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第六章 【二つの世界】

6-252 チャネル

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あの時、ハルナの元に舞い降りた精霊たちの行動は、ハルナたちが考えていたものとは異なっていた。
精霊たちはハルナの存在に大変興味を持ち、誰が先に行くかを争っていたほどだったという。


精霊たちも自分が活躍することが”先生”から与えられた使命として、この時期のチャンスを無駄にはできないと考えていた。
そんな中、初弾を買って出た精霊がハルナに向かって飛び降りる。



フワフワと落下しながら、ハルナの中にある元素を繋げるための丁度良いチャネルを探している。
その精霊は、丁度良さそうな場所を見つけ、そこへ自分の持つチャネルを繋げようとした。

だが、そのチャネルの接続はつなぎ合わせることができなかった。
今までの経験では、失敗したにしても一度チャネルを接続させることはできるが、そこから先に元素を送るための波長が合わずに、その接続は切れてしまうというパターンが一般的だった。
接続が切れるのは、この世界に降り立った精霊は元素だけではなく、魔素などの存在によりこの場所での存在が長く保つことができないでいた。

上手く接続ができれば、そのチャネルからの媒介によって、純粋な元素だけの世界でなくても存在を持続することが可能だった。



しかし、今回の切断……いや接続に至るまでに、何らかの理由によって接続が拒否されてしまっていた。

最初に舞い降りた精霊は、幾度となくハルナとの接続を試みるも、その結果この世界では存在を維持することができなくなり、元素へと還ってしまった。



上からその様子を見ていた他の精霊たちは、いよいよ覚悟を決めてハルナへと向かって降下を開始する。
更にしり込みをしていた他の精霊たちも、”自分も自分も”と大きな塊となり徐々に飛び降りていく。



その結果は……一番初めに飛び降りた精霊と同じ結果になっていた。


相性が悪いものはチャネルすら見つけることができないが、運が良いのか実力が高い精霊はすぐにハルナのチャネルを発見し接続を試みる。
だが、その結果は全て無意味なものとなっていった。


残りの精霊たちの数も少なくなってきた時、戻ってきた精霊が先生に対し、何かがおかしいと告げる。




『先生!あの人間は、何かおかしいです!』


『おかしい?……どういうことかしら?』



『いつもだと僕たちが、人間とくっついた後に元素を流し込むんだけど……弾き返されるんだ!』


『弾き……返される?』





ラファエルは通常、人間が体内に持つ元素の量は精霊たちよりも少ないものだと知っている。
だからこそ、チャネルを接続しこちら側から人間が持つ元素の容器に穴を開け、そこに流し込むことにより、人間が元素の力を扱えるのだと。

先に出た精霊たちの感じたことを聞くと、人間から元素を繋ぐ管が内圧が高すぎてチャネルの接続が壊れてしまっているようにも聞こえる。

ラファエルは、そのことを証明するために残っている、今から降りていこうとする一部の精霊に指示を出した。
その指示は、いつも精霊たちが一番初めに人間に流し込む元素を、”反対に吸い出してほしい”と。


指示を受けた精霊たちは、ラファエルの指示を忠実に実行する。
その結果、ハルナからの膨大な元素の逆流によって、精霊たちの存在が崩れてしまい元素へと還っていく結果となってしまった。









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