ、そうかも……って、そうなの?」
「まぁ、そんなことは今はどうでもいいんだよ……それより」
サヤの視線の先には、千切れた膝から下の足を小さな人型に回収させ元あった位置に戻し復元を図ろうとしていた。
「あれが完全にくっつくまでに何とかしないとね……ハルナ、アンタなんかいい手はないの?」
「うん、あるけど……」
ハルナは再びこの状況を再度確認するように、周囲を見回した。
気付いたことは、小さな人型の数が半分に減っていることと、あちらこちらに爆発した跡がみられることに気付いた。
そして、いまのサヤの状況を見ると爆発によるダメージが大きいことから、サヤがこの爆発によって先ほどのような状態になっていると判断した。
そのことを本人に確認しようと、ハルナはサヤに問いかけた。
「サヤちゃん……もしかして、あの子たちを守りながら戦ってたの?」
「ん?……あぁ、アタシはアイツらを助けるって約束したからね。でも……見ての通りだよ、アタシの力じゃアイツらを盾のやつから離すこともできなかった」
そう告げるサヤの顔は、自分が負かされている時よりも悔しい表情を浮かべ、手は強く握られて震えていた。
そんなサヤの姿を見て、ハルナはサヤに感謝の言葉を告げようとした……
『お待たせしたわね。もう、貴女にも手加減しないわよ……ハルナ?』
ハルナが切断した足も元に戻っており、準備ができたと言わんばかりに盾の創造者はハルナたちに投げつけるために、近くにいた小さな人型を掴んだ。
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