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第五章 【魔神】
5-135 ハルナとフウカ6
しおりを挟むハルナはその攻撃が到着する間、何とかしようとほぼ同一のタイミングで土と風の元素に対する風と土の属性の元素を飛ばす。
だが、その判定は一つずつとみなされ、衝突した途端に消滅していく。
だが、ハルナたちに向かってくる元素は止まることはない。
これがハルナたちに当たってしまうと、大きなダメージを負ってしまうことは間違いない。
「あぁ……どうすれば……!?」
ハルナは向かってくる、攻撃に対して何の有効な手段がないまま、無数の元素を繰り出すだけだった。
(もうダメ……来る……)
ハルナは目を閉じ、衝撃に備えるために息を止めて身体に力を入れて強張らせた。
「「……はいっ!」」
今まで反応がなかったフウカの声がハルナの耳の中に響き、目をつぶったハルナの網膜に元素が消滅する光が届く。
「――え?」
ハルナは閉じていた瞼をゆっくりと開くと、また一つだけの属性を対応し続けるフウカの姿が見えた。
ハルナはフウカの姿を見て安心した、この様子だとフウカが何かをしようとしていたことは失敗に終わったのだと判断した。
そんなフウカに対して、ハルナはそのことに触れないように別な言葉をフウカに掛けた。
「フーちゃん……ありがとう。なんとか助かった……わっ!?」
ハルナは、気を使ったつもりだがそれ以上の驚きで素が出てしまった。
疲れいている、もしくは焦点があっていないのだと初めは思った。
その間、ハルナは迫りくる元素のことも忘れて目を閉じて、手のひらでやさしく目をマッサージした。
再び目の前にいる、この世界に来てからずっと一緒にいる家族のような精霊をもう一度見つめた。
しかしそれは、疲れでも焦点が合っていないのでもなく、そこにはフウカが二人いた。
二人になったフウカはそれぞれ別々な属性の力を発揮し、今まで手伝えなかったことを挽回するようにこの場を対処していく。
それによって悪くなりかけた状況も何とか取り戻し、時間も思考も余裕が生まれてきた。
「大丈夫?ハル姉ちゃん!?」
「フーちゃん……こ、これは!?」
「うん!仲間が欲しいと思っていたら、先生のこと思い出してね。私にも増やせないかと思ったの!試しにやってみたら……できちゃった!」
「できちゃった……って、フーちゃん。そんな簡単に言うけど……」
「え!?も、もしかして、ダメだった!?……やっぱり、”ズルしちゃダメ!”って怒られる?」
「いや?……そんなことは……多分ないと思うけど」
ハルナはそう言いつつ、ラファエルたちの姿を見た。
この状況に何も言わないということは、これも”正解”なのだろうと判断した。
「うん!大丈夫だよ!……きっと。じゃあ、そろそろ本気出していこう!!」
「「おー!!」」
ハルナの言葉に安心したフウカは、二体同時に返事をした。
ここからは、余裕が生まれ何の問題もなくラファエルたちの課題をこなしていった。
最終的にはフウカは三体の分身を創り出すことを覚え、その組み合わせによりどんな属性での混合でも対応できるようになっていった。
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