これ、クラウディアもニコラウスも公爵家も侯爵家も聖女の祝福(呪い)を受けている状態ですよね。
　この状態が完結ではなくて、2周目以降の第一王子が途中からクラウディアに優しくなってみたいなことも起こり得るし、2周目のカミラが突如として常識に目覚めてハッピーエンドになるかもしれない。2周目の王子やカミラが上手に立ち回ってクラウディアはもっと追い込まれるかもしれない。
　自分なりのこの話の聖女の祝福(呪い)の解釈は、直系継続の為に誰もが失敗に終わった人生のやり直しがきいて、各人が求める最適化を果たすことを目指すということかと。
　クラウディアと第一王子、カミラのよりよき人生は対立するし、第2王女と侯爵(ニコラウスの叔父。この人もおそらくは2周目でわざと伯爵にとどまっていたのかと)のベストの人生も異なる。
　利害関係が対立する人物がそれぞれの最善を目指して、やり直すということは、ほかの方の感想にもあるように無間地獄に陥る。ホッブズがリバイアサンで述べた「万人の万人に対する闘争」状態。
　その状態を回避するには、他者の立場に立った思いやりで行動が必要かもしれない。聖女の呪いの解決ってそう言うことですよね。
　「誰もが不遇な自分の人生を自分にとって良しと出来る人生にすることを人生の逆行で叶えられる」と言う設定が面白かったです。

2回目だと覚えている人がたくさんいて、でも思い出す時点がバラバラ、という設定から面白かったです。
一気読みしました。
ただ、王族の子ども達が墓穴をどんどん掘って落ちていくのに、諸悪の根元に見える王様は結局直接痛い目に合わないところが気になりました。自分がおばちゃんなせいか、誰もサポートしてくれる人がいなかったカミラなんかは年齢的にも痛々しくてちょっと不憫に思えます。
やっぱり王政は廃止するべき(議会制民主主義じゃなくて、社会主義に移行しちゃったのもちょっと面白かったです。ロシア革命みたい)

でもあちらにはＲ１５タグが立っていません。