44 / 46
version.b
28b:アメリアにとってのアンダーソン公爵家
しおりを挟む「アンダーソン公爵家が私達の結婚を待たずに、ロバーツ・パーソン伯爵に爵位を譲る事に決まったよ」
アルフィーがアメリアへ報告する。
アメリアはまだ王太子の婚約者なので、会議などには参加出来ない。
今回は実家の事なので、特別に教えてもらえたのだろう。
「そうですか。妥当な処分ですね」
いつもと変わらぬアメリアに、アルフィーが苦笑する。
「他に何か言う事は無いのかい?」
問われたアメリアはしばらく無言だったが「そうですね」と視線を斜め上にしてから、アルフィーへと戻す。
「結婚式のエスコートがロバーツ・パーソン伯爵、当日にはロバーツ・アンダーソン公爵になっていますね、彼になるのは少し嬉しいかもしれません」
ホンの少しだけではあるが、ロバーツが絡むとアメリアの表情が嬉しそうに、アルフィーには見えた。
「両親には何も思わないのかい?」
アルフィーの問いに、アメリアは緩く首を振る。
「私にとって、使用人達よりも関わりの無い方々ですもの。数多いる貴族の一人ですわ」
強がりでも何でも無く、本当にそう思っている表情だ。
「では、ロバーツ伯爵は?」
更なるアルフィーの問いに、アメリアは少し考える。
「家族、なのかもしれません。彼には他の方とは違う何かを感じますから」
やはり、いつもより笑顔が嬉しそうに見える。
「では私は?」
つい、アルフィーは聞いてしまった。
いつものアメリアの慈悲深い笑顔に戻り、間髪入れずに答えが返ってくる。
「私の婚約者で、将来の夫であり、未来の王陛下ですわ」
思っていた通りの答えが返って来ただけなのに、残念に思うアルフィーがいた。
360
お気に入りに追加
3,306
あなたにおすすめの小説
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
両親も義両親も婚約者も妹に奪われましたが、評判はわたしのものでした
朝山みどり
恋愛
婚約者のおじいさまの看病をやっている間に妹と婚約者が仲良くなった。子供ができたという妹を両親も義両親も大事にしてわたしを放り出した。
わたしはひとりで家を町を出た。すると彼らの生活は一変した。
婚約破棄されたのは私ではなく……実は、あなたなのです。
当麻月菜
恋愛
アネッサ=モータリアはこの度、婚約者であるライオット=シネヴァから一方的に婚約を破棄されてしまった。
しかもその理由は、アネッサの大親友に心変わりをしてしまったというあり得ない理由で………。
婚約破棄をされたアネッサは、失意のどん底に突き落とされたまま、大親友の元へと向かう。
向かう理由は、『この泥棒猫』と罵るためか、『お願いだから身を引いて』と懇願する為なのか。
でも真相は、そのどれでもなく……ちょいとした理由がありました。
※別タイトル(ほぼ同じ内容)で、他のサイトに重複投稿させていただいております。
舞台装置は壊れました。
ひづき
恋愛
公爵令嬢は予定通り婚約者から破棄を言い渡された。
婚約者の隣に平民上がりの聖女がいることも予定通り。
『お前は未来の国王と王妃を舞台に押し上げるための装置に過ぎん。それをゆめゆめ忘れるな』
全てはセイレーンの父と王妃の書いた台本の筋書き通り───
※一部過激な単語や設定があるため、R15(保険)とさせて頂きます
2020/10/30
お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
2020/11/08
舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。
終わっていた恋、始まっていた愛
しゃーりん
恋愛
結婚を三か月後に控えた侯爵令嬢ソフィアナは、婚約者である第三王子ディオンに結婚できなくなったと告げられた。二つ離れた国の王女に結婚を申し込まれており、国交を考えると受けざるを得ないということだった。ディオンはソフィアナだけを愛すると言い、ソフィアナを抱いた後、国を去った。
やがて妊娠したソフィアナは体面を保つために父の秘書であるルキウスを形だけの夫として結婚した。
それから三年、ディオンが一時帰国すると聞き、ディオンがいなくても幸せに暮らしていることを裏切りではないかと感じたが思い違いをしていたというお話です。
公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる