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第五章 【魔神】
5-108 闇の世界7
しおりを挟む様々な種族の情報を取り込み、その存在は見てきたバランスと照らし合わせて外の世界の状況を推測していくことを覚えた。
基本的には、自身もしくは自らの種族や集まった仲間の命を守ることを優先して生きている。
そのために種族全員で敵に立ち向かい、勝利を収めていることもあった。
だが、みていくとそれはほんの一例であり、ほとんどが敵の餌となるか排除されてしまうことの方が多かった。
ここでの環境の出来事のため、もっと他の要因が絡むとこの法則は変わってくる。
”――外の世界を見てみたい”
この思いを何とか実現したいと、魔素の扱いを覚えてその希望を実現しようとした。
そのため、取り込んだ生き物たちの情報を分析し、現在扱える力として魔素で代用する方法を考える。
しかし、今まで取り込んできた生き物では、魔素との相性が悪くその仕組み通りに形を再現することは出来なかった。
それで諦めることはなかった。
この場所を訪れる生き物も、長い時間の中で種類も変わっていった。
昆虫たちも鳥類が作っていた巣の廃材を使い、それを隠れ蓑にして生存することを覚える。
この場所の王者であった鳥類も小型から中型、中型から大型の者へとここの場所の占有権を主張する生物も変化を遂げる。
大型の鳥類は古巣の廃材の下で生活をしている昆虫類などには気にもせず、自分たちの腹を満たせる中型の動物のみ餌の対象としていた。
新しくこの場所にやってきた生き物は、すぐさま取り込み解析した。
これによって新しい情報が増え、さらに意識も進化していく。
そんな状況下で新たな生態の状況を得ていく中、ある仮説がより強い確かな物へとわっていく。
”この世界は弱肉強食である――と”
そこから生まれた考えは、もしこの世に自分が関わることができた場合に自らがどのくらいこの世界に通用するのか……ということだった。
この考えが意識の中に芽生えた時から、何とかしてこれを行動に起こしたいと考えていた。
しかし、自分の存在を具現化する方法はいまだに見つけることができていない。
それでも、いまだこの世界の情報をかき集め続ける。
いつか来ると信じた、その時のために。
そして、その時はやってきた。
今までにない現象に、洞窟を根城にしていた生き物たちは慌てふためく。
洞窟の入口に、フラッシュが炊かれたように一瞬強い光が発せられた。
そこには、四つの長い運動するための組織があり、ここの最強である大型の鳥類よりも大きな存在だった。
今まで見たことのない生き物に興味がわき、それを魔素で取り込もうとした。
だが、その魔素ははじかれてしまい、初めて自分の思い通りにいかない出来事に遭遇した。
『こ……これは!?』
その生き物は、生きているのか死んでいるのかわからなかった。
時間をかけて眺めていると、少しだけ身体上下に動いていることが分かった。
すると、その生き物は大きな声を発し飛び起きた。
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