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第六章 【二つの世界】

6-330 意図的な結果か

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サヤは即座に意識を内側に切り替える。
そして、自分の身体を借りている剣の創造者に対し声を荒げた。



(おい!?これはどういうことだ!?)



(どういうことだ……とは?)



(ふざけんな!アタシをバカにするためにこいつらも生き返らせたのか!?)


(こいつら……あぁ、目の前の召使たちだな?わたしも、お前の中の記憶を覗いて初めて知ったのだが?この世界を創り出した時には、このような者たちの存在など知りようもない)


(なにアタシの記憶を勝手に見てんだよ!?プライバシーの侵害だ!!)


(そのプライバシーとやらがよくわからんが、お主が怒りの感情をむき出しにしているのは、この者たちということは判る。だが、それがなぜお主が怒りの感情を抱く必要があるのだ?)


サヤはこの言葉から、剣の創造者が意図的にこの二人を甦らせたのではないのだということを悟った。
だが、二人の姿を見たサヤは、この二人がどうしてこの場にいるのかがわからなかった。

”この二人は既に、本来の世界で完全に消滅したはず……”



この世界は剣の創造者から、前の世界のある時点の状態をそのまま複製したものだと伝えられていた。
そのポイントが、どの時点の複製物なのかははっきりしとしていない。が、ある時点の元の世界の状況を複製して創りだしたということは、剣の創造者が保有する能力からはっきりとしているとのことだった。
そのため剣の創造者の考えでは、サヤが懸念しているこの状況は偶然に起きたものだと主張した。



だが、サヤは剣の創造者からの説明に対して納得をしてはいなかった。
その中には色々と確認をしたいことがあるが、いくら時間を引き延ばし思考をしていたとしてもあまり二人を待たせすぎると、不信感を抱かれることになりかねない。

サヤはその能力を停止し、再び自身が知る同じ名を持つ二人と向き合った。



「……アンタたちって、どういう風に聞いてんの?」


”この世界の”ヴェスティーユは、サヤの突然の質問に対してうまく理解ができていない。



「”どういう風”……と言いますと?」


サヤは、ヴェスティーユの言葉に少しだけイラっとしたが、その感情すらもどこか懐かしい感じがしていた。
多少は細かい部分は違うようだが、おおむねヴェスティーユがサヤの元に付き始めていた頃と似たようなところがある。サヤはそんな当時のことを思い出しかけていたが、話を先に進めるべく意識を自分の内側から外へと戻していった。




「ん?どうもこうも、いま言った意味だよ?ステイビルからの命令でアタシの面倒を見てもらうように言われたんだろ?その内容はどういう命令だったかって聞いてんの。まぁ言えないこともあるんだろうけどさ」



自分が仕える対象の存在が、不機嫌な様子で自分たちに質問をしていることに対し、二人は顔を見合わせてそのサヤの行動を不思議な表情を浮かべている。
そして、ヴァスティーユがサヤからの質問に対して、申し訳なさそうに答えた。


「あ……あの。ただ私たちは、サヤ様が重要なお方だとお聞きしておりまして、そのお方のお手伝いをするようにと……あ!初めはお断りしたんです!?だって、そんなお方のお勤めを私たちができるはずがないって」


ヴァスティーユの言葉に対してやや不機嫌になってしまい、そのサヤの表情を見て二人は委縮してしまっていた。









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