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第五章 【魔神】

5-158 奪還

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「……よし。これで乗っ取り完了っと」





(え?……乗っ取り完了って?……ヴェスティーユさんがオスロガルムに乗っ取られてたんじゃ……)


「あーもう、普通に話しても大丈夫だから。あと、私に”さん”って付けんの止めて、気持ちが悪いしアンタは”敵”……じゃなくって……えーっと……ま、いいから止めな……わかったね!?」


「え?あ、はい……」


『では、ヴェスティーユよ。今の状態を聞こう、オスロガルムはお前を乗っ取っていたのだな?どうやって取り換えしたというのだ?それに今オスロガルムはどうなっておるのだ?』


「そんなに一気に質問しないでしょ、ふつー。ちょっとまだ慣れてないから、ゆっくりと話させてもらうわ。この状況を説明しないと先に進まないからね……」





そういって、ヴェスティーユは話の途中に別のことを意識しながら、途切れ途切れに自分に起きている今の状況を説明した。






いま、ヴェスティーユの中にはオスロガルムの意識があるという。


ヴェスティーユはこれを消してしまうとサヤの方が不利になると判断し、この存在を残しておくことにした。
オスロガルムは今、ヴェスティーユが用意した想像の中で生きている。
オスロガルムの行動をそのまま表現し、ハルナたちの行動もヴェスティーユが操作をして架空の現実をオスロガルムに与えている。


ヴェスティーユはハルナたちの相手とオスロガルムの”世界”を同時に処理をしているため、思考や対応が途切れ途切れになってしまっている。
それ程に、オスロガルムに架空の世界を見せるために能力を割いていた。






『それ程の魔素……意識だけの存在で。どこに隠し持っていたのだ?』


「……そんなにすごいことなんですか?いまヴェスティーユさ……ヴェスティーユがやっていることって」


『我々や魔物、魔法を扱う亜人も含め、”意識”というものは基本的な存在なのです』




意識という存在は、元素もしくは魔素を貯める基本的な器のようなものだとモイスは言う。
そこに種族、性別、体格などの条件が乗じ、その力を扱える能力が増えていくのだと説明する。




『……普通の者たちはそういった要素を踏まえ、元素を保有できるのです』


「あ!……ってことは、あの”始まりの森”の中でもその意識がもつ器の大きさによって決まっているのですか!?」


『それもあるかもしれません……契約は個々の精霊の判断に任せています。”この者と一緒にやれるか”を判断しているようです、性格などもありますが意識の中にある元素の質や量も見ているものと思われます』


「……アタシもアンタと同じで、量だけはすごいみたいなんだ。お母様がそうおっしゃってたわ、姉ちゃ……ヴァスティーユは量は少ないけど、扱いが上手なんだってさ……なんていったけ?”ショウ何とか”って言ってた」


「ヴァスティーユは”省エネ”タイプだったのね……ラファエルさんたちと特訓をしたから今になってわかるけど、エレーナもきっとそのタイプね」


『今の状況は判った……で、これからどうするつもりなのだ?』


「もちろん、お母様を助けに行くわ。そこでトカゲにこの空間から出して欲しいのよ……できるでしょ?この能力の元々の持ち主なんだし……そして、オスロガルムからお姉ちゃんの身体をぜったいに取り戻すの!!」





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