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第六章 【二つの世界】
6-368 サヤとハルナと20
しおりを挟む「なぁ……この辺で止めにしない?アンタももういいだろ?アタシは別に、アンタが憎いわけでも何でもないんだよ……本当にさ」
そう言ってサヤは、抜いていた剣を再び鞘の中に収める。そうすることで一応敵対心はないという意志を相手に伝えるための行動だが、完全には信用することは愚かなことであることも知っていた。
警戒しつつも、サヤは相手を威圧するような感情は排除し、柔らかな表情で盾の創造者と向かい合う。
相手も先の自分の言葉を聞き入れられたのか、驚きの表情と弱った表情が半々の顔つきで見つめている。
「さ?もう止めにしようよ……こんなこと。せっかくいい世界創ったんだったら、壊すの勿体ないじゃない?」
『いい……世界?……この世界が?』
「そうだよ!生き物同士で争ったりするけど、それを防ごうとしたりする存在が現れたり、他の種族でも協力し合ったりして進化していってるじゃない。そういう生物の進化は、アンタたちが望んだ形じゃないの?」
『……そう……よね』
サヤは自分の説得に対して、盾の創造者が先ほどよりも耳を傾けて理解を示してきたことにホッと安堵する。
このままの流れだと、世界の崩壊は免れる気がしてきた。それによってもう一つの世界も保たれることができる。だが、同じ世界が二つ存在してしまうことについての問題については、後で考えればいいと頭の片隅に追いやった。
そして、続けて盾の創造者の理解と信頼を得るためにサヤ説得を続けた。
「……だろ?だったら、もうこの辺で争うの止めようよ。”こいつ”にも、アンタと仲良くやるようにアタシからも言っておくからさ。ゼロからじゃなくて、こっから修正すればいいじゃないのさ?」
『そんなこと……できるの……かしらね?』
「できるも何も、やってみなきゃわかんないこともあるだろ?アンタが考えていたことだって、実はこの状態でもできるかもしれないんだ。もちろんアイツだって手伝わせるし、アタシとハルナも手伝ってやるよ……まぁ、アタシたちに関しては出来ないこともあるだろうけど、アタシたちしか知らないことだってあるんだから”案”ぐらいは出せるだろうからさ」
サヤとハルナは、別な世界の知識も持っている。
その知識がこの世界でも通用するかもしれないと、サヤは説明をした。
『それもいいわね……』
「だからさ、もうここで争うのは終わろうよ?ハルナも自由にしてやってくんないかな?そうなれば、アタシもコイツとつながってる必要なんかないんだし」
『本当に?本当に剣と……離れてくれるの?』
「あぁ……約束する。アンタがハルナと離れたら、アタシも”絶対”にコイツと手を切る」
『本当に?……約束してくれる?』
その言葉にサヤは、何度も頷いて見せて盾の創造者に微笑みかける。
その姿を見た盾の創造者は、ゆっくりと立ち上がりスカートの膝の部分についた土を手で叩き落とす。
そして、お腹の前で手を重ね、少しうつむいたまま上目遣いでサヤのこと見つめ提案をする。
『――それじゃあ、お互いに”一緒”のタイミングで解除しない?』
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