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17a:謝恩パーティー

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 フーリーとミアが会場に入ると、他の卒業生達の視線が集まる。
 未来の王妃よ!挨拶に来なさい!
 ミアはそんな風に思ったが、誰も側には寄って来なかった。

 学校の講堂で謝恩パーティーは開かれる。
 卒業生が保護者に感謝をする場なので、卒業生達は各々おのおの勝手に会場に入る。
 大抵の卒業生は、両親と共に来場していた。
 それは王族であっても変わらないはずなのだが、二人はそれすら知らなかった。

 予想と違う周りの反応に、ミアだけでなくフーリーも不機嫌になっていると、会場がワッと湧いた。

 何事かと入り口を見ると、アメリアがアルフィーと会場に入って来たのだった。
 その後ろには国王と王妃と側妃、そしてアンダーソン公爵夫妻とパーソン伯爵が居た。

 国王はフーリーに気付くと「何だ、来ていたのか」と呟いた。



 恙無つつがなくパーティーは進んだ。
 家族との交流や恩師への挨拶なども終わり、場が落ち着いてきた頃。
 王族とアンダーソン公爵家が舞台上に上がった。

 驚いたのは、舞台下でそれを見上げたフーリーとミアだ。
 二人は舞台へ行こうとしたが、フーリーは王宮の護衛に、ミアはロバーツ・パーソン伯爵に止められた。

「おにい様、離してよ!」
 ロバーツの腕を振り払おうとしたミアは、突然ロバーツに頬を張られた。
「子爵が不敬な」
 いきなりの暴力に、ミアは泣き叫ぶ。
「子爵って何よ!私は公爵令嬢で、あなたは兄でしょ!?」
 ロバーツはミアの手を離し、溜め息をいた。

「アンダーソン子爵、貴女は昨日までは未成年で公爵家の庇護下にありました。今日からは成人で、アンダーソン子爵です。女性でも爵位が継げる国で良かったですね。隣国なら貴女は平民だ」
 ロバーツの説明に驚いたのはミアだけでは無い。
 フーリーも同じように呆けていた。


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