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20a:お前は俺を愛してるだろう?
しおりを挟むフーリーはアメリアを見つめる。
アメリアもまた、いつものようにフーリーを見つめた。
優しい微笑みを浮かべて。
「アメリア。アメリアは本当はアルフィーと結婚したくないんだろ?」
フーリーの言葉に、アメリアは緩く首を振る。
「私は王妃になる為に生まれて来ました。王太子と婚姻を結ぶのは当然の事なのです」
微笑んで言うアメリアが、フーリーには悲しげに見えた。
「アメリア!素直になるんだ!お前は本当は俺と結婚したいんだろ?!」
フーリーの問いに、アメリアは反応しない。
「なぜ、私がフーリー様と結婚したいと思っている等と思われたのでしょう?」
それどころか、逆に問い掛けてきた。
「なぜ?何故も何も、お前は俺を愛してるだろう?」
当然のように言うフーリーを、その場に居た皆が信じられないモノを見る目で見た。
「逆に問いたい。なぜフーリーは、アメリアに愛されていると思ったのかを」
アルフィーが素直に疑問を口にする。
「婚約者として交流したのは、学校が始まる3ヶ月前から。しかも2ヶ月目からはミア子爵も一緒だったと聞いている」
フーリーはウッと言葉に詰まるが、すぐに反論する。
「それでも!アメリアは俺が何をしても笑って許してくれた!それは俺を愛してるからだ!そうだな?アメリア!」
フーリーは必死にアメリアに訴えた。
アメリアに「フーリーと結婚したい」と言わせないと、王家には残れないのだ。
「あの、フーリー様」
アメリアに笑顔で名前を呼ばれ、フーリーも笑顔を返す。
「何だ!」
「なぜ、たったそれだけの理由で、私に愛されていると思ったのでしょうか?」
「は?」
フーリーの顔が間抜けに固まった。
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