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王立魔法学園~甘いは誰のため~(ざまぁはないよ!)

乙女ゲーム:甘い誘い

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 季節が完全に変わり、青々とした葉が落葉へと変貌をとげた。
 羽織るものも薄手のストールではもう寒い。
 ショコラは、マカディーアからプレゼントされたコートを着ていた。
 学園は制服はあるが、その上に羽織るものは自由である。
 昨年は羽織るものなど持っておらず、かなり寒くなるまでは制服だけで過ごした。
 そろそろ雪も降るかという頃、講師であるビタールが厚手のストールをくれた。
 風邪でも引いて授業を休まれたら困るから、と、帰り際に人気のない場所でそっと肩に掛けてくれたのだ。
 翌日、それに気付いたマカディーアが悔しそうに「自分に相談してくれれば」と言っていたので
「来年はマカディ様にお願いしますね」と笑った。

 ショコラの着ているコートを見て、マカディーアは満足げに笑う。
 寮に住んでいるショコラと違い王宮へと馬車で帰るマカディーアは、建物の出入り口が違う為、ショコラがコートを着ていない事に気付けなかったのだ。
 いや、昨年はまだ婚約者であるシフォンティーヌに対して無意識の罪悪感があったのか、今ほど一緒に行動していなかったかもしれない。
 それでビタールに後れを取ってしまい、一緒にいる時間を増やしたのだ。

 本当に愛する者とを過ごす時間以上に貴重な物など、この世にあるはずがない。

「私にさえその様な贈り物をした事が無いのに、なぜ平民の娘に王室御用達の仕立てのコートを!」
 コートを着るショコラを見て、シフォンティーヌはそう怨嗟の声を出した。
 それが決定打になった。
 公爵家令嬢である事を嵩に着て、事ある毎にショコラをおとしめるシフォンティーヌ。
 このような差別主義の者が王族に名を連ねて良いのだろうか。
 良いわけがない。
 王国は、全ての人間によって支えられている。

 いつものように優しくショコラの腰に腕を回しながら、マカディーアは囁く。
「ショコラ、次のパーティーは、私と出席してくれるね?」
 耳元で囁かれた甘い言葉に、ショコラは頬を染めながらうなずいた。


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