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第四章 【ソイランド】
4-88 砂漠の施設2
しおりを挟む――ドン!!
大きな音が鳴り響き、それと共に空気と建物が振動した。
「な……なに!?何が起きたの!?」
「わかりませんが、この建物中で何か爆発したようですね」
ハルナの問いにソフィーネが冷静に答える。
「メリルさん……!?急がないと!!」
ハルナに賛同し、メイヤが二人を発見した場所まで走って案内する。
建物に沿って裏側に回ると、地下に埋まっている部屋の小さな窓が見える。
メイヤは中を覗くと、そこにはまだ鎖につながれたままのメリルがいた。
「メリルさん……ご無事でしょうか?」
「その声は、メイヤさん!?……何か大きな音が聞こえたのですが、外の様子はどうなっているのですか!?」
「外からは、大きな音と振動だけでした。よって、この中で起きた現象であると判断します。我々はメリルさんの安否の確認をしに来……!?」
その途中、メイヤは気配を感じ身体を起こして窓から見える範囲から外れるようにハルナとソフィーネに指示した。直後、窓の下の空間にメリル以外の誰かが入ってくる音が聞こえた。
「おい!出てこい!!」
乱暴な声で、メリルのいる部屋に入ってきた男が告げる。
そして、メリルは何もなかったかのように入ってきた男に語り掛ける。
「さっきの音は何なんですか?建物の中で何かが爆発したような音がしましたが……それと何か関係が?」
入ってきた男はメリルの言葉に耳を傾けずに、身体ではなく壁につながっている四つの鎖のカギを外していく。
男は外した鎖の端を巻き取り、一つにまとめメリルに立ち上がるように指示をした。
「おい、立て……急げ!」
男は手にした鎖を強引に引っ張ると、メリルは少し体勢を崩すも足で何とか踏ん張り男の後ろを追っていく。
「――ぐぇっ!!」
メリルの前を歩いてた男は、鎖を握ったまま腹部を抑えて前に膝が折れて倒れ込んだ。
倒れ込んだ男の先には、また別な男の姿が見えた、その手には血が付いた剣を手にして。
倒れ込んだ男の身体を足で蹴り、痛みで苦しむ男を通路の端へ追いやる。このまま放っておけば自然とその命は消えていくことになると判断したのか、男はトドメを刺さずに放置していた。
蹲った身体から、メリルを繋ぐ四本の鎖を奪い取るとそこには相手の血がべっとりと鎖についていた。
この場に遅れて現れた男は、その血を全く気にせず自分の腕に巻きつけた。
「さぁ、こちらに来ていただきましょうか……メリルさん」
メリルは逆らうことなく何も言わず、ゆっくりと足を前に踏み出していく。
新しく鎖を引く男は、先ほどの者よりはメリルのことを丁寧に扱っている気がする。
その違いを感じ、メリルは今の状況を再度確認しようと声を掛けてみた。
「今……ここで何が起きているのですか?」
前を歩く男は、振り返りもせずメリルの質問に答える。
「襲撃です……いまべラルド様が抗戦しています」
「襲撃?……相手は?」
その質問に対しては、数秒経過しても答えが返ってくる気配はない。
そこからメリルは、この男はべラルド側の者であると推測し、先ほどのやられたものが襲撃してきた相手だと判断した。
だが、その男は何度もその姿を目撃している。
(……この中で反乱?)
メリルはそう判断した、と同時にまたどこかで爆発するような音が聞こえてくる。
その音を聞き、男は一旦歩みを止める。メリルも周囲に気を配り、この周辺に危険が迫っていないか探る。
しかし、この周辺に危険は迫っていないと判断し男は再び歩き出した。
キン……キン!
二度目の爆発音が聞こえ、そこから今までにない金属音が加わる。
この音は、剣と剣がぶつかり合うような音が複数響く。
そこから人対人の小競り合いが始まったということが理解できたが、この施設では警備兵とべラルドと協力している裏の世界でい生きている者たちがいる、二つの組織はお互い協力し合っているとメリルは考えていた。
(だとすれば、二つの組織が反発し合う理由って……)
前を歩く男が立ち止まり、メリルに振り返り一枚の布を渡した。
「外に出ます。それを羽織ってください」
裸の状態に近いメリルは、その布で身体を纏った。
男に続き目の前にある梯子を上り、メリルは久方ぶりに建物の外に出た。
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