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第六章 【二つの世界】
6-411 最後の言葉2
しおりを挟むハルナは創造者が、この世界に対して好感を持っていた理由が少しわかった気がした。
創造者たちは、自らが生み出したこの世界の生き物たちが、考え成長していくことに喜びを感じていたことに。
この先もこの生き物たちがどのように進化していくのかを楽しみにしていると、剣の創造者はハルナに告げる。
『だが……あの者にはそれが面白くなかったようだ。そういえばハルナは、あの者がどうしてこの世界を壊そうとしているかは聞いているか?』
「はい……この世界が失敗したために……」
『いや、そうではない』
「――え?」
ハルナは自分が知っている、この世界の危機の理由を言葉にしたつもりだった。だが、その言葉はすぐさまに否定されてしまった。
剣の創造者はそんなハルナの気配を感じ、その疑問を解消させるべく自分の真意を伝える。
『どうもあの者には、他に理由があるような気がするのだ。それが何なのかはわからないが……少し思うところがあるのは感じているのだが。それがなぜだかまではわからんのだ。だからハルナなら何か知っているのではないかと思って……な』
「あの……失礼かもしれないですし、間違っているかもしれないんですけど」
『なんだ?遠慮はいらん、口にするがいい』
「……では。盾の創造者さんて、アナタのこと好きじゃないかと思うんです」
『”好き”……とは?好意を持っているということか?確かに我々はお互いの能力が別々なために、相手の持つ能力に対して敬意を……』
「えっと、そう言うことじゃないんです。好きっていうのは……その、いつも一緒に居たいとか、結婚したいとか」
剣の創造者は、今まで見てきた世界の生物の中でハルナが告げたような場面をいくつか思い出してみた。
人間にしても亜人にしても、パートナーを選び自分たちの子孫を創っていたことを思い出した。
『あぁ、そう言うことか。この世界の生き物たちは、そういった行為で子孫を創りつないでいってたな。だが……それがあの者とどう関係があるというのだ?』
「いや、盾の創造者さんが……その、アナタに好意を持ってるんじゃないかってことで」
『???私と子孫を残したいってことか?我らにそんな機能があるとは聞いたことないが?』
「機能とかじゃなくって、感情的なお話です!気持ちですよ、気持ち!」
『気持ち……そうか。残念ながら、私にはそういう思考は持ち合わせてはいない。だが、あやつは……そういう感情を持ち合わせて創ったのだから、自分自身も持っているのかもな』
「そうですか……剣の創造者さんは、盾の創造者さんのことをそういう風に見ていないということですね?」
『もちろんだ。我々には、そういう思考は不要であろう?この世界を創り出し、この世界の中で生きる生命たちが末永く暮らしていけるようにと設計するために存在しているのだ。それに我々は、こういうことが無い限り、命という期限はない。よって子孫を残す必要もないのだ』
「そう……ですか」
剣の創造者の返答に、ハルナはがっくりとした。
もしかしたら、少しでも気があれば今の状況が好転しそうな気がしていた。だが、その目は完全に断たれてしまったのだった。
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