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28b:アメリアにとってのアンダーソン公爵家

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「アンダーソン公爵家が私達の結婚を待たずに、ロバーツ・パーソン伯爵に爵位を譲る事に決まったよ」
 アルフィーがアメリアへ報告する。
 アメリアはまだ王太子の婚約者なので、会議などには参加出来ない。
 今回は実家の事なので、特別に教えてもらえたのだろう。

「そうですか。妥当な処分ですね」
 いつもと変わらぬアメリアに、アルフィーが苦笑する。
「他に何か言う事は無いのかい?」
 問われたアメリアはしばらく無言だったが「そうですね」と視線を斜め上にしてから、アルフィーへと戻す。

「結婚式のエスコートがロバーツ・パーソン伯爵、当日にはロバーツ・アンダーソン公爵になっていますね、彼になるのは少し嬉しいかもしれません」
 ホンの少しだけではあるが、ロバーツが絡むとアメリアの表情が嬉しそうに、アルフィーには見えた。


「両親には何も思わないのかい?」
 アルフィーの問いに、アメリアは緩く首を振る。
「私にとって、使用人達よりも関わりの無い方々ですもの。数多あまたいる貴族の一人ですわ」
 強がりでも何でも無く、本当にそう思っている表情だ。

「では、ロバーツ伯爵は?」
 更なるアルフィーの問いに、アメリアは少し考える。
「家族、なのかもしれません。彼には他の方とは違う何かを感じますから」
 やはり、いつもより笑顔が嬉しそうに見える。

「では私は?」
 つい、アルフィーは聞いてしまった。
 いつものアメリアの慈悲深い笑顔に戻り、間髪入れずに答えが返ってくる。

「私の婚約者で、将来の夫であり、未来の王陛下ですわ」

 思っていた通りの答えが返って来ただけなのに、残念に思うアルフィーがいた。


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