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第六章 【二つの世界】
6-289 つながり
しおりを挟む『さすがですね、ハルナ。あの頃のラファエルたちの訓練が、正しく生かされていますね。お見事です』
盾の創造者は、ハルナが落下する様子を他所に、サヤの攻撃から逃れた方法を称賛した。
「ちょっと、いまそういう時じゃないんですけど!?……はっ!」
ハルナは落下中に風の力を使い、空中で崩れかけた身体のバランスを整えて、着地する衝撃を水と風の力を使って無効化してみせた。
「はんっ!?……なかなかやるじゃないのさ。でも、これならどう?」
サヤの言葉が聞こえたと同時に、ハルナの視界は真っ暗になり自分がまた意識だけの世界に放り出されたと気付いた。
だが次の瞬間、”この空間”にあるはずのない背中に熱を帯びて、その後すぐに元の景色が戻った。
「ありがとうございます!」
ハルナは、あの空間から戻ることができたのは盾の創造者が手を貸してくれたのだとすぐにわかった。
「……アンタ、その盾と繋がったの?」
「……え?」
サヤの言葉を聞いたハルナは、その事態がとても良くないことのように思えた。
しかし、サヤの言う言葉は自分に対して動揺を与える手段でもあると考えた。
サヤはそうハルナに告げた後、ハルナ向かって攻撃を仕掛けてはこない。そのことが、先程の言葉の意味をより一層悪い方向へと示しているようにも思えた。
『ハルナ、相手に惑わされてはいけません……いまこそが好機です、攻撃を!』
ハルナはそう言われて従うように、無数の石と氷の塊をサヤに対して数秒間打ち付けていく。
だがそれは、サヤに到達する前に黒い瘴気の渦の中に飲み込まれていっていた。
サヤはそのことに対して何の反応を見せず、瘴気の渦が消えるとサヤの顔の表情は眉間に寄せた皺が、悲しそうな表情にも見えた。
「ハルナ……アンタ、今の本気じゃないよね?」
サヤのその言葉に、ハルナは心の中が見透かされていたように思えた。
盾の創造者からサヤを攻撃するように命じられた……しかし、ハルナの胸の奥に引っ掛かっている何かが、サヤへの攻撃の手を緩めてしまっていたのだった。
『ハルナ、あの者を倒さなければあの世界が崩壊するかもしれないのですよ?手を抜いている余裕などありません!』
「で、でも……」
『そんなことを言っている場合ですか?……ほら、来ますよ?』
盾の創造者の言葉の終わりと同時に、サヤは瘴気の塊をお返しと言わんばかりに撃ち出してきた。
その攻撃に対し、ハルナは石の壁を創り出し、その攻撃を防ごうとした。
「……きゃあっ!?」
サヤの攻撃は壁を貫き、その奥にいたハルナに対して攻撃する。
だが、盾の効果が働いたのか、その弾は被弾する直前で霧となり消えていった。
「あ、あれは!?」
『どうやら、”あの者”が力を貸しているようですね。ハルナ、先ほどの話しですが私と繋がる気はないですか?』
「つながる……?どういうことですか!?」
突然の提案にハルナは戸惑いつつも、先ほどサヤが言った言葉も頭に含みながら、サヤのことを警戒しつつ盾の創造者の説明を聞いた。
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