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第六章 【二つの世界】
6-403 最後の通告
しおりを挟む「やっぱり、アンタか……」
『そのことに気付くなんて、さすが……ですわね?』
「ってことは、やっぱりアンタが仕掛けてたんだな」
『そうですよ、楽しんで頂けたかしら?あなた達……ハルナとラファエルは、どうやら私の存在を感知できていたようだけど、私もあなた達の存在を探すことができるようになったのよ』
「その方法を使ってアタシたちの行動を監視して、この罠を仕掛けたってこと……か」
『そうなのよ、さすがサヤね。理解が早くて助かるわ。それにね、今回私があなた達を探す能力の他に、新しい能力も使ってみたのよ?……というよりも、あなた達はずっとここで過ごすことになるの……そう、永遠にね』
「――えぇっ!?」
ハルナの驚きの声が、盾の創造者にとっては心地よい驚きだったようだった。
その反応に機嫌を良くし、驚きから絶望へと落とすべくさらに話を続けていった。
『あなたやモイスが使っていた”能力”は、ある物質に対して新たな”世界”を創り、そこに指定した存在を移動させていたのよね?』
「……」
サヤは、盾の創造者にその能力をばらされたとしても何の問題もない。要はどこに何を隠したのかが問題であって、それがバレなければどうということもない。さらにいえば、壊されにくいものを使えばある程度はその世界は保証される……盾の創造者のような、超越した存在は別だが。
盾の創造者はサヤの無言に対して、それが正解であると判断しさらに自分が用意していた言葉を繋いでいった。
『でも私はね、その能力を更に進化させて物質を介さなくても、その中に新しい世界を創り出す方法をみつけたの……それがこの世界よ。本当は物質の中にいれることができれば、それ自体を壊せばあなた達は永遠に消え去ることができたのだけれど……ね』
ファエルはゾッとする、便利に思えたあの空間の機能にそういうリスクがあることに対して。そして相手の言葉の途中から、今回は自分たちが消去される可能性が低いと判断し、気持ちを落ち着かせこの場でいかなることが起きても対応できるように整えていく。
『本当に残念なのだけれど、物質を介さない場合はその世界をまだ閉じることができるところまで至っていないの。だけど、いずれかはこの空間をも消す方法を見つけてみせるわ?あなた達はそれまでの間、ここに閉じこもっていてもらうわね?もちろん、許しを請うことなんてしないとは思うけど、ここまで馬鹿にされて邪魔をされたのだから、私もあなた達を許すことはないわよ?』
だがそう告げた後、盾の創造者の思考の中に別な考えが浮かび、それを利用することにした。
『あ。そうね……もし許すのだとすれば、この空間を私より消す方法を教えてくれるのなら、その者だけは許してあげてもいいわね。ハルナやラファエルでは難しいけど……サヤ。あなたならできるのではなくって?』
盾の創造者は、そう告げてサヤに対して自分の仲間になれるように、逃げ道を用意してあげた。
不思議な力を持つサヤは、自分の役に立つであろうとそう考えていた。
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