君の横を歩きたい

渡良瀬 カンナ

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焼き肉

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 映画の後昼飯も食べずにショッピングモールで千里の買い物につき回されていた。彼女の表情は買い物が進むに連れて明るくなり、僕にどれが似合うか質問してるがファションに疎い僕は「似合ってるんじゃない」としか言いようがないしどんどん増えていく荷物に比例して疲れが溜まっていった。一通り買い物が終わったのか早めの夕飯にしようとの千里の提案に賛成して、焼き肉屋に入った。この店はなんでも千里の後輩の店らしく入るなり人が良さそうな店主に挨拶されていた。席について運ばれて来た水を一気飲みする。これが五臓六腑に染み渡るということかと思っていると千里はすでにメニューを開いて注文していた。大方の王道メニューは頼んでいたので僕は豚トロと冷麺だけ追加した。
「お腹空いたね」
「どっかの誰かさんがずっと買い物してたからね」
「だって久しぶりの休みだったし今日は荷物持ちがいたし」
「おい」
「お陰でいっぱい買えたよ」
と言っていると大皿に大量の肉たちが乗せられ机に置かれた。
 僕はそれをトングで七輪の上に敷き詰めていく。千里は食べる専門だとやくきはないらしい。煙が悶々と上がり香ばしい匂いが周りを包む。
 そろそろ頃合いだと焼き上がった肉を均等にさらに分けていく。
「相変わらず几帳面だなぁ」
と千里が口に肉を運びながら言うので
「そうしないと全部食べられちゃうからね」
と返しておいた。そして、僕も肉を頬張る。めちゃくちゃうまいこうなってしまえばもう止まらない。2人ともほぼノーストップで食べ続けた。2人とも限界まで焼き肉を堪能した。
 最後にサービスだとアイスクリームを店主さんがくれたので好意に甘えた。
 会計の時一体いくらになるのだろうと心配していると、かなり安い値段に店主さんがしてくれた。ありがたいと感じていると千里がニヤリと笑って
「こんな美味しい焼き肉をこの値段で食べられたのは私のおかげだよー」
「いやいやこれは店主さんが千里と違ってとても寛大な人だからだよ」
と茶化すと「なにをー」と肩をど突かれた。
 店を出て家までの帰り道夜風が気持ち良かった。
「今日は楽しかったね、また明日から頑張れそう」
と千里は両手を上げて大声で言った。
「僕のお祝いのはずなのに1番楽しんでたな」
と笑いながら言うとえへへと笑って誤魔化された。他愛もない雑談をしているうちにすぐに家に着いた。「またな」軽い挨拶をして家へ入ろうとすると、「ちょっと待って」と千里がとんでもない量の買い物袋を漁り始めた。「おっ、あった」と何かを取り出すと「はい」と僕に手渡した。黒のリストバンドだった。
「今日は私ばっかり楽しんじゃったけどレギュラー獲得祝いこれ付ければ県大会も全国語も大活躍だよ、」
今日1の笑顔で千里は言った。
「ありがとう」
素直に嬉しいかった。「じゃあね」と家へ入ろうとすると千里を今度は僕が
「あのさぁ、今日思ったより楽しかった」
すると千里は
「今度は翔がお出かけのプラン考える番だからね」
そう言って帰って行った。
僕も家に入ると風呂に入ってすぐベッドに潜り込んだ。疲れからなのかすぐに深い眠りについた。
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