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19a:王太子の条件

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 アメリアは、隣のアルフィーと視線を合わせて頷き合った後、フーリーへと視線を戻した。

「私とフーリー様の婚約は、1年10ヶ月前に、フーリー様有責で破棄されております」
 アメリアは優しい笑顔で、子供をさとすように説明をする。
「2年以上、婚約者らしい交流をしていなかったのに、なぜ婚約継続していると思っていらっしゃったのか」
 困ったように微笑むアメリアは、フーリーの知っているいつものアメリアだった。

 目が合うと、優しく微笑んでくるアメリア。
 ミアと一緒に居るフーリーを、笑顔で見ていた。
 あれは、愛しい者を見る目だったはずだ。


「お前の婚約者は、そこにいるアンダーソン子爵だ。子爵家へ婿入りが決まっている」
 父である国王の言葉に、フーリーはへたり込んだ。
「婚約期間が2年必要だから後2ヶ月あるが、既に王籍を抜けたお前を王宮に住まわすわけにはいかん。子爵家へ居を移すように」
 有無を言わせぬ国王としての言葉に、フーリーの体はガタガタと震えた。

 王太子のはずが、蓋を開けたら子爵だった。
 しかも婿入りなので、当主では無い。


「なぜ、俺が王籍まで抜けてミアと結婚するんですか!?俺が王太子のまま、ミアを公爵家へ養子にしてから結婚しても良いでしょう!」
 最後の悪足掻きで、フーリーは訴えた。

「何を言っておるのか。このアメリアと婚姻を結ぶものが王太子となるのだ。それは、アメリアが生まれた時から決まっておる」

 国王の言葉に、フーリーはアメリアを見た。

 勝機を見付けた気分だった。
 自分を愛しているアメリアなら、何とかしてくれるはずだ。
 アメリアは王家からの命令で、仕方なくアルフィーと結婚するのだ。
 可哀想なアメリア。

 そんなアメリアと二人で周りを説得すれば、また王籍戻れるはずだと。
 フーリーは愚かにも、そう考えた。


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