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第三章 【王国史】
3-277 東の王国81
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3-277 東の王国81
二人はそこから、これからどうするべきか話し合いをした。
聞くとエンテリア自身は一人で出ていこうとしたため、大まかな方向だけしか決めていない無計画とも言えるようなものだった。
そこから突発的に考えたものではないかと、エイミは考えていた。
エイミはさらに追及していくと、エンテリアの話がある考え基づいていることに気付いた。
”いつまでもブランビートと二人で行動することはできない”
その考えには、エイミも薄々は気付いており自分自身にも思うことはあった。
ただ国に住まう住民の一人であればそういう関係も悪くはない。
しかし、エンテリアとエイミたちはここまで人を集め、その者たちの生活と命を守って行かなければならなくなった。
二人でしか物事を決められない王に、従う者はどれほどいるのだろうか。
もし、どちらかの方が優れているならば、その者が国を統治すればいい。
二人でなければならない理由が”兄弟”というだけの理由であれば、いつかは悪しき者にその弱さをつけ込まれ派閥争いの種に……最悪、国を乗っ取られることさえ考えられる。
エンテリアの話を聞くうちに、今回のエンテリアの行動の根底にはこの考えが下にあることが見つかった。
エイミはその意見に同意し、エンテリアに告げる。
「……ねぇ、きちんと話せばわかってくれるんじゃないの?ブランビートさんもセイラも……それにマリアリスさんだって」
不安そうなエンテリアだったが、出ていく意思には変わりはない。
それならば、遺恨を残さない形の方がいいとエイミは言った。
「どうせ嫌われるなら黙って出ていくよりも、ちゃんと伝えてからでも一緒でしょ?それに黙って理由もない別れが相手に与える感情が良くないのは、エンテリアがよくわかってるんじゃないの?」
その言葉で思い浮かぶのは、この世に生まれからすぐの母親との別れ。
”なぜ自分に母親がいないのか?”、”生きているのか死んでしまっているのか?”……物心がついた頃にはそういうことを毎晩頭に浮かべては眠れない夜を過ごしていたことを思い出す。
「ブランビートとマリアリスに、また同じ気持ちを抱かせてはいけない……か」
独り言のようなエンテリアの言葉に、エイミは数回頷いてその言葉が正しい方向の考えであることを理解させた。
二人はそこから明日みんなに説明することを決め、様々な状況を想定し説得させる案を朝まで内容を練っていった。
――そして、その日の朝
話があるとエンテリアに言われ、ブランビートたちは執務室に集まった。
既に中でエイミと一緒に待っているエンテリアの顔を見て、表情は寝不足のような疲れが見える。
だがその目の中には、十年前に村を出た時……いや、それ以上の力強い意思が込められている。
ブランビートが憧れて、追い掛けていたエンテリアの姿がそこにあった。
そんなエンテリアが話があるとのことだったため、いよいよ王座交代の話を持ち出せることができるとブランビートは期待していた。
この話は既にセイラにも相談しており、セイラの答えは”ブランビートの思うままに――”だった。
セイラはブランビートが人の上に立ち、導いていくことが苦手な性格であることを見抜いていた。
出会った頃は、エンテリアと同じ行動をとっているため同じ思考と知識を持ち、どちらも長としての素質を充分に備えた者だと感じていた。
トライアを倒した後は”どちらがいいか”と、エイミとセイラの眠れない夜の話題に度々上がってきたものだった。
――あの日を境に、四人の運命の風向きが変わり始める。
エンテリアとエイミが村を出て、神々の所在を探す旅を受け持ってくれた時から、いつもいたエイミとセイラ、エンテリアとブランビートはそれぞれ別な二人組に変わってしまった。
その結果判明したことは、――当たり前のことではあるが――やはり双子でもそれぞれ別の人間だった。
必死に国を立ち上げるため、ブランビートは一人……だけでなく、セイラ、マリアリス、エフェドーラたちの力も借りてここまで形を創り上げた。
その裏には、”エンテリアが返ってきた時のために……”とよく口に出していたが、その思いもブランビートの原動力になるのならばと、セイラたちはそのことに対しては何も言わず手伝っていった。
今では一人で、ブランビートだけでもある程度のことは正しく判断できていた。
その判断にはブランビート本来の優しさが含まれた、誰もが納得できる裁量を見せることが多々見られた。
今のブランビートの姿をみて、エンテリアは決してブランビートが劣っているとは思わないと判断するだろうと判断するだろうとセイラとマリアリスの意見は一致していた。
セイラは横に座る、兄が戻ってきてから安心した表情のブランビートのしわの増えた横顔を見ながらそんなことを思い出していた。
そして、マリアリスは部屋の扉を閉め流ように扉の横に立っていたメイド達に指示をする。
メイドはブランビート達に一度お辞儀をして、静かに扉を閉めて退室する。
この部屋の中に、関係者だけになったことを確認したエンテリアはエイミと目線を合わせた。
二人はそこから、これからどうするべきか話し合いをした。
聞くとエンテリア自身は一人で出ていこうとしたため、大まかな方向だけしか決めていない無計画とも言えるようなものだった。
そこから突発的に考えたものではないかと、エイミは考えていた。
エイミはさらに追及していくと、エンテリアの話がある考え基づいていることに気付いた。
”いつまでもブランビートと二人で行動することはできない”
その考えには、エイミも薄々は気付いており自分自身にも思うことはあった。
ただ国に住まう住民の一人であればそういう関係も悪くはない。
しかし、エンテリアとエイミたちはここまで人を集め、その者たちの生活と命を守って行かなければならなくなった。
二人でしか物事を決められない王に、従う者はどれほどいるのだろうか。
もし、どちらかの方が優れているならば、その者が国を統治すればいい。
二人でなければならない理由が”兄弟”というだけの理由であれば、いつかは悪しき者にその弱さをつけ込まれ派閥争いの種に……最悪、国を乗っ取られることさえ考えられる。
エンテリアの話を聞くうちに、今回のエンテリアの行動の根底にはこの考えが下にあることが見つかった。
エイミはその意見に同意し、エンテリアに告げる。
「……ねぇ、きちんと話せばわかってくれるんじゃないの?ブランビートさんもセイラも……それにマリアリスさんだって」
不安そうなエンテリアだったが、出ていく意思には変わりはない。
それならば、遺恨を残さない形の方がいいとエイミは言った。
「どうせ嫌われるなら黙って出ていくよりも、ちゃんと伝えてからでも一緒でしょ?それに黙って理由もない別れが相手に与える感情が良くないのは、エンテリアがよくわかってるんじゃないの?」
その言葉で思い浮かぶのは、この世に生まれからすぐの母親との別れ。
”なぜ自分に母親がいないのか?”、”生きているのか死んでしまっているのか?”……物心がついた頃にはそういうことを毎晩頭に浮かべては眠れない夜を過ごしていたことを思い出す。
「ブランビートとマリアリスに、また同じ気持ちを抱かせてはいけない……か」
独り言のようなエンテリアの言葉に、エイミは数回頷いてその言葉が正しい方向の考えであることを理解させた。
二人はそこから明日みんなに説明することを決め、様々な状況を想定し説得させる案を朝まで内容を練っていった。
――そして、その日の朝
話があるとエンテリアに言われ、ブランビートたちは執務室に集まった。
既に中でエイミと一緒に待っているエンテリアの顔を見て、表情は寝不足のような疲れが見える。
だがその目の中には、十年前に村を出た時……いや、それ以上の力強い意思が込められている。
ブランビートが憧れて、追い掛けていたエンテリアの姿がそこにあった。
そんなエンテリアが話があるとのことだったため、いよいよ王座交代の話を持ち出せることができるとブランビートは期待していた。
この話は既にセイラにも相談しており、セイラの答えは”ブランビートの思うままに――”だった。
セイラはブランビートが人の上に立ち、導いていくことが苦手な性格であることを見抜いていた。
出会った頃は、エンテリアと同じ行動をとっているため同じ思考と知識を持ち、どちらも長としての素質を充分に備えた者だと感じていた。
トライアを倒した後は”どちらがいいか”と、エイミとセイラの眠れない夜の話題に度々上がってきたものだった。
――あの日を境に、四人の運命の風向きが変わり始める。
エンテリアとエイミが村を出て、神々の所在を探す旅を受け持ってくれた時から、いつもいたエイミとセイラ、エンテリアとブランビートはそれぞれ別な二人組に変わってしまった。
その結果判明したことは、――当たり前のことではあるが――やはり双子でもそれぞれ別の人間だった。
必死に国を立ち上げるため、ブランビートは一人……だけでなく、セイラ、マリアリス、エフェドーラたちの力も借りてここまで形を創り上げた。
その裏には、”エンテリアが返ってきた時のために……”とよく口に出していたが、その思いもブランビートの原動力になるのならばと、セイラたちはそのことに対しては何も言わず手伝っていった。
今では一人で、ブランビートだけでもある程度のことは正しく判断できていた。
その判断にはブランビート本来の優しさが含まれた、誰もが納得できる裁量を見せることが多々見られた。
今のブランビートの姿をみて、エンテリアは決してブランビートが劣っているとは思わないと判断するだろうと判断するだろうとセイラとマリアリスの意見は一致していた。
セイラは横に座る、兄が戻ってきてから安心した表情のブランビートのしわの増えた横顔を見ながらそんなことを思い出していた。
そして、マリアリスは部屋の扉を閉め流ように扉の横に立っていたメイド達に指示をする。
メイドはブランビート達に一度お辞儀をして、静かに扉を閉めて退室する。
この部屋の中に、関係者だけになったことを確認したエンテリアはエイミと目線を合わせた。
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